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片倉トーリの日常なる非日常  作者: 十ノ口八幸
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不条理と条理の日常〜青年〜始まりの出来事ー二人ー

誰も知らなかった世界の根源が消失した。

それは緩やかな世界の破滅へと近づいていく引き金の一つだった。

しかし現段階で誰にも知られることはなく。世界は変わらない日常を送っていた。

消滅の原因である二人だけは唯一知覚し理解し奔走していた。

二人は其々の道を歩んでいた。

国の中枢へあるくもの。

世界の根幹を知ろうとするもの。

異なる道を歩んで早数年。二人は大人の仲間に入ろうかという年齢に成っていた。


ある日。

ある場所。

ある時間。

寂れた建物の近くに二人の影が在った。

しかし視線を合わせない。

何かに怯えているのでもなく何かを待っているのでもない。

二人は視線を合わせたくないのだ。

結果。二人は離れた位置に座っていた。


暫くすると何かが何かを引いて近づいてきた。

それは足だけの生物という不可解な存在。

そしてその後ろを良く見ると複数の棺桶が繋げられていた。

しかし不思議なことに地面を引き摺っているのに引き摺っている跡が無く音も無く。

見えているのに存在しないかの様な光景に対して二人は。

冷静を選択していた。


引き摺られているーという表現が的確かは別としてー棺は二人の間の中間をすり抜けるように通り、そして寂れた建物の前で停まった。

二人は動かない。

見ているだけでその場から動こうとしない。

そして棺の蓋は開かれた。

と同時に中に納められていたであろう何かが飛び出し二人へと躍りかかっていく。


二人は冷静だった。

嫌。冷淡と言うべきか。

躍りかかってきたその存在は過去に二人と関係があった者たちの変わり果てた姿だったのだ。

だが心動かず。

それは効率化された作業の様に頭部や心部を貫いて地面へ落としていく。

ああ二人の心に風が吹くことはなく。恐ろしく穏やかな平坦である。

とまた何かが現れた。

それは二人の因縁の元凶に近い物。

現れた物は何処から発しているのか言葉を繋げていた。

頭に直接響く怒りの感情を逆撫でする不快な声。

しかし二人は抑えて聴く事を選択し襲う存在を処理しながら聴き続けていく。

そして最後に。

《では報告が以上だが。プレゼントとして一人ずつに質問権を与えよう。今、使うも良し。後で使うも良し。質問には必ず誠実を持って答えよう。》

二人は現段階での質問を保留にしようとして。

《それとこれもプレゼント。君達の探しているものは現段階では権限を付与されず顕現する材料も不足しているので存在は許されていない。遅延させる存在はあるが、それは一時の加速を遅らせるだけで意味はない。赤子の歩み以下程度しか。それでは弛まぬ手柄を更に増やして世界へ自身を喧伝し続ける事を面白いとも可笑しくとも。嬉々として見続けさせて欲しいものだ。》とiう主の下僕かRaの言葉だ。」

二人は動かず溜息をしながら拳を握り締めた。


二人が探している存在は二人に取っての計画の核。

誰もが知り。

誰もが知らない存在を再び顕現させるために。

だが手掛かりすらない二人の状況を見越している事に腹が立つ。

そして現状は不可能だということを突きつけられた。

二人共に知っていたし理解もしていたが僅かな望みを持っていた。しかし全てを否定されたのだこの場所で。

声に出して叫びたい衝動を抑えて考える。

自分達の犯した事の代償が世界の崩壊なんてそれは冗談がすぎる。

でも現実から意識と目を背けて何かが変わることはない。

こうして無警戒に二人の前に現れた。

私怨と言われても二人は目の前の存在を捕縛しに襲いかかろうとして。

「ぐっく。」

「が、ああああ。」

動かすことが僅かも出来なかった。

「無駄な事を。現状すら把握でkIないのなら未だ甘i。」

意識はある。しかし身体が意識に反して一切動かせない。

「認識WO加速させ。世界を止めMeた。」

そう言われ気づいた。周囲全ての時間が停止していた。

「かはは言われないと気づかぬ愚kA主は何を考えておられるか。理解できぬぐっ。」

喋る途中に表情が歪み滅茶苦茶に動いて口の上下を境に頭が裂けていった。

血飛沫がでると二人は思ったがその通りにならず出てくるのは細い二本の腕。

そして捻り出るようにしながら出てきたのは痩せ細っていて太っている不均衡な存在の凡そ人形から掛け離れた異形な存在。

(全く言伝さえもまともにできないのか。さて手短に話そうか。遅延していた首都の進行作戦は内部分別により永久凍結された。君達の奔走が実を結んだ結果としては上々か。そしてあの不可解なもの。本来なら君達はこの場で命を終えていたんだが、誰かの計画が破綻したので内に入れていた存在に届くはずだった力は阻害され二人だけで簡単に対処できた。無限の兵隊であったのだがね。しかし安心しない。まだ二人の計画は続いているのだから。これが追加。更に数年の内に何方かの手に欠片が収まるだろう。それを独占するか共有するかはその時までに考えておくことを勧める。)

いい終えると時間が進み目の前の異形も姿を消していた。


消えたと同時に世界が動いて二人は視線を合わした。

言葉にせず頷いて肩を落としその場に片膝と寝転び。

笑いながら答えを共有する。


最初に現れ知っている存在に近い形。そして中から出てきた存在の言っている対象は同じだろうと考えているが腑に落ちないのは最初の方である。

自身をまるで使いの様に語りそして内に潜んだ存在に取って代わられ死んだようにで、しかし何時の間にか肉体が消えていた。

もう不要だと言わんばかりで。

見える範囲で一部すら見当たらない。

どう考えても消え失せた。という答えしか見つからないのが現在。

もしかすれば見えない所に落ちている可能性もあるだろうが今は目的を果たすまで。

時間が来た。


寂れた建物の扉が開き招く声がする。

その言葉に対して二人は別々の言葉で返答して寂れた建物の内側へと吸い込まれていく。


目を閉じていた感覚は無かったが気付くと二人は椅子に座っていた。

そして其々の前には胸の高さ程の台が置かれ、その上に鱗の様な模様の宝石が置かれていた。

二人は同時に触れて回収するとまた意識があるのに気付くと何処かの町の近くに立っていた。

その手には鱗の様な模様の宝石が息をする様に鼓動しながら収まっていた。

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