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片倉トーリの日常なる非日常  作者: 十ノ口八幸
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不条理と条理の日常~少年~春間

この世界の春は短く。3日から4日程である。

その短さゆえに瞬きの春とも云われ春間とも云われている。


さてその1日目。理をねじ曲げるような出来事が起こった。

それは短時間で解決された。

2日目。同じような理を持ちながら判断して半日で解決された。

最終日。あり得ない事象と存在と関わる全てを最終的に処分という蓋をして解決させた。


そのようなまだ知らない他国の話しは関係なく別の話をしようか。

短く甚だ虚しいだけとムカつきしか残らない話である


春の風が世界を吹き込んでいく。

穏やかな日が短くとも続くと皆が思っていたが、突然、それは復活した。


頑なに封印されていたその存在は神代に現れ、神々へ敵対し数千年もの長きに渡って世界を意のままに支配した。

歴史の授業で必ず出る時代である。

その存在は最後に魔王と云われ世界の願いと祝福に守られた勇者によって魂さえも粒さえ残されず完全に消滅させられた。

後に勇者の聖地とされた場所には村が起こされ現在まで続く大国となった。

その存在は確かに魂さえも粒を残さず完全に消滅した。

しかし本体の話であり、分体たる種は切り離しと同時に本体との繋がりを切断しているため影響はなく、魔王の消滅から数百年もの長きに渡って秘匿され育てられ、そして魔王として君臨した、だが世界の人々の心が1つとなってとある土地へと封印された。

それが数千年もの前である。

人の命は短い。短いからこそ話しは噺として現在に生きる人々に繋がれるが危機感はない。

何故なら古代の噺であり現代人には関係ないとまでされていたから。


噺に出てくる封印された魔王が目覚めたと知らされたのは二人が目覚めた数時間後。

悪意しかないその場所から二人は寝起きに連れ出されて現在、行き先不明の高速車両に乗っている。

混乱している二人に渡されたのは数々の資料。

簡単に説明された話を要約すると。

魔王消滅。

無理であっても消滅。

それを二人でやれ。と聞いたがそのような無理難題を押し付ける気はない。とキッパリ否定され大国から師団を派遣する。という約束を取り付けた。と。そして大国側の条件は消滅したという権利は全て大国に帰属する、その代わりに諸々の経費負担は全て受け持つという。

