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輝く星に伸ばす手を。  作者: しっちぃ


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あかないひみつ。

 食器も片して、水着を取りに部屋に戻る。鍵も持ってきてたんだから、水着も持ってくればよかったのに。二人してちょっと抜けちゃってるな。まだ一緒に並んでくれない有里紗ちゃんを追っかけて、部屋まですこし早歩きする。


「もー、なんで置いてくの?」

「内緒ですよ、言ってもどうせ分かってくれないですし」

「えーっ、そんなことないよーっ」


 早歩きでも、2階分上がるとなるとちょこっときつい。うちがスタミナないのも知ってるくせに、好きなのも、もっと知りたいって思ってるのもわかってるくせに、いじわる。

 階段のとこで一気に駆けあがって、腕をつかむ。うわぁっ、なんて悲鳴を上げるのがかわいくって、いじわるした分はこれでチャラってことにしよっかな。


「いいでしょ、だめ?」

「んもう、……いいですけど、外でしないでくださいね?」

「じゃあ、お部屋とか廊下ならいいんだーっ」

「そ、そういうんじゃなくて……っ」


 相変わらず、ほっぺを赤くする有里紗ちゃん、踊り場で止まったから、真正面に立って真っ赤になった顔を見上げられる。相変わらず、かわいい。恋人になってなかったら、見れないような顔。ほっぺ、むにむにしちゃいたくなるような感じ。


「じゃあ、どういうことなの?」

「……言わせないでくださいよ、もう」

「えー?言ってくれなきゃわかんないって言ってるでしょ?」


 照れ屋さんなのは知ってるけど、こんなに内緒なことばっかにしないでよ。ずるい。だから、踏み込もうとして、その度に、止められる。


「そういうのがずるいんすよ、先輩は」


 そういうこと言って、何でかをずっとはぐらかされて。闘牛でもされてるみたい。有里紗ちゃんだと、持ってる布じゃなくて、顔のほうが真っ赤だけど。

 

「えー?そっちだってずるいよ、何も教えてくれないしさぁ」

「だって、……しょうがないじゃないじゃないっすか」


 どこがしょうがないの、……言ってくれなきゃ分からないって、ずっと言ってるのに。そうやって隠すから、知りたくなっちゃうんだよ。うちにだって気づかれちゃうくらい、隠すの苦手なのに。

 

「部屋でなら、いいよね?二人っきりなんだから」

「え、えぇ……?」

「聞くまで、外出さないから。……もやもやしたままスタートしたって、いいタイム出ないんだから」

「100メートル走じゃないんですから、そんなに焦んなくていいじゃないですか……」


 こんなに意地っ張りなとこ、初めて見たかも。何となく、言いたいことだってわかる。好きな人にだって、あんまり言いたくないことだってあるのも。

 

「そんな変わんないよ、……早くしないと、デートする時間無くなっちゃうからね?」


 恋人同士だっていうの気づかれたくないっていうから、耳元で囁いて。今度は、うちが有里紗ちゃんを引っ張って部屋まで駆けこむ。

 初めてのデートなんだから、思いっきり楽しませてよ。他のこと考えると足が止まっちゃいそうなの、わかってるでしょ。

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