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片倉トーリの日常なる非日常  作者: 十ノ口八幸
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不条理と条理の日常〜青年〜始まりの出来事ー不快なる玉座ー

二人は深く吐き出していた。

緊張て。それ以外も在るが。

目論見は概ね通った。

しかし知らない土地での無関係な王位争奪戦争。周囲全てが敵であり味方など居ないに等しいというより全く存在しない。

後ろ盾もなく。得るのは身近な恐怖と恨み辛み冷笑。 嫌な感情が向けられるだけの無価値な様々と色々と。

どうして参戦しなくては成らないのか。 と考える二人。

それは前触れなる人形が現れた事というあからさまなアレの作戦よりも完全な嫌がらせという横槍だった。

人思いなこと捻切りたいという同調できない感情。

色々な事を調べてこの国の歴史を調査していると一つの結末に辿り着いた。

この国は長くない。

国ではなく王族の血筋が無い。

理由は簡単だった。

血族間結婚。

遠くとも四親等。

純血を守るあまりの愚行だった。 だからこそ無関係な血を入れる必要がある。

と説明されたが。それの何が悪いのか。

そう聞いた。

溜息と憐れみを向けられ説明されたが理解できなかった。

純血を重要視するのは当たり前だ。

別の血が入ると言うことは血が薄まるということ。

それを阻止するなら血統を守るのが当たり前。

そう説明したら。

「ならその一族は遠くない未来にて断絶するだろう。悲惨な結果を残して。」

と脅しのようなことを言われた。

憤慨して襲いかかる寸前で目を覚ました。

夢でありながら現実だと理解できた。

理解したくないが理解するしかなく。

助ける気は無かった。始めは。

しかし本当に未来は最悪な方向へと繋がるのか疑問だった。

それはこの会議に関連した資料を貰って把握し照らし合わせ確信してしまった。

アレの言っていた事が王族に現れていたから。

しかし、だからと言って無関係な自分やもう一人が進言しても無視されるのが見えている。なら独自に解決。できたとして何の利益にも成らない。

助ける理由も無いのにどうして助けないといけないのか。

そう思っていたが運命という最悪に翻弄された二人が同時に継承権の印を寄越してきたのだ。

拒絶したかったが。

その体を蝕む存在を取り除く方法を知っているのは自分ともう一人。

無益ということしか見えないのにもう一人は受け取った。

素直に。

仕方なく諦めて受け取る事となった。


そして。

強制参加させられている王位継承戦争の準備も終わりに近づいた頃に王からの要請を受けて謁見の間に継承者全員が集った。

二人は何も持たずに入ったが。

他の継承者から何かを言われていたが気にしなかった。

聞く必要もなかったので無視していた。

そして王の入室と同時に肘を着いて頭を下げているが一人だけ立っていた。冷めた目を向けて。

それは第四位。

名をエーディルクス・ラウ・ガリアスティア

この国ガリアスティア国の次期継承権者。

その視線は射殺す事さえ厭わない意思をハッキリと読み取れる。

他の継承者は何も言わない。

だが突如エーディルクスは前のめりに倒れた。

前兆もなく突然の事で誰も動けない。

誰もが状況を飲み込めず静観するしかなかった。勝手に床へ倒れたのだ。

故に下手に動けば非ぬ疑いを被るとして玉座に座る王さえも動かなかった。

誰かの声が言う。

監視玉に記録されている映像を観れば何か判るだろう。と。 しかし誰も動けない。

その言葉だけでは確信すらできない。

尚も誰も動かず時間が過ぎていくかに見えたが。

「監視玉てこれかな。」

声のする方へ全員の視線が向く。

そこには一人特別に王位継承戦争へ強制参加させられた二人の内の一人が壁を指差していた。

其処には何もなかった。

何も無いのに動かず差し続けているという不明な行動。

王も呆れていた。

その場所には何も無いという。

暫くして指していた手を下ろして笑いながら近くにいた者の腕を掴んで自分共に回転させて指していた部分へと放り投げた。

放り投げられて悲鳴は短く当たる前に身体が燃え上がり別の意味での悲鳴を上げながら何も残さず燃え尽きた。

絶叫が謁見の間に響く。

そして控えていた衛兵に取り囲まれる。

しかし動かない。視線も一点を見ているのみ向けられている槍先など無いかのように。

そして言葉を続ける。

アレを見てもそう言えるのか王よ。と。

アレをと言われた箇所には玉が埋め込まれていた。

先程まで無かった玉が。

気づけばその箇所だけでなく天井も柱も床の死角にさえ埋め込まれていた。

在るのだ。

幾重にも見えないように掛けられた力によって設置されている監視装置。

その存在を知るものは王族貴族であろうと知られていない王のみが知る。

しかし候補者で。それも部外者である者が何故にその存在を知っているのか。という疑問はこの際置いとく。と王は考えた。

それは装飾品である。

と王は答えたが。

無理があるだろう。なあ、王様。と笑ったのだ。

視線は監視装置とされる玉を視界から。そして視線すら外さず続ける。

これを装飾品とするなら無理があろう。柱や壁までなら範囲内。ましてや天井も含めるとだ。というか普通だろうしかし。だ。床にまでというのはないよなぁ。という説明しながら視線は玉から外さず。