二人は普通に拒絶した。

幾つかの理由を説明してそれらを書面に書き起こして大国へと金は掛かるが超竜を使って送った。

短時間で、どうしてこの高速車両を特定したのか理解しないが、思惑が外れたからか結局は二人での対処となった。

それも馬鹿な条件を付けて。


『省略~条件として、春の間に完了させること。無理なら此方が対処する。』


さてさて無理筋すぎて二人は呆れた。


現在の春季は短い。

聞いた後にて二人で調べて今回の春は5日に届くかどうか。

この短期間で処理をしろと言う。

二人は思った。

「絶滅させたろか。」

驚いた同乗のものをみて二人は声にしていたことに気づいた。

渇いた笑いで誤魔化してため息と凝りを軽く解して緻密で緊密な案を構築していった。


大国は手を出さない。その代わりに何かしらの手柄を欲したのか解放された魔王の現在位置と予測されるルートを知らせてきた。

基本はその情報を元に他のルートを模索する。

素直に従うことをしないのは外れた場合や合っていても二人での対処が無理だと判断したからである。

外れてくれた方が二人には都合良かった。


目的地までの道中を無休で進むなど無謀である。

だが資金はないので自然と野宿をすることになる。

周囲はその事に対して二人が不満や我が儘を通すかと危惧していたが素直に二人は従った。というよりかは率先して拠点の設営から防御の布陣を的確に指示していった。

王族貴族等の富裕層は戦場の経験がない限りは地面で直に眠ることを拒絶するものだが、二人にそれらは当てはまらない。

そう一年で二人は過酷な労働環境に身を置いて様々な手柄を立てていた。

その過程で野宿など幾つも経験済みであるため不満などないのだ。

普通この年齢であれば自分中心の思考を持っているものであろうがその濃密すぎる経験は二人を確実に成長させていた。


1日目の夜。襲撃を受けたが整えていた布陣が機能し簡単に捕縛と討伐を完遂した。

装備等を見ると普通にある国の関係者だと考える。周囲はその様に結論付けたが二人は見方を逸脱させてその者達が大国の諜報部隊だと見破った。

勿論、簡単には吐かなかったが、幾つかの質問をして矛盾を指摘し論破した。

観念して全部を話して命を偽装させた。

死を偽らせたのだ。


二日目の早朝。

村へと続く道に罠が張り巡らされていた。凝れでもかというほどに隙間なく進む事などできなかった。

呆れ果てた二人は何も出さずに突破した。

理論的には解るがそれを二人は実行した。

罠が発動する前に突破すれば無傷で切り抜ける。

理屈というか理論というよりなんだろう。

無茶を無理やり押し通した。そんな力業のような。と後の随伴した者が資料に記されてる。

二人が通った直後に罠が作動するが空を切り裂き押し潰し貫き爆発。

虚しい光景だ。とこれも記されていた。後にも続く発動する罠の数々が虚しく儚く二人の通った後に発動していく。

全ての罠が発動したために随伴した者達は安全に通り抜けることが出来た。

それだけではなく。先行した二人に追い付くと複数の何者かが二人によって拷問によって情報を引き出されて放置されていた。

正体も暴かれ涙する者達。簡単に命を散らせないために肉体だけでなく心まで縛り上げていた。

呼吸も最低限を残して簡単に自死を与えない程度に抑制されていた。

惨いと誰もが思い考えたが、相手は妨害をしてきたのだ。些細な手心は自身を死へと誘う。

二人の判断は間違っていない。いないがその余りにも異常な処置の手際が良すぎて逆に二人を疑う。

この二人が実は大国の。という思んばかるがそれは否定した。

二人の出自や環境や昨年の数々にある体験を知っているからこそ疑う余地はない。

皆が二人に着いていく。

実際、二人に着いていくのは学園からの依頼で報酬も高額なのだ。

でも彼らに見せ場を作ろうという気概が在るにはある。二人はそれに気づいているのか、いないのか。進み続けていく。


到着は想定より速かった。

何せ全ての罠や謀略、知略全部を二人は力で捩じ伏せた。この場所へと続く道を曲がる事なく直進した。

二人は随伴した者達に忠告した。

二人だから出来たこと。一人の力でも可能だけどそれはこの二人の個々たる力が合わさり可能なこと。即ち、普通に考えたら何処かで挫折しただろう。

と一般論的な事を交えながら講釈をしたが理解はされなかった。

二人は危惧して止まった宿舎にて簡略した説明を記した書類を作成して配布した。

お陰で二人は軽い寝不足である。


メガリアルウォルトス。

初代魔王にして後に続く戦乱の種。

初代は先の通りに消し去られた。

だが魔王は消えてもその配下が消えたわけではない。

消えた魔王は種を残した。

粛々と秘匿されながらも伝承され時の転換点にて必ず勇者とセットで出現する。

それは数千も重ねて漸く最後の直血の魔王が滅ぼされた。最後の勇者によって。

だがそれなら矛盾する。

どうして最後の魔王が消えて、まだ存在しているの。

簡単である。

魔王は確かに討伐された。しかし直結の魔王である。

そして1つの欠片が秘密裏に厳重に封印されたのだ。

故に誰も知らず伝承にも残されず。

今回の事態になるまで誰もお伽噺としてしか理解していなかったのだ。

お伽噺とは過去からの警告である。

過去の教訓を後世に残すための手段。

が人は短い。数百数千もの古の話を真実だと信じられる者等、少数である。従って軽んじられ冒涜され。そして改編されて改竄され現在に伝承されている話は原典からは遠く別物と差し支えないお伽噺となっていた。

