第二十話
更新が遅れてしまい申し訳ありません。ここからがんばってペースを回復します。読んでくださってる方本当にありがとうございます。こんな小説ですが、皆様最後までお付き合いください。
はじめは真壁冴子視点、途中から副島健人視点です。
「へぇ〜、それでそのブレスレットは副島にもらったんだね?」
「うん!」
玉子焼きをほおばりながら答える私。
今はお昼休みで、私は真理っちと机を並べながらこうして食べているのだ。
「よかったじゃん!」
「ホント、ケンには感謝しなきゃ。」
左手につけたブレスレットは銀色に輝いている。
それを見ていると、なんだかケンの顔が浮かんできた。
『俺の隣にいる『サエ』は昔のままだぜ。』
昨日の夜、ケンに言われた言葉が頭をよぎる。
あぁ、この言葉でケンに『恋してる』ってはっきり分かったんだ。
…って恥ずかしくて、ほかの人には言えないけどね。
今日も朝ケンと一緒に来るとき、なんだかドキドキしちゃった。
ホント、私らしくないかも…
「…っち?冴っち?」
「ん、あぁ、ごめん、ちょっとブレスレットに見とれてた。」
咄嗟に嘘をつく。
「…ねぇ真理っち、真理っちは緑君のこといつから好きだったんだっけ?」
そう聞くと、真理っちは口に近づけていたピンク色のお箸と同じくらい、頬が染まった。
「なななな、急に何聞くの!?」
「いや、ちょっと気になって〜!」
「え、それは…ちゅ、中学生の時からよっ!悪い!?」
いやいや、そんなつもりじゃないよ…
ちょっといじけちゃったのかな?
私はそんなことお構いなしに、質問を続ける。
「そうやって意識し始めた後、緑君といるとドキドキしたりするの?」
「う、うん、まぁ…」
ふ〜ん。
え、じゃあもしかして、朝のドキドキは、それと一緒なの…?
「ていうか、なんでそんな事聞くの?」
「え、あ、それは…」
油断していた。形勢逆転。
真理っちはどんどん近づいてくる。
「もしかして…副島のこと好きだって認めたりしたとか?」
「あ!お弁当食べ終わってた!じゃあしまわなきゃ!」
真理っちの言葉があたってたのにはビックリした。
それを隠すため、ちょうどお弁当を食べ終わったことをいいことに片付けて真理っちから離れる。
とりあえず、一緒にいたらいろいろ聞かれそうで…
「ちょ、ちょっと!怪しいわねっ!」
「さぁて、学園祭の仕事でもやりにいこうかな〜?」
私はそれとなく、教室を出る。
「待ちなさ〜い!」
「きゃ〜!」
追いかけてきた真理っち。
ふと真理っちの後ろを見ると、ケンと緑君がこっちをみて笑いながらたっていた。
ドキッ…
気づくと、ケンの笑顔にドキドキしていた私がいた。
空は疑いようの無いほど晴れている。
この気持ちも、あの空と同じように疑いようの無いほど、実感できる。
「…ふわっ!」
急に目が覚めた。特に理由は無いが。
自分が放課後実行委員会室まで来たのは覚えているけど、そのあといすに座って、…
…
ということだ。
時計を見ると、既にここにきてから30分が経過してた。
「あ、ケン起きた〜!」
隣に座っているサエが俺に気づいたのか、そういう。
「というか、仕事たまってるんだろ?やんなきゃいけない俺が寝ていたら起こしてくれよ〜…」
「だって、ケンの寝顔…」
そこまで言ってサエは顔を背ける。
どうしたんだ?そう思っていると、後ろから肩をたたかれた。
「お目覚めですか副島君。どのくらいこのときを待っただろうか。」
緑が大量の書類を持っていた。
う〜ん、どう考えてもこの書類が押し付けられるな…
「30分ぐらいじゃない?」
書類に気づかないふりをして答えると、緑は書類を俺の目の前において何も言わずに立ち去っていった。
「…っておい緑ぃ!」
と俺が叫んだときには、人ごみの中へ消えていた。
まぁ寝ていたのは俺だから自業自得か。
「ということでサエ、ちょっと手伝って。」
後ろを向くとサエはまだ顔を背けていた。
「お〜い、サエ?」
「ん…わぁっ!」
「お取り込み中申し訳ないんだが、ちょっと手伝ってくれないか?」
「う、うん!もちろん!」
そういって俺らは書類の山と格闘しはじめた。
というかなにをやるつもりなんだ1年3組。希望予算額が150万って。
そう思って『企画内容』の欄を見ると堂々とした文字でかいてあった。
『ホストクラブ』
あぁ、じゃあ予算でドンペリとかを買うのか。
そんなことを思いながら、俺はこの書類の真ん中に『不許可、再提出』と赤ペンで書いてやった。
それから少しすると、放送があった。
『学園祭実行委員長副島君、同じく副委員長真壁さん、至急職員室まで来てください。繰り返します、…』
ん、俺?
と思ってサエを見ると、サエも同じような表情をしていた。
「なぁサエ、心当たりあるか?」
「全く。ケンは?」
「全然。俺らがなにしたっけなぁ…?」
そんなことをぶつぶつ言いながら職員室へと向かう俺ら。
「「失礼します。」」
「お、副島と真壁か。実はな、お前らにお客さんが来てるぞ?」
「「客…ですか?」」
そういって俺らは先生に応接室へと通された。
「ねぇケン、お客さんって誰かな?」
歩いている途中、サエにこそっと聞かれた。
う〜ん、ほんとに心当たりが無いんだが…
「わかんない。スポンサーの人とかじゃない?」
「案外そうかも。」
そうだったらまずいな、そう思いながら俺は緩んだネクタイをきっちりと締めなおした。
「よし、中でお待ちだから。」
先生に促されて中に入る。
というか俺、ここに入るの初めてかもしれないな…
中はイメージしていたとおりの応接室だった。
革張りのソファーとガラスの机、絵画や花。
「遅れてすいません。学園祭実行委員長の副島健人です。」
一礼して部屋を見ると、そこには女子高生が3人。
そのうちの一人が口を開いた。
「こんにちは、健人さん。」
「彩さん!」
俺は知ってる人でよかったという安堵感からか、ニコッとして彼女らが座っているソファーの反対側のに座った。
後ろで、サエがどんな表情をしているかも知らず。
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