額にコップを乗せる事は不可能だって?出来るんだよそれが
2055年4月5日午前 10時15分 岩本燐
俺、岩本燐は、戦闘侍女人形の死体山の間を彷徨い続けていた。
空は赤く染まり、機械の破片や空薬夾やオイルなどが散乱する地面をただ歩いていた。
俺の背中には、細長い氷でできた槍が背中に刺さっていた。
幸い、致命傷ではなかったが、傷は出血してなかったが、氷傷になりつつある。
本来なら安静にするのがいいのだが、しかし俺は、それでも歩みを止めなかった。
周りにはうめき声や銃声や爆発音が聴こえる。そんな中、ひときわ大きく遠くの方で、大きな爆発音共に煙が上がるのが見えた。
「あの爆発は味方か?敵か?」
状況判断のため、腰にぶら下げている端末を開くが最悪画面が割れていてうまく見えない。
舌打ちをしながら後ろを振り返る。
「散火、今の爆発は、どっちかわかるか?」
白く長い髪の少女は、首を横に振る。
脳裏に、仲間達が全滅した姿が浮かぶが、頭振ってかき消す。
「とりあえず、ランディングゾーンまで歩こう」
「了解」
再び足を前に出すが、体が大きく揺れて倒れる。
つま先に力を入れるが、思うように動けない。
「散火、体力が限界のようだ、背負えるか?」
散火は、俺の首根っこを掴み肩で担ぐと歩き始めた。
散火の顔を見ると、俺の視線に気づいたのか、顔半分の内部骨格が露わになった顔を手で隠しながらこちらに向けほほ笑む。
「ご主人様は、今は休んでいてください、私がランディングゾーンまで運びますからほら、しっかりしてください…」
散火の人工髪から甘くて少し焦げたような匂いが鼻をくすぐり安心感をだしてくれる。
少し休もう、すこしこれまでの経緯を思い出そう。
西暦2053年
侍女人形それは、宇宙から降り注ぐ放射線コスモグラノを用いて核爆発を起こし稼働するアンドロイド。
それは、心と意志を持ったアンドロイド。
人々は、されらを、人生のパートナーとして、あるいは仕事の相棒として共に生活をし。
あるいは、侍女人形に武装され戦わせた。
侍女人形に武装させ、分隊に分かれ戦うスポーツDOLLBREAKZONE。
人は、DOLLBREAKZONEに出る戦闘侍女人形をこう呼んだ。
第二種戦闘侍女人形っと。
2055年3月20日 午前10時20 彩雲辰人
太陽が徐々に暖かくなってきて、店の窓からカウンターを照らす。
俺、彩雲辰人はカウンターの椅子に座りながら居眠りをしていた。
誰も来ないし、今日はこのまま昼まで寝よう。
徐々に、夢の中に入っていくような気持ちがいい感覚が訪れる中。
「いいのですか?このまま寝ていて」
ふと、耳元で、大人びた声が聞こえると同時に顔の上に何か置かれた。
しかし、今の俺には気にする事もなく、顔を傾け向けて何かを落とすと。
「あっづ、皐月。てめー、人の顔面に、コーヒーを乗せるなよ」
胸元の熱い感触で一気に覚醒した目で胸元を見るとコーヒーが掛かっていて濡れていた。
「あらら、まだ1分もたっていませんよ」
片手で、落ちる途中コーヒーカップを燐とした姿掴み取で、皐月は俺の眉間に指を指す。
こいつの名はスカイランナー皐月惨式、俺の戦闘侍女人形だ。
性格はいいのだが、たまにこういったいたずらをしてくる。
「いいじゃないですか、暇だから」
確かに、店には、誰も来ないていうか来る気配がない。
「今日は、まったりの日か」
上着を椅子に掛け、店の奥にある商品の整理に向かう。
「ここ最近、いろいろ忙しかったから、たまにはこうゆうのも悪くないですね」
こうは、暇でしょうがない、せめて、商品の陳列確認と掃除だけでもやろう。
皐月も、商品に掛かっている埃を落とす。
店内を見回す、かなり古めかしい和の作りとなっており、今時、珍しすぎる白熱電球が店内を照らす。
店の外には小さな川が流れており、こんな風に静かな時には、川のせせらぎが聞こえてくる。
「あ…」
皐月が外を見ると何かを見つけたようだが、少し気になったが商品の整頓で手を止められなかった。
「皐月、油売っているんだったら、下着の整理を手伝ってくれよ」
「わかったよ」
皐月が小走りに来る。
「これの整理頼むね」
俺は、畳みかけた戦闘侍女人形用の下着を皐月に渡すと同時に、店の扉のベルがなった。
見たことのない少年が姿を現した。歳は、俺と同じくらいかな?