それが何だ。と王は問うた。

趣味。という逃れ方もあるのだろうが。無意味だ。と拳を握りしめる。

飛んで玉を破壊すると音が鳴る。

当たり前だ。

当たり前だがそれは有り得ない。

何故ならば。

王は装飾品と断言したのだ。

装飾品にそういう細工をしたとして意味を見出す意外で行き過ぎた細工だろう。

だが鳴ってしまった。

鳴り響く音の意味は警告。


最重要が破壊された事により記録を移す媒体を選定してください。尚、詳細を参照するには権限が必要です。


その回答は。


なら今すぐこの媒体に全てを移し残された機体へ全て削除の上完全廃棄。


最上権限者認定。これより内部に残された記録を新たな媒体に移し、全機体は廃却処置します。


だが王が停止を命じた。


理由を聞いても。

持っていた媒体には半分の情報も無く。身体も目線さえ王には合わせなかった。


態度を改めよ。

その命令に従う理由をお聞かせ願いたい。

候補から外す事も可能だと。

それは此方としても願ったりな条件。どうぞ候補から除外してください。でも出来ないでしょ。アナタは王の権限は有しているが候補選定に関する権限は何も有していない。何故なら幾つかの候補者は凡そ王の資質が無い。それか欠けている。なのに除外も排除も粛清すらない。これは王を決める機関が存在するという証明の一つかと。しかし歴史を見てもそれらしい機関等は見受けられないなので存在していないとも言える。さて。話が逸れましたが何故に記録の移し替えを阻んだのですか。


苦悶の表情は正解を当てた事に対する現れか。

しかしそれはこの状況で意味は無い。


これが最後です。何故阻む。知られたくない何かが在るのかな。お、完了か。

手元の媒体は点滅して緑に光り完了を伝えていた。

王は驚きを隠さなかった。

そして。

後悔することになる。と言うと黙ってしまう。

その僅かな時間の後、媒体を移し替え機体廃棄まで完了している筈の玉が突如起動し、謁見の間の凹凸のある天井が平に変形し全ての玉から光が照射され何かを映し出す。


その映像は俯瞰視点から見た高い壁に囲まれた国。

大きさ的には国と言って差し支えないだろう。

平和そのもので何も起こらなかった。が。

中空に円陣が現れると黒い大きな塊が現れ国の端。壁の上に落ちていった。

音はないが壁の一部を破壊し何事もない様に前進していく。

直後に黒い塊が弾けた。

自爆かと思われたが違う。

それは更なる虐殺の始まりだった。


短時間で国は滅ぼされ外壁さえもなく残ったのは草木なき荒野。滅びの元凶である黒い塊達は事を成し遂げた直後に地面へ沈んでいった。


最初に発言したのは王だった。

それも否定する様な発言。

何か細工をしたのか。

という問いに対して否定した。

この様な映像が在ることは知らない。監視の事は調べて知っていたがそれ以上は知らない。当然にして中身までは把握していない。

と返した。

だが王は納得しなかった。

何故なら。

円陣から出る影は数百万もの数で現れ半時も経たず一つの国を滅ぼした。と宣った。

それは側近さえ知らない事。

その事に関しての追及はその場でされない。

しかし話は続く。

黒い集団がその場を離れるように去っていったのはそれから随分と経ってから。

だが見せられている映像では地面に沈んだ黒い塊達が滲み出るように現れ弾け再び一つと成って空へ上がると瓦礫と血に染まった滅びた国に向かって自身の周囲に二つの玉を造りそしてそのまま落とし、何処かへと去っていった。

二つの玉は地面に到達する前に一つと成って凝縮する様に小さくなり瓦礫の一つに触れると光と炎と突風を起こし、そして最後に残ったのは何処までも深く底の見えない大きな穴が残されるだけとなった。

