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③09分01秒~11分00秒

 

 ロトリロ村はのどかで辺鄙な、山あいの村だ。


 空気がうまい。

 さっきまで人の多い場所にいたのでなおさらだ。


 バートンも、二回目にして転位魔法に慣れ始めたのか、驚くでもなくむしろ自然の豊かな土地に来てほっこりしているように見えた。


 しかし目的地はここではない。

 ここから近い、破邪の紋章がある神殿に行かないといけない。


 村の入り口付近には、何をやっているところなのか不明な村の娘が、一人で突っ立っている。


 俺は、彼女に話し掛けることにした。


「ちょっと聞いていいか」


「はい、ここはロトリロ村よ」


「知ってる。神殿に行きたいんだが、ここからだとどのくらいの時間が掛かるかな」


「馬に乗っていけば、夜までには到着できるわよ」


 村娘は、すぐそこのようなニュアンスで言ってくるが、やはり田舎は距離感がシティーボーイであるところの俺とは決定的に違っている。


 俺に夜まで掛けてのんびり旅する余裕があればいいのだが、あいにくそうはいかない。


「質問を変えよう。君は、神殿に行ったことはあるか」


「あるわよ。村の人はみんな、年に一度はお参りにいくのよ」


 ならば、この村の人間なら誰であっても仲間にすることで神殿への転位ができるようになるわけだ。

 そして俺には時間がない。

 自ずと、取るべき選択は決まってくる。


 俺は、目の前の村娘を見る。


 年の頃はアインと同じか、少し上くらいだろうか。

 地味な田舎娘という初対面の印象だったが、よく見ればなかなかの美少女だ。


 確かに派手さはないが、どこを見ても引き算になるところが見当たらない。一つ一つ平均的な要素が集まって構成された外見なのだが、バランスが崩れたところがなく整っている。


 結果、ある意味では親しみやすい普通さを漂わせながら、一方では全く隙のない調和のとれた美しさを持っている。

 それが彼女だった。


「な、なんですか」


 あまり俺が見つめるので、彼女は顔を赤らめる。

 それがまた可愛い。


「もう、君でいいや。いや、むしろ君がいい。君は、今から俺の仲間だ」


 俺は、力強く宣言した。


 村娘が仲間になった。

 これで神殿に転位できる。


 俺は躊躇なく、バートンと村娘を伴い、即座に転位魔法を使用し、神殿にむけて飛んだ。


 残り時間はあと19分。


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