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輝く星に伸ばす手を。  作者: しっちぃ


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30/54

まどろんで。

 どこまでが夢だったのか、わかんないや。昨日の夜は、それだけ眠たくて、気持ちよくて、嬉しいで満たされて。

 目覚ましがなくたって、蒸し暑さと習慣のせいで自然に目が覚める朝の六時半。昨日、あんなに走ったのに、筋肉痛なんて一つもない。有里紗ちゃんにマッサージしてもらったのは、本当のことだったんだ。……それじゃあ、ちゅーしてもらったことは?

 それは、はっきりとはわからない。くちびるがほっぺに触れられる感触も、あのとき、うちへの気持ちを伝えてくれた、甘ったるいような、切ないような声も、我に返ったようにベッドに逃げ込むときのドタバタも、胸の中に残ってるのに。

 結局、どうだったんだろう、このまま二度寝できそうにはないし、思いっきり体を伸ばす。ねえ、有里紗ちゃん。有里紗ちゃんが告白してくれたときに、「あのとき」のお返しはされたのにな。だから、昨日の夜のお返し、してもいいよね?


「有里紗ちゃん、起きて」

「んん……しの、せんぱい?」


 昨日も、おんなじようなやり取りしたな、思い出して、ちょっとだけほっこりする。目の前で光を避けるように寝返りを打って、時計を確認する。


「えぇ……? まだ7時にもなってませんよ?もうちょっとだけ寝ましょうよ……っ」

「しょうがないなぁ、エアコンかけていい?ちょっと蒸し暑いし」

「いいっすよ、……先輩、勉強したらすぐ寝ちゃうでしょ?だから少しでも長く寝てくださいよ」

「もー、そこまで言う?」


 でも、うちがすぐ寝ちゃうのは事実だから、ここはおとなしく二度寝させてもらうことにする。今からだと、寝れて二時間くらいだけど、それくらいなら、眠気も少しはなくなるかな。

 エアコンをつけると、涼しい風がゆっくりと部屋を冷やしてくのがわかる。もうひと眠りしようかな。眠気には、さすがに勝てないや。


「それじゃあ、またおやすみー」

「おやすみなさい、先輩」


 ベッドに寝転がって、ふんわりした気だるさを噛みしめる。二人でいるだけで、なんにもない時間が、全部楽しくなる。

 これが、『恋人同士』っていうものなのかな。ふわふわで、甘くて、溶けちゃいそう。

 勉強会を済ませたら、……二人で、デートできるんだよね、今から楽しみで、眠れなくなっちゃいそう。そんなこと言ったら、「先に宿題済ませなきゃ」なんて真面目に言われちゃうんだろうな。

 うちも、有里紗ちゃんも、あんまり自由な時間はないんだから、休みの日くらい、二人きりでいたいのに。まだ、溢れそうな『好き』の伝えかたもわからないのに。

 もやもやとドキドキに混ざったもののなかに、うちも入ってく。もっといっぱい好きって言えたら、有里紗ちゃんも、この気持ち、わかってくれるのかな。

 


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