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輝く星に伸ばす手を。  作者: しっちぃ


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はじめのいっぽ。

「じゃあ、また来週な」


 みっちりしごかれて、朝練したわけでもないし、まだお昼前なのに疲れた感じがする。2時間ちょっとの時間、怒られたりつつかれたりしながら、なんとか5枚は終わらせた。プリントの課題はあと半分で、他のも合わせても、3分の1くらいは終わったことになる。


「うん……、おつかれ~」

「ほら、今日だけでけっこう進んだじゃん、ゆっくり楽しんできな」

「由輝ぃ、オレももう終わりにしてー?」

「さっきから果歩は寝てばっかでしょ、まだダメに決まってるでしょ?」


 志乃ももう終わらすし、これからみっちりしごくからね、なんて声が、妙に明るく聞こえるのは、多分気のせいじゃない。何だかんだ、二人も仲良しなんだなぁ、うちらとは、ちょっと違うのかもしれないけど。


「あたしの志乃先輩がご迷惑おかけしました」

「いいってもんよ、慣れてるし、……それにしても、『あたしの』志乃ねぇ……」

「ひゃうっ!?」


 あーあ、また顔が真っ赤。何度も何度もスイッチを踏んで、そのたんびにからかわれて赤くなる。そのせいで、うちまで顔が熱くなってくる。


「しっかし分かりやすくバカップルしてるなぁ、二人して」

「そ、そんなに分かりやすかったかなぁ……」

「そりゃもうバレバレだったぞ、特に志乃が」

「ふえぇ!?」


 けたけたと意地悪く笑われて、顔が赤くなって、……それ以上に、恥ずかしさでどうにかなっちゃいそう。こういうとこなんだろうか、わかりやすいとこって。


「ほら、そういうとこが、この恥ずかしいバカップルどもはとっとと出てった出てった」

「うわぁ、押さないでよお~っ」


 うちらをまとめて押して、追い出す果歩ちゃん。果歩ちゃんなりに、応援してくれてるのかな、……うちらのこと。

 追い出されて、ぴしゃりと扉を閉められる。行く当てもないし、とりあえず部屋に戻ることにする。……これから、どうしよっか、デートするのだって、「はじめて」だし。

 

「とりあえず、部屋戻ろっか、お昼、どうする?」

「そうっすねぇ……、食堂もそろそろ開きますし、そっちにしません?」

「それもそっか、そっちのほうが安いもんね」


 食べ盛りのうちらじゃ、普通に外でお腹いっぱいになるまで食べちゃうとそれなりにお金がかかってくる。そういう点じゃ、食堂のご飯はけっこう安いし、大盛りにすればお腹もいっぱいになるし、普通のと値段もそんなに変わらない。まあ、今日はプールに遊びにいくから、そんなに食べるわけじゃないけど。


「そうですよ、遊びにいくんですから、そっちに使ったほうが楽しいじゃないっすか」

「えへへ、それもそうだね」


 ……でも、普通のデートだったら、どこに行こうか悩んだりするのも楽しいんだろうな。晴れやかなはずの空の近くに、もくもくと入道雲が湧いてる、ような気がする。

 

 

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