「あのすいません、こちらに、魔鬼型散火って置いておりますか?」
俺の耳聞き覚えのある単語が入ってくるが、その単語は、俺にとって少し嫌な予感がする単語だった。
少し警戒しながら答える。
「はい、ありますよ、こちらにどうぞ」
警戒しながら戦闘侍女人形コーナーに案内する。
「これですね」
ガラス棚の中で立っている少女を指さす。
白いく腰まである髪に、左右が整えられた別嬪。豊かな胸の前に、鞘に入った短刀と大型銃が握られた手が交差している。
「これが…散火…実在したんだ」
ここで一つ、俺がどうして警戒するって?
それは、ここで売っている戦闘侍女人形の名は公表してないからだ。
例外があるが、あまり公表はしないようにしている。
なのに、どうしてこの少年は知っているだ?少し探りを入れてみる。
「お客さん、どうして、この娘名前を知っているんですか?」
後ろから皐月が姿を現す。腰にある刀を一本抜きながらっておい、それはやめろ。
「皐月、抜刀はやめろ、構えるだけでいい」
皐月の刀を握り、抜けないようにする。そうでもしないと、こいつ本当に斬りそうだからだ。
「あ、姉から、彩雲工房で作られた戦闘侍女人形、魔鬼型散火を買えって言われて、そこら中のお店をあったけど見つけられなくて、ここにあるって聞いて…」
「お姉さんの名前は?」
少年は、怖がって唾を飲み込みながら答える。
「岩本綾香です」
聞き覚えのある名がまた耳に入ってくる。
岩本綾香、うちの元テストマスターだったようなはずだ、今は、世界大会の選手をしているはず。
そして、俺の頭の中で、一つの名前が浮かび上がる。
「燐。もしかして、お客さんの名は岩本燐ですか?」
少年の眉間に少ししわが寄る。
「はいそうですかど、なんで、俺の名を?」
「昔、綾香さんから聞いた事があってな、俺と同い年の弟がいると」
警戒が解けたんだろうか?皐月は、刀から手を放し、少し考える。
「綾香って誰です?」
皐月は、綾香に出会ったことは無く、初めて聞くだろう。
「岩本綾香、元彩雲工房専属テストマスターだよ。
つっても、死んだ両親たちの代の話だからな、ちっさい時に面倒とか見てもらっていたんだよ。今は、たまに、うちの商品を買いにきたりしているね」
「いつも、姉さんがお世話になっています」
燐は、頭を下げる、皐月もつられた頭を下げた。
「皐月コーヒーを淹れてくれ、燐は、こっちに来て色々手続きをするから」
カウンターに案内させ、色んな書類を取り出す。
「ライセンスカード持ってる?」
ライセンスカード、戦闘侍女人形を購入したり所有するのに必要なものだ。
免許書みたいなものかな?
燐から、ライセンスカードを受け取る。
学生書みたいな大きさのカードには、少し笑っている燐の写真と、知っている高校名と仮免許の印があった。
「ほう、黒川学園に入学するか、俺と同じだ」
ライセンスカードに書かれていることを幾つか、書類に書いてから渡す。
「そうなんですか。名前聞いてもいいですか?」
燐はカードを受け取りながら俺の名前を聞いてくる。
「彩雲辰人だ、よろしくな」
燐に手を差し出し握手をした。
その後の手続きは、何もなく順調に終わったのであった。
2055年4月5日午前 10時35分 岩本燐
突如、腹部に強い衝撃が走り、意識が夢から目覚める。
瞼を上げると散火の胸が視界に入った。
どうやら、散火の肩で寝ていたらしい、鼻孔にコロンの匂いが鼻をくすぐる、目のやり場に困りながら横を見る。
「もう少しで、ランディングゾーンです」
散火は、俺の頭を撫でながら、岩ばかりの坂を上る。
しばらく、坂を上っていると、大きな岩の影に、迷彩模様のテントが数か所張られていた。
中央にあるテントの中に入るとでは、辰人と少年三人が、長机に地図を広げ何やら言い争いをしており喧嘩寸前になっていた。
俺は、争いを止めるため、散火から降りて歩み寄ると再び視界が大きく揺ぎ、俺は意識を失った。
はじめまして、しんTろうーと申します。
なろう小説に投稿するは、初めてでルビが旨く振れたか心配です。
何せ、Windows8なのでルビが見えない。
ハーメルンのドールブレイクゾーンではちゃんと振れているので、よかったら見てください。
読んでくださった方に感謝を送ります。
彩雲辰人の頭にコップを乗せるシーン。あれ、上を見ながらおでこに乗せると再現できます。