夢物語も甚だしいと嘆くばかり。

その原典も知るものは一握り。

内容が離れているために偽典。と考えられていた。

数十年前。ある貴族が没落し、借金の片に押収された複数の紙片。

一般には何の価値もない紙屑であるが、魔王に関連している研究者が競売に掛けられたその紙片を落札した。

研究は長い期間行われ一時の休止を経て原本だと判明した。

結果。

魔王の存在がお伽噺などではなく。

現実世界に存在し、散在して今代にも息を潜めて気を窺っていると判明した。

何年か前に討伐されたのが全体の一部。

それでも三桁には届いていたが未々、全滅までには至らない。

溢した種は根を張りながら増えて時を待つ。

待ったときがこの事態を招いていた。

複数の派遣された討伐軍は(すべから)く全滅した。

「その1つがこの先にある山々の最奥にて封印されておりましたが、数ヶ月前に封印が解かれ付近一帯が呪いの影響下であります。」

山々と聞かされてから二人には心を保つために否定し続けていた。

しかし、それは当たっていて。外れることなく目の前に聳えていた。

懐かしさを不思議と思える景色。違いは立っていた建物が見事に消し炭に成って焦げ跡が在るだけである。

二人は見事に同期して吐き出した。息を。

「なぁ、これって。」

「うん。そうだよねぇ。もしかして。」

「いや、あれを知っているのって俺達だけだろ。」

「知っていてなら意図があるだろうけどさ。偶然だと思うよ。これが僕達の罰ではないだろうし。それにもう罰を与える存在は森一帯を含めて消滅したんだから。」

「そ、そうだよな。なら偶然か。」

「近い距離に居たから僕達にお鉢が回ってきたと考えた方が自然だね。」

「そうか。なら遠くは別の誰かが倒すんだろうな。」

「そうだと思いたいね。では行きますか。」

二人は何かを勘違いしている。

しかし、気づかずに二人は入山する。


麓に到着して人だかりを横切って入り口へと向かった。

「あれ観光名所になってたのかな。」

「いや、まあそうたろう。俺達には関係ないから入るぞ。」

「何か嫌な視線を。」

「気にするな。」

「そうだね。」

こうして睨まれる形で二人と共に山へと入っていった。


いくつかの門を潜り抜けて登っていく。

手続きも問題なく処理され山の中腹を越えた辺りで一時の休息を取ることとなった。

随伴していた者達は入山してから一切の休息なしに中腹まで登ってきたために息も上がり休息を宣言すると全員が地面へ倒れて大きく息を吐き出していた。

まあ随伴している者達は皆、鎧を着こんで、さらには武器弾薬食糧にテント等々を携行して付いてきていたのだ。

反対に二人は身軽で山に登るような服装でもなく。

近くを散歩するような格好をしていた。

その差はあれども二人は黙々と山を登り続けていた。

軽装だろうと山である。空気も薄く体力も無くなるはずだ。

しかし二人に疲弊したようには見受けられず逆に力が漲っているようである。

常日頃から山に親しんでいるものなら理解できなくもない。

体力を上げるという事には理に敵っている。

しかし二人が山に登るのは数回程度。

それでも二人に疲労はなく。

休憩も直ぐに終わった。


山頂に近づくに従って二人は違和感を覚えた。

何か可笑しい。

何か違う。

何を持ってこの感情。

締め付ける。

空気を吐き出せない。

「そうか、これはあの山でない。あの山はあの世界に在って、この世界には無かったよな。」

「ぁあ。そうかっそれで何か変な感じをしてたけど。そうか。だから。じゃあ。危険じゃね。これ。このまま向かうと普通に対処できないよね。あの時みたいな事は絶対にないし。でもさ大国に啖呵を切った手前、戻ることも出来ない。進むしかないよね。」

後ろには疲れた随伴者達が懸命に付いてきていた。

此処で戻る選択肢もあるが全てを失い地の底へ引きずりこまれる先しか見えなかった。

二人は諦めた。

諦めて。走った。他を置いて。呼び止めの声を無視して山頂まで直線で走り抜けた。

「ふうっ。付いてきた奴はいたか。」

「答えは決まってるよね。」

だけど。

「まあ人は無理でも。監視は万全だとよ。」

「そうですか。では