18日目 お母さん
またゾンビの映画か。
そして勉強。
誰とも会わない休日がルーティン化してるな。
いや悪いことじゃないんだが、さてさていつまで勉強が続くかな。
今日は平和だったな。
あ、小さな男の子が100円を届けに来た。
書類をお父さんが聞き取りながら書いてな、代わりにお父さんのポケットマネーから100円をあげた。
本当は良くないことなんだけど、お父さんも小さなころそうしてもらったからな。
大人になっても落とし物を届ける大人になった。
と言うかお巡りさんになった。
まあ最初は冒険者だったけどな。
お母さんと出会ったのは冒険者時代だったんだぞ。
お母さんもな結衣と同じで適正値は平均値が多かったから、冒険者になってもあまり稼げないことは予想できた。
だけど、世界を旅して絵を描きたいと言ってたな。
滞在期間も優遇されるし、飛行機代も優遇される。パスポートもいらないし(冒険者ライセンスで事足りる)、どんな国へも入ることが許される。
旅をする目的で冒険者になるのは、意外と効率的なんだ。
とは言え日本が魔物の強さから見ると一番平和だからな。
お母さんにとって世界をまたに冒険者稼業をするのは危険だったんだ。
それで、どっかのパーティに寄生しようと冒険者ギルドで品定めしていた所、お父さんに一目惚れしたそうだ。
強さにじゃない。恋愛的な意味でな。
お父さんは当時は適正値も高く自信があったから、報酬を独り占めできるソロ志向だったんだが、お母さんに押されに押され根負けしたんだな。
お母さんは美人だったしな。
お父さんが前衛、お母さんが後衛のパーティが誕生したわけだ。
ところが、1年後、丁度お父さんもお母さんに恋心を抱き、付き合い始めたころだった。
お母さんが呪いにかかってる事が判明したんだ。
最初は軽い息切れだったんだ。
だから日本に戻って、看病していた。日本の冒険者ギルドの報酬は少ないが、貯蓄もあったから入院費の心配もいらなかった。
だが、結衣を妊娠したころには毎日何回も発作が起きてしまうようになってな。
お父さんはこのままそばで看病を続けるか、魔王討伐に挑むか迷ったんだ。
結局、有り金はたいて傭兵を雇い、魔王討伐に挑むも間に合わなかった……。
ちょっと湿っぽくなったな。