その場に居合わせた全員から同様の声が聞こえてくる。

そして王も然り。

冷静なのは仕掛けを解いた者のみ。

だが映像はそれだけで終わらなかった。

爆発の余波による大気の影響か空には厚い雲が形成され爆発の影響による地面の溶解が進んでいたが、雲から大粒の雨が振り注ぐと冷えて塊り大きな穴へと水が流れ込んでいく。

映像は流れる水だけを映し続けると突如映像が乱れ一瞬だけ切れると再び映像が復帰されたのだが。

その場の全員が驚くしかなかった。

映像には全くの無傷で変化もない、先程まで世界から消えた国が存在していた。

そして全員の記憶には当たり前のように記憶している歴史ある国。

コードヒアリズガムという古代から続く国である。

という知識が芽生えた。

だが次にはまた映像が乱れ。空と大地から二つの影が現れ国を蹂躙するように争っていた。

芽生えたのはコードヒアリズガムという古代に原因不明の滅びに見舞われ歴史から姿を消したことになっている国。

混乱していることを悟られないために平静を保っていたが。相方は涼しげにまだ映像を見ていた。


映像は乱れ次に映し出したのは国が発展していく様子を記録ていた。

何も起こらない。

影も落ちず現れず。戦争に発展するような事象さえ無かった。

変わっているとするなら国名がリャベルデイエスという名前に変わっていたことだけで知識として存続している

何が起こっているのか理解できないままに事態は動く。

それも二人が予想の外より異なる次元干渉をもってだ。

振り返ると全員が何も無かったように見続けている。

そして画面を再び見ると国は崩壊も消滅も殲滅もされず今日まで現存している。

誰かが発言した。

「なんなのですかこの映像は。どうして彼の国の映像が存在するのでしょうか。」

と。

知識としてこの国。リャベルデイエスに関しての物理的な情報は全て破棄されるか表に出ないよう厳重に管理するというよく解らない取り決めとなっている。

誰がその様な事を決めたのか。

資料館で調べて質問すると全員が同じ回答をした。

事に成っていた。

はて。

疑問を浮かべながら進行する事態。

世界条約違反だ。と王に迫る。

しかし王は少し笑い。

そして。

心配ない。と宣った。

その理由を問う前に悲鳴が上がり始める。

突如、数人が苦しみだし床をのたうち回ると全身から血を噴き出して命を失った。

苦しみは長く続かなかった。

一人、又一人と命は消えていく。

愚行だと二人は考え命の吸い出しを回避しながら王を見ると二人は同時に吐き気と悪寒と僅かな畏怖を感じていた。

王は笑っている。

自身の家臣だけではなく、親族血族含めた人達の命が亡くなっている事に対して笑っているのだ。

二人は知識の中で疑問した部分を思い出していた。

この国の王の肖像画は全て同じ顔をしていた。

似ているとか近しいとかではなく。寸分違わず同じだったのだ。

そして王は代替わりの度に幾度も内紛が起こるが最後は同じ顔と体型の皇太子が即位していた。

記録にはそう記されていたが、今回、全ての継承権者は似ているが一部や仕草、体型や癖等が近しいと資料には記されていたが、余り気にしなかった。

嫌、気にしなさすぎた。

そしてこの場面にてその理由を理解した。

したくなかったがしてしまった。

「命を喰らって命を永らえさせる。不死の一つか。」

「最後の一人なら理解できますが、完全一致なら誰か気ずくはず、まさか時間を掛け、て。」

笑いながら嬲るような視線を向けられ二人はその場から王に向かって走った。

背後から突き立てる音。

貫かれていたという理解をしながら近づくが寸前で壁に阻まれた。

その質感や見た目に二人は距離を取ろうとして退路が無いことに気付いた時には遅く背後に捉える物体が張り付き、蜘蛛の巣に絡め取られた状態に成った。

更に笑う王。

端から自分の栄養として反映させてきたのだと。そして今、この状況こそが思い描いたであろう瞬間だったのだろう。

そう推察し話したが。

「それはない。」

と否定された。

「ああどの様な時に食すかは気分次第。何時もはそうしていた。だが今回は想定外異常が発生したのだ。だからあの様な理由として継承権争いを始めたのだ。」

「それと俺達と関係ないだろう。魂の縛りを施して放逐すれば済む話じゃないのか。」

首を振る。

「無関係とは言えないな。知っているか。先の国終の事を。あの原因はお前達だろ。」

クニツイとは何かを聞く前に口を塞がれた。

「では食そうかどの様な味を私に与えてくれるのかな。」

瞬間。知らない知識が流れ込み知らない景色が見えては去っていく。

これが誰の知識なのかは明白だがそれ以上に膨大な知識と長い年月を無理矢理に疑似体験させられ精神が崩壊しそうだった。

口を開こうにも塞がれ喉奥まで侵入され息さえままならない。

視界が霞んでいく。

朧気になり手足の感覚も無くなっていくのは命の終わりが近づいているからだろうか。

隣にいる者の気配は感じられない。横を向く力さえない。

そして意識は消えて溶けて同化していく。


浮遊感がある。意識はあるが肉体的な感覚は消滅している。

これが所謂、精神体という状態なのだろうか。

しかしこの状態になって何があるのかという疑問と自問して答えが出るのかというと別である。

原因が王の出したであろうモノによる肉体の捕食という結果、精神が何処かへ飛ばされたか移されたかだろう。そう推察し『見る』というより《感じる》が正解に近いだろう。肉体的な目は無く目を閉じて開けられないでも完全な闇とは遠い瞼の向こう側から感じる光の感覚。

