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エピローグ
「高塔さん。起きて、起きて」
頬がやたらあたたかい。
「密流くん、その癖を止めなさいよ。又、時計城へ行ってしまうよ」
俺は、今日から仕事をする。
「大丈夫だよ。あの大統領はもういないんだ」
「次は、時の軸が変わって、女王とか現れるかも知れないだろう?」
着慣れないスーツを持て余して、パンとコーンポタージュをいただく。
密流くんは、パンを焼くのは上手い。
「それも、そうだね。でも、僕の癖は直さないよ」
「はいはい……」
玄関で、おろしたての靴を履く。
「行ってらっしゃい、高塔さん!」
「おう!」
『時計城』程、心の寒い所はない。
大統領は冷え切っていた。
単なるワガママだ。
そこから、自転車で東京劇場へと向かった。
俺のスタートは、これからだ。
冬来たりなば春遠からじだな。
しかし、密流くんの熱いベーゼから逃げないと、再びどこかへ行きそうだ。
「困ったものだ……」
Fin.