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輝く星に伸ばす手を。  作者: しっちぃ


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たかなる。

 たどり着いても、人の熱気でむしろ外より熱いくらい。そりゃ、みんな暑いもんね。冷たいプールで、ちょっとでも涼みたいよね。

 とは言っても、今から入るっていうのは、うちらと、あと数人くらい。同じ方向からだったから、多分みんな星花の子たちなんだろうな。学校とつながりがあるとかで、入場料が星花生は半額の四百円で、ウォータースライダーとかのアトラクションのフリーパスをつけても千円もかからない。だから、うちらみたいに泳げなくても、けっこう安くて楽しめるから人気になってるみたい。

 空いている受付にあっさり着いて、学生証を見せたら、千円ずつ出しておつりを半分こ。デートしてるんだなって今更思い出す。

 フリーパスになってるリストバンドを着けて、いよいよホールの中へ。賑わいに消されないように、自然と声が大きくなる。

 

「有里紗ちゃんって、何かしたいことある?」


 貰ってきた案内マップを広げながら唸ってるところに訊いてみる。着替えのことは、あえて触れないように。それに触れちゃうと、すぐ照れて、何もいえなくなっちゃいそうだもん。……だって、うちも、考えたら、頭が爆発しちゃいそう。有里紗ちゃんの水着とか、すっごく気になっちゃうけど。

 それにしても、前見てないと危ないよ。考えさせちゃってるのはうちんほうだから、さりげなく腕を絡めてみて。


「うーん、そうっすねぇ……、って、せんぱい……っ!」

「ごめん、手、空いてなかったから」

「うっ、わ、分かってますって……、あ、更衣室こっちみたいっすよ」

「あっ、……うん」


 絡めた腕をそのまま引っ張られて、ロッカールームへ。ぐるっと一周して、隣同士で空いてるとこがあるから、そこを使わせてもらう。


「先輩、……その、あの、着替えのとき、向こう見ててくれませんか?」

「いいけど、どうして?」


 お風呂のときでも、こんな風に照れることはなかったのに。顔見知りしかいないような場所じゃないっていうのもあるだろうけど、初めてのデートってことで、魔法がかけられちゃってるんだな。


「……わかるでしょ?先輩だって」

「まあ、ちょっとはね」

「だから、言いません、あたしからは」


 ぷいってそっぽを向かれたけど、その前にいっぱい見れちゃった。ほっぺた、真っ赤っかになった有里紗ちゃんのこと。


「はいはい、……有里紗ちゃん、照れ屋さんだもんね」


 その言葉に、返事は来ない。その事は、なんとなくわかってたけど。さて、うちも着替えなきゃ。やっぱり、ちょっと照れちゃうね。裸になってるのも、お風呂でもう見てるはずなのに。

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