縋るように無い手を伸ばして。

「触れるな。」

という静かな静止と心が昇るような感じを覚え次に見るのは。


玉座の崩壊と王の絶命した姿だった。

何が起きたのか。という質問より速く答えは来ていた。

「》はははは。これは望外の展開すぎる。計画的には削ぎ落とす為に認識を壊して崩壊まで。しかし王自身は無傷。それから後は二人に任せるという筋書きが台無しに成っている。さて。何が原因だ《」

初めて聴く声に後ろ姿しか見えないが知らないのに観たような感覚は。思い出すより先に答えが振り返った。

見覚えは無いのに所々に見たことあるなあ。という感覚。何故、そう思ったのかは疑問しかないがそう感じたのだから仕方ないと納得させた。

拘束されていた王の力は命の終わりと同時に完全に消え去り、今は床に座っている状態だと認識した。

警戒して一応動かず王を見ているが、二人共に目を逸らさず息を整えている。


『「なぁんだい。終わってるのかい。もしかしなくとも君たちが王を屠ったのかな。いやいやはやはや。何を、どうして、到着前に決しているのか。おや。はやはや。これは少し問題発生が。」』

誰と判らない独り言が空間に反響する。

二人は周囲を見回し柱の陰と玉座を除いた全てを観察していたにも、関わらず。

『「ほうほほほうは。」』

大きな身体が二人の丁度中間に現れ二人を俯瞰するように見下していた。

即座に退こうとして動けない。

『「そう警戒しなさんなふふほは。さてさてこの地での二人の役目。本当なれば王位争奪に勝利して玉座とその胴器の螺旋を内から削る算段だったのが四方や世界改変に巻き込まれるとはふほひはは。理解できても素直に受けられないの。それは別として時間の、短縮には成っとるので良しとしよう。さてとてこのままでは少し不味い状況になる。わかるかな。」』

二人は首を横に振る。

『「簡単なのよ。この国の玉座の主が居なくなる。というのは最悪なのだよ。現在は余力にて保たれているけど時間はない。なので二人の内何方かが座らなければならない。勿論。拒否権はない。あるのはこの国の王たる血筋を絶やさないこと。即ち何方かが姫と子を成すことで繁栄は約束される。対価は国一つと生きる者たちの生殺与奪権。」』

二人は黙った。

一人は天井を見あげ、一人は床を見下げる。

対照的な行動。

答えは決まった。

二人は笑顔になり笑い。後ろに勢いよく倒れ。

同時に。

『断る。』

倒れた勢いを殺さず起き上がりそのまま出口まで走り抜けようとして無くなっていた。

謁見の間は謁見の間としての役目を潰し切り離され別個の空間を形成していた。

入退室の許可は形成した空間の主。それは絶命した王に委ねられていた。

そう。いたのだ。

二人は瞬時に状況と自分達に選択肢はないと判断し賭けをした。

柱の数で奇数か偶数を当てるという賭けをして一人は肩を落とし、一人は安堵と黄昏を混ぜた顔をした。

距離を離した判らない存在は一つは二人を見続け一つは玉座の向こう側を見ているような気がした。


一月近くしてひとりの王が即位した。それは素直に不気味で気持ち悪いほどに受け入れられ迎え入れられた。

儀式やら何やらは無く妨害も又、なく進められた戴冠式は拍手にて迎え入れられ王冠を頭に抱きバルコニーにて民に向けた宣言をする。

喝采に包まれ歓声に湧いた式は数日の影響を与え世界に喧伝され肯定否定双方を生む結果となるが後の歴史に記された一文は。

『この戴冠式より2つの勢力に分かれたが終始王冠を携えた者は不機嫌な表情を崩さなかった』と。


はは、は。そうしてこれが始まりだった。

いや。始まりの一つ。と言ったほうが正しいのだろう。

戴冠式での宣言から短期とも長期ともとれる日数の後、世界に向けた別の宣言をしてしまう。

そう本人の預かり知らない所で。

周囲が暴走をしていく。

小さな火種はやがて燻り燃え盛り大火となって世界を巻き込んで拡がっていく。

世界が敵になるのに時間は掛からず

これが世界崩壊の足を速める切っ掛けと成ると一部が叫んでも大勢に掻き消され認識した時には遅すぎた。

回避時間も過ぎ去っていた。

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