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輝く星に伸ばす手を。  作者: しっちぃ


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ゆくさきへ。

 駅から出ると、むわっとした空気が、ますます熱く感じる。日なたってだけで、相当熱く感じる。まだ日が高いから、日陰もそんなにないし、今くらいが、ちょうど一番暑い時間のはず。

 駅からだと、歩いて五分ちょっと。日焼け止めも塗ってないから、焼けた肌に、ちょっとひりひりする。


「こんなに暑いと、プール気持ちいいだろうな~」

「そうですけど、あたし泳げないんすよねー……」

「えっ、そうなの?ちょっと意外かも」


 といっても、うちもあんまり得意じゃない。平泳ぎでせかされなきゃプールの端から端まではなんとか行けるけど、クロールは全然だ。バタ足で膝を曲げないで太ももだけで蹴る感じと言われても、全然よくわかんない。


「そうっすよ、ぷかぷか漂うのだったらいいっすけど、泳ごうとしたら沈んじゃいそうで……」

「うちもあんまり泳げないんだよねー、水泳大会のとこ、陸上大会になってほしいよねぇ」

「あたしたち陸の生き物なんだから、こっちのほうで速いほうがいいのにって感じっすよ」

「それでも、プールには来ちゃうんだよねぇ」


 冷たくて気持ちいいし、泳ぐんじゃなくて、水遊びとかなら好きだし。それに、ほんのちょっとだけ、気になっちゃうこともある。

 ……有里紗ちゃんの水着姿って、すっごいかわいいんだろうな。去年までは、知り合いでしかなかったから、どんなのを着てるのか想像もつかないけど。


「だって、めちゃくちゃ暑いのにそんなか走り回ってるんすよ?もう溶けそうで……」

「エアコンも使いすぎると怒られちゃうもんねぇ、お風呂もあったかいし」

「だからしょうがないんすよ、アイスとかもいいっすけど、食べすぎたらお腹壊しちゃいますし」

「お小遣いも無限にあるわけじゃないもんねぇ……」


 一応、人よりはおこづかいも恵まれているほうだとは思うけど、どっからかお金が湧いてくるわけじゃない。相性のいいスパイクはけっこう高いやつだし、履きつぶしちゃったらしばらく買い物なんてできなくなる。有里紗ちゃんは毎月ある程度貯金してるみたいだけど、そこまでマメにもなれないし。


「だから、こういうとこでちょっとは涼まないと、溶けちゃうっすよ……」

「うんうん、いっぱいひんやりしちゃおっか」


 とは言っても、胸の中で熱くなってるのがあるのは、ごまかせない。はじめてのデートなんだから。有里紗ちゃんも、ドキドキしてくれてるのかな。自然と繋がった手は熱いけど、暑さでごまかされそうだし、素直になんて、言ってくれないし。

 たった五分ちょっとの行く道は、早く着いてほしいような、そうでもないような。

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