表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/36

06話 マイナーな宗教

国教はお爺さんの神様ですが、この宗教は違うみたいです

 

「あ、ここです(笑)」


 エールに導かれてやってきた場所は、王都の中心からかなり離れていた。


「ここもボロボロですね......」


「ふふっ、もう少し先に行けば違いが分かりますよ(笑)」


 エールがルンの手を引いて先へと入っていく。


「ふむ......ヤス、置いていかれるぞ」


 タマキが腕を組みながらエールたちを顎で指している。この一画は入り組んでいるので見失ったら迷子になりそうだ。


「ああ、今行きます......ってカンナさんは?」


「ふむ。いないな」


 早速、迷子の被害者が出た


「ヤスさん遅いですよ?」


 ルンとエールが様子を見に戻ってきた。


「いい大人がなんで団体行動ができないんですかー(笑)」


「そのいい大人が早速迷子なんだよ」


 後ろを向いてカンナの不在を伝える


「何言ってるんですか? ヤスさんならそこにいるじゃないですか?」


「人生の迷子ってやつですね(笑)」


「ふむ。そんなに悩んでいたなんて......気が付かなくてすまんな」


「......」


 本気で心配そうな目を向けてきてますが、あなた誰が迷子か知ってますよね?


「ふむ。相談なら乗るぞ? 無駄に長生きしていないからな」


「その尊くて長ーーい経験から誰が迷子なのか思い出して下さい」


「あ、ちなみにカンナさんなら大丈夫ですよ(笑)」


「わかってたなら先に言ってくれ!」


「私の長ーーい人生経験による勘です(笑)」


 勘って......大丈夫なのか?


「大丈夫ですよ! では今度こそちゃんと付いて来てください(笑)」


 エールとルンが先を歩いていく


「ふむ」


 ぎゅっ


 いきなりタマキに手を握られた


「っ......! 急にどうしたんですか!?」


「ふむ。迷子になったら困るからな」


「いや、もういい大人なんで......」


「ふむ。大人の繋ぎ方が良いのか?」


 何それ気になる


「もう、ヤスさん! 遅いですよ!?」


 ルンがまた戻って来た。


「いい大人が......って何してるんですか?」


「ふむ。ヤスが大人の繋ぎ方をしてくれと言うのでな」


「ちょっと待ってください。誤解です」


 確実に面倒なことになりそうな予感がした


「誤解なんですか?(笑)」


「誤解だよ」


「なるほど。迷子にならないようにタマキさんがヤスさんの手を握ったのをヤスさんが遠慮して、それを勘違いしたタマキさんが大人の繋ぎ方をしようとしているというのは誤解なんですね(笑)」


「誤解......じゃないよ」


 これ以上ここに留まるのも時間の無駄なので自分が先を歩くことにした


「ヤスさーん、そっちじゃないですよ(笑)」


「......」


「(笑)」


「案内お願いします......」


「はーい(笑)」



 エールの後を着いて行くと、ここと王都の中心部との違いがよくわかった。


「ボロボロですけど、人が多いですね」


「ふむ。活気があるな」


「生きる希望が溢れてますね(笑)」


 このスラム街は確かにボロボロだが人も多く賑やかだった


「ふむ」


「どうかしました?(笑)」


 タマキの視線の先には広場があり、人々が集まっているようだ


「何してるんですかね?」


「行けばわかりますよ(笑)」


「正面から行って平気なのか?」


「まずは様子を見た方がいいですね」


 周りを見ると広場を見渡せる建物があったので、そこに向かうことにした


「あ、よく見えるな......ん?」


 広場の前方には祭壇があり、宗教的な集まりだということがわかった。

 しかし......


「なあルン?」


「何でしょう?」


 祭壇に祀られている信仰対象を描いたと思われる絵を見る


「なーんか見たことある顔だと思うんだ」


「そーですね」


「実際は神様っていうより天使っぽい雰囲気を醸し出しているんですけどね(笑)」


「「うーん」」


 祀られている神様は、ヤスの隣にいる天使からフワフワした雰囲気を取り払って神々しさを追加した雰囲気を出している


「旅行で来たって言ってたけど、その時何かあったの?」


 人々の前で死者の蘇生でもしたのだろうか?


「旅行といいますか......ボランティア活動をして回っていました(笑)」


「何したんですか?」


「特別なことはしていないですよ? それにここにいたのは半月ほどです(笑)」


 半月で信仰対象になるとかこの子恐ろしい


「これって、エールが姿見せて大丈夫なの? 混乱起きない?」


「どうなんでしょう?」


 気がつけばエールが隣にいない


 広場に目を向けると、祭壇の前にエールが立っていた。信者たちは目を瞑り、祈っているのでまだ気がついていないようだ


「こんにちはー(笑)」


 広場は大混乱となった



 しばらくして人々が落ち着きを取り戻した頃


「この宗教の代表者の方いらっしゃいますか?」


「私です」


 最前列にいた60歳くらいの男性が手を上げる


「お騒がせしてすみません。今日この後予定がなければ伺いたいことがあるのですが......」


「もちろんです! 私の知っていることなら神に誓って何でも答えますよ!」


「天使ですよ(笑)」


「はい! 天使エール様!」


 何だろう。目が怖い。瞳が綺麗すぎて怖い。


「みなさーん。今日は解散でーす。また明日会いましょうねー(笑)」


 エールの一声でみんな散っていった。


「もしよろしければ私の家でくつろいでください! すぐそこなので!」


 案内されると本当にすぐそこだった。広場から出て3歩だった


「汚いところですが、どーぞおくつろぎください」


 代表者によると、この街の30%がエールを信仰しているとのことだった。昔はもっと多かったが、世代が交代するにつれ減っていったらしい。それでもまだ30%もいることに驚きだ。


「王都の惨状を見て来ました。皆さんも大変でしょう? 私たちにお手伝いできることはありませんか?(笑)」


「手伝うだなんてとんでもない! エール様がこの街にいらっしゃるだけで皆の活力になりますから!」


「ですが、何もしないでいるのも申し訳ないので、何か私にできることを言ってください。あ、これはお告げです(笑)」


「私に神託が! わかりました......でしたらしばらくこの街に滞在していただいて、皆に声をかけて回って頂きたいです」


「それだけでいいんですか?(笑)」


「それがいいんです!」


 エールがしばらく街に滞在した結果、この街のほとんどの人がエールを信仰するようになった。なにこれ怖い。

お読み頂きありがとうございます。


ゆっくりですがちゃんと更新していきます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