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Merry Christmas!

メリクリです。といっても今日は27日。

少しばかり遅れましたが、ケンとサエのクリスマス編をどうぞ。

2人が高校3年生のクリスマスのお話です。

本編から時間軸が少し戻ったということで、番外編と言っていいでしょうか?


副島健人視点です。

現在時刻、12月24日午後11時48分。

現在地点、副島健人の部屋。

ミッション、真壁冴子の部屋に侵入。


ということで、俺の今の格好はサンタだ。サンタ。サンタクロース。

つまり、帽子かぶって、流石にひげはしてないけれども、赤いサンタの衣装着てる。

何でこんな格好をしているかというと、今日がイブだからだという答えに尽きるのだ。

まぁ、俺ら受験生だからクリスマスとか関係なく勉強しなくちゃいけないけれども、ちょっとぐらいはいいんじゃないかな?という緑の持論に基づいて今からサエに会いに行こう、ということ。

今日は冬休みながらいつも通り学校に行って、センター試験の対策をしてきた。その間もチラチラとサエを盗み見ていたが、変わったことは何もなさそうだった。

そして夕方に家に帰り、飯を食ってその後は一人で勉強。何と味気ないクリスマス・イブ。

そりゃ、クリスマスくらい、好きな人と過ごしたいよな?

そんな誘惑に負けた俺は、上にコートを羽織って玄関の扉を開け、闇夜へと消えていく。

勿論、サンタなのだから、誰にも秘密で。

トナカイの代わりは俺の自転車。それにまたがって、颯爽とサエの家へと向かう。

冬の夜の冷気は俺の体にザクザクと突き刺さってくるような厳しさで、到着した頃にはすっかり顔が冷たくなってしまっていた。

さて、ここからが問題だ。

どうやってサエの部屋に入るのか。一応ここに来る前に考えたのだけど、なかなかいい案がない。


・玄関から入る。

 もはやサンタじゃねぇ。というか、玄関から入るには真壁家の誰かの協力が必要で、誰にも秘密という俺のサンタポリシーが崩れる。

・サエの部屋の窓から入る。

 難しい。だってサエの部屋は2階なのだから、配管をのぼり棒代わりに登るでもしないと難しい。あいにくロープなどは用意していないのだ。というか、これが出来たら俺は泥棒になれそうだ。


ということで『どうにかなるさ!』と思ってここにきたのだけれども、現実はそう甘くはない。

どうにもならなさそう。

ただいま午後11時55分。むなしく、時間だけが過ぎてゆく。

諦めるしか選択肢が残っていないけど諦めたくない、諦めきれない俺は自転車にまたがったままサエの家の玄関を凝視。

もう、この際誰でもいいから玄関を開けてくれ!

そしてその願いが通じたのか、数秒後に『ガチャッ』という鍵を開ける音が!

よっしゃっ!これが本物サンタから俺へのプレゼントか!?と興奮してしまうほどのナイスタイミング。

ゆっくりと開くドアから出てきたのは…

「サエ?」

「ケン?」

他でもないサエだった。防寒対策バッチリで。

こんな夜中にどこへ行くのだろう。

「サエは、どこに行くんだ?」

「へ、わ、私!?」

そう問うと、急に焦り始めたサエ。

「ク、クリスマスだし、ケ、ケ、ケンの…」

ゴニョゴニョと、そこまでしか聞こえなかった。

どこへ行きたかったんだろう、と首を傾げる俺に、今度はサエが聞いてくる。

「ケ、ケンはどこへ行くのよっ!?」

「いやぁ、もうすぐ25日だし、俺はサエの部屋に行こうと…」

そこまで言って気づいた。やべっ、言ってしまった。

慌ててサエを見てみると、この寒さのせいか、顔が真っ赤になっている。

…おっ!これはいけるぞ!

サエが寒そう→『寒いから家の中へ入ろう』とサエの家にお邪魔→そのままサエの部屋。

いける!いけるぞっ!

「サエ、寒いのか?なら家へ入ろうぜ。」

「へっ?」

作戦を実行に移す俺。自転車から降り、サエの方へと歩いていく。

真っ赤な顔でキョトンとしているサエの肩を抱いて、半ば強引に、真壁家の玄関ドアをもう一回開けて中へと入る。

自分の家じゃないのに、良くそんなことが出来るなぁなんて自分に変な感動。

家の中は外と正反対でぬくぬくとあたたかい。

靴を脱いでいると、後ろからサエの声が。

「ね、ねぇ、私の部屋来ない?」

「あぁ。行かせてもらうよ。」

願ってもない提案。靴を脱いだ俺は、サエの後について階段を上り、2階のサエの部屋へ。

侵入成功。そして新たな問題発生。

俺は何をしようか?

ちょっと考え込んでいると、ベッドの上に座ったサエが話しかけてきた。

「ケ、ケンはどうして私の部屋に…?」

俺はコートを脱いで、サンタの格好をサエに見せ、サエの隣に座る。

「勉強とか受験とか学校とか忘れて、クリスマスくらい、サエと一緒にいさせてくれよ。」

そう言うと、サエは寒くもないのにちょっと赤みがかった顔で笑顔になった。

「私も。ケンと一緒にいたかったのよ。」

サエがコートを脱ぐと、俺と同じようにサンタの格好。

ただ俺と違うのは、サエがミニスカサンタだってことだけ。俺はそんな姿にノックアウトされそう。

これこそ、俺へのクリスマス・プレゼントだな、きっと。

「サエ…」

「ケン…」

至近距離で見つめ合って、唇を近づける。

唇が軽く触れたとき、サエの部屋の時計が『カチッ』と音を立て、12時になったことを俺らに知らせた。

「メリークリスマス、サエ。」

「メリークリスマス、ケン。」

次はさっきと違って、長いキス。

そのキスの途中で、俺らはベッドに倒れこむ。

ウットリとした目を俺に向けてサエは、こう言った。

「ケンへのプレゼントは、私。」

なら俺は、サエへ俺をプレゼントするよ。

ニコッと笑ったサエに、俺は抱きしめながらもう一回キス。

その後のことは、俺らだけの秘密だ。

ただ確かなことは、次の日の朝、抱き合いながら一緒のベッドの中で寝ていた俺らを秀に発見されたということだけ。

最後はご想像にお任せします(笑)

皆さんはどんなクリスマスをお過ごしになられたでしょうか?

感想お待ちしております。


次に本編を更新するか、番外編を更新するか分かりませんが、次の番外編は緑が主人公を予定しています。

内容はお楽しみに!

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