魔王の転生
五千年後―――――魔界、魔王城 セレクトイン
千年に一度あるかないかの十字架と剣が混ざった流れ星が大量に流れた日。
魔王城の主代理、セントラルは城のバルコニーから空を見上げ喜んでいた。
「おお…遂に我らが王が転生された。今宵は宴だ」
その様を見ていた水色の瞳に深緑の髪を持つ従者である男。
「…セントラル様、御夕食の準備が整いました。」
「ああ…今行く。今宵誕生した者を城へ連れてこい」
「畏まりました。」
従者は部屋から出た後、直ぐに城の地下室へと向かった。
地下室は白を主にした家具が多かったが一際目立つ物があった。
それは人が一人は余裕で入る大きさで中はピンクサファイアの色をした液体で満ちているカプセル。
そのカプセルの近くにテーブルが置かれており、様々な魔法器具が溢れていた。
従者…ゼスト・ミリオンはテーブルに隠されたスイッチを押し床から続く部屋へ入っていった。
部屋は白の豪華なベット以外はなく、一面真っ黒であった。
ベットには白銀の髪をした少女が眠っており、ゼストは近づき少女の頬を軽く叩いた。
「ミサ、魔王様の魂を持つ者が転生された。保護しに行くぞ。」
「……んっ……あれ……なんでここに…ゼストが……?」
「起きろ、ミサ。我らが主が目覚めた。」
「……主様が…?」
「ああ。」
「じゃあ行こっか…」
ミサは眠たそうにあくびをし、起き上がる。
それと同時にゼストは白い巫女装束をミサへ渡す。
ミサはうわ…って顔をしたが渋々服に腕を通す。
「…これでいい?」
「ああ…では行きましょうか。美咲様。」
「そうね…零。」
床一面に転送魔方陣が浮かび上がり二人の姿を消した。
同時刻――霧界、闇霧の社
闇霧の社は山頂にあった。
その大広間とでも言うべき部屋にその者はいた。
その者と言ってもまだ覚醒していない只の赤子なのだが…
その赤子は名を御門と言う。
御門は霧界では珍しい燃えるような紅い髪に総てを透き通す様な透明な瞳をしていた。
御門は社の主の子であった為、その異様差から守られていた。
他の者の子であれば異様、鬼の子、等云われ山の麓に捨てられるか殺されていただろう。
それほどまでに紅髪に透眼は異様なのだ。
紅髪は炎竜王を指し、透眼は破壊を指す。
霧界では紫や緑等の色が一般的で時折、紅も発現する。
だが、紅は霧族の長であり霧界の皇族にしか発現されないと云われている。
闇霧の社の主には現王の妹が嫁いできた為紅もあり得るが…王の妹は紅ではなく白だった。
白も白で珍しいのだが…この際いいだろう。
透眼はこの世で最も忌むべき…邪神の瞳だ。
正確には邪神が無差別消去を行う前、世界を破壊していた時の瞳なのだが…知る者はいない。
邪神=透眼になっているのだ。
透眼は別名〈魔眼〉と呼ばれ古くは代々の魔王の瞳だった。
現在、魔界は漆帝界と呼ばれる一つであり、漆帝界には天界、魔界、人間界、精霊界、神界、冥界、伊海があり、他にも漆帝界以外に有名なのは伍冠界などがありグループ分けされない多数の界がある。
話が逸れたが御門はその容姿のまま、闇霧の社の境内に自分専用の屋敷が与えられ、屋敷から出なければ何もされなかった。
最も好奇心旺盛な彼女が出なかったかどうかは話が別だが。
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一方、転送魔方陣で魔王城を去った二人は………迷っていた。
闇霧の社がある山は〈迷宮山〉と呼ばれ頂上の闇霧の社に行くには社の者の案内が無くては行けない。
それも、社の者でも頂上まで迷わずに行けるのは数少ない。
十年、二十年迷うのは妥当だろう。
だが、数年後、彼らは現れる。
世界を恐怖に陥れる代行者として。




