02話 山賊
山賊なので、服を破かれ脱がされなどなどな展開です。
魔法を使った戦闘もあります。
ヤス一行は、王都に近い山の中に到着した。
「それでは、タマキさんとカンナさんは計画通り王都に潜入してきて下さい」
「ふむ。ルンには、エールのこと任せたぞ」
「ついでにヤスもね♥」
「頼りにしてますね(笑)」
王都への潜入目的は、大きく分けて3つだ。
1つ目は、ヤス一行の指名手配状況の確認。
2つ目は、この世界に関する資料があるかの確認。
3つ目は、食糧の確保。
「ふむ。2日後の朝までに帰らなかったら、ここから北西に向かい、魔王国との国境を目指すといい」
「まあ、一応念のためね♥」
「助けはいらないんですか?」
仮にヤスが助けに行っても足でまといになりそうな気がするが、一応確認しておく。
「ふむ。ヤスが助けるべきはエールだ。私たちのことは気にするな」
「ですよねー」
返答は想定通りだった。
「あの男、あっさり引き下がりましたよ」
「少しは食い下がって欲しいわよね」
ルンとカンナがひそひそ話している声がするが聞かなかったことにする。
「それでは、お気をつけて」
「ふむ」
2人が王都へ続く山道を降りて行く
「あっ(笑)」
エールが何か思い出したようだ。タマキとカンナを追いかけて行く。
しばらくすると満足そうな顔をして帰ってきた。
「何かあったのか?」
「久しぶりにおまじないかけてきました(笑)」
「そういえばそんなこともあったね」
エールの謎のおまじない。効果、効能は不明だ。
「最近する機会がなかったので忘れてました(笑)」
「忘れるようなことならやらなくてもいいのでは?」
「そんなこと言って、たまにやって欲しそうに私を見てたの知ってますよ(笑)」
「そ、そんなことないぞ」
「もう、素直じゃないですね(笑)」
そんなこと言いながらヤスの頬をムニムニしてくる。この距離感、なんだか久しぶりだ。
「ヤスさん。顔が緩んでますよ」
「人のこと言えないぞ」
ルンも緩んだ顔でこっちを見ている。
「まあ、良いじゃないですか(笑)」
エールのおまじないは空気を一変する。
きっとタマキとカンナの表情も緩んだことだろう。
「ずっと緊張しっぱなしだと身体に悪いですからね(笑)」
✳︎ ✳︎ ✳︎
タマキとカンナは王都へ偵察しに行った次の日。
「助けてー(笑)」
エールが山賊に捕まった。
「エールを離せっ!」
相手の目的がわからないので下手に動けない。
それにしても捕まった本人から危機感が全く伝わってこない。
「目的はなんだ?」
「そりゃあ、金と女だよ」
「お金はないし、女もいないぞ」
「ヤスさーん。私女の子です(笑)」
「......ごめん」
最近、エールのことを女の子というよりエールという存在として認識するようになっていた。
あれ? でも天使って両性具有って聞いたことあるような......
「可愛い女の子ですよー(笑)」
「あ、そう」
「もう、付いてないの知ってるくせに(笑)」
距離感の近い生活なので、確かについてないのは知ってるけど......面と向かって言われると困る。
「お前ら自分たちの立場わかってるのか?」
そうだった。エールが山賊に捕まってる途中だった。
「女の子は今捕まってる子しかいないし、お金は無一文だ」
ルンの存在は隠しておいた方がいいだろう。今も近くで様子を伺っているかもしれない。
「金はお前らを貴族に売ればある程度入るから問題ないんだよ。まあ売るまでは楽しませてもらうけどな」
なんという下手な山賊だろう。
「ヤスさんのギャグセンスはイマイチなので楽しめませんよ(笑)」
「お前はさっきから自分の立場を考えろ!」
強面の山賊に囲まれていても動じないエールを見て、ヤスも落ち着きを取り戻していた。
落ち着いて観察すると、エールの後ろには山賊が3人、ヤス達の周りを更に10人弱が取り囲んでいる。1人だと厳しい戦力差だった。それにエールが人質となっているため、ルンも迂闊に手を出せそうにない。ここは下手に抵抗しない方が良さそうだ。
「降参で」
「もう少し抵抗とかしないの?」
ヤスの切り替えの速さに山賊も戸惑っていた。
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貴族に売られるらしいので殺されはしないと判断して、大人しく捕まった。
手を縛られ武器を取られたヤスとエールは山賊に連れられ山道を歩いている。
「てめえら晩餐の準備だ!!」
山賊の本陣と思われる場所に着くと、晩餐の準備をし始めた。貴族に売る商品が手に入り、浮かれているのだろう。
山賊の本陣では敵が更に増え、20人ほどの規模になっていた。
「お前らは、この商品を穴に閉じ込めておけ!!」
売られるまでは穴に閉じ込められるようだ。
山賊の頭と思われる男に命令された下っ端2人は、ヤスとエールを連れて本陣から少し離れた穴へ向かった。
先頭の下っ端がエールを縛った縄を持ち、その後ろをヤス、最後にもう1人の下っ端が歩いている。
穴へ向かう道中
「あなたは下っ端なんですか?(笑)」
「あ? なめてんのか?」
エールが自身の縄を持った山賊を挑発し始めた。
「すみません。この子悪気はないんです」
すかさずヤスが謝るが許しては貰えないようだ
「悪気がなければ何言っても良いってわけじゃないだろうが! 生意気言ってるとこの場で犯すぞおら」
「ふふっ、帰りが遅いとお頭に怒られちゃいますよ(笑)」
「あ?」
「それとも気付かれないくらい早いんですか? だいぶたまってるんですね(笑)」
エールさん。下っ端の顔真っ赤です。やめて下さい。
「てめえ良い気になってんじゃねえぞっ!」
エールの近くにいた下っ端がキレた。
ナイフを取り出してエールの服を切り裂く。
「てめえらは売り物だからな、身体は傷つけない。だが傷さえつけなければ何しても問題ないんだよ!」
「やーん(笑)」
こんな状況でもこの天使は危機感が全くない
激怒した下っ端の後ろを見るとルンが立っている。
そんなところにいたら後ろの山賊にバレるだろ!
「っ......!」
手が縛られているとか関係ない。後ろにいる下っ端を倒すチャンスだ。
「......」
振り返ると後ろにいた下っ端はいなかった。
「あれ?」
エールの方を見る。下っ端はエールの服を脱がそうとしているが、手が縄で縛られているので上手くいかないみたいだ。
「だめー(笑)」
「今更、謝っても遅いんだよ! ふへへへ、良い乳してるなおい」
脱がしたエールの胸に触ろうと手を伸ばしたところでルンが下っ端の口を塞ぐ。
「んぐっ......」
「......」
ルンが何か呟いた瞬間、下っ端の鼻や耳から水が吹き出した。
「ルンちゃん、ありがとうございます(笑)」
「もう、あんまり無茶しないでくださいね」
どうやらエールはルンの存在に気づき、近くにいた下っ端の目を自分に向けさせるため、わざと煽っていたようだ。
エールが引きつけている隙に後ろにいた下っ端を音もなく倒した後、先頭の下っ端の背後に回り込んだところでヤスが気付いたということだ。
「何したの?」
ヤスは、穴という穴から水が漏れている下っ端の亡骸を見る。
「前、言ったじゃないですか。魔法ですよ」
「その魔法トイレを流す以外にも使えるんだな」
「当たり前じゃないですか。直接口に流し込めば、行き場を失った水の圧力でこうなります」
「なら、何で前襲われた時に使わなかったんだ?」
「私が魔法使えるということを知られたくなかったんです。相手が多いと倒しきれずに逃げられる可能性もありますしね」
相変わらず用心深い。
「今回みたいに相手が少なくて、しかも騒がれたくない場合は効果的です」
「なるほどな」
エールの方を見る。服が破かれ、あられもない姿になっている。
「ヤスさん、失礼ですよ」
「大丈夫。見えてないから」
胸のところはしっかり手でガードされている。
「それにしても見過ぎですよ(笑)」
「とりあえず、これで隠して下さい」
ルンがポケットから大きめのバンダナを取り出す。
「ありがとうございます。すぐ着替えるのでちょっと待って下さいね(笑)」
「ではヤスさんは後ろを向くか水浸しになるか選んでください」
「後ろ向くよ」
もう水出せないだろというツッコミはせずに素直に後ろを向く。
「もう良いですよー(笑)」
エールの方を見る
破かれた服は胸に巻かれ、ルンのバンダナは腰に巻かれている。
いつもの質素なデザインの服とは違い、柄の多いバンダナが腰に巻かれているため、普段とは違った雰囲気を醸し出している。
「おしゃれですね」
「ありだな」
ルンと感想を言い合っていると、エールが水浸しの下っ端のそばに座り、何かを唱えながら死体を指でなぞり始めた。
「こんな奴にも祈りを捧げたりするのか?」
さすが天使というべきか、自身をこんな目にあわせた相手であっても死体は放っておけないのだろう。
「違いますよ(笑)」
「違うの?」
「この人は悪い子なので地獄への推薦状を直接身体に書いてます。こうしておくと女神様にしっかり伝わるので(笑)」
死体蹴りを遥かに超える鬼畜さを見てドン引きするヤスだった。
お読みいただきありがとうございます。
エールが少し黒くなってきている気がしますが、気のせいです。エールは天使です。
魔法の戦闘
ルンの水は5リットルほど噴射するので、口塞がれて一気に流し込まれたら胃が破裂して、内蔵グチャグチャになってお終いです。実際は、胃の大きさによりますが、鍛えていない人は2〜3リットルくらいでも危険だと思います。
ご意見、ご感想頂けると嬉しいです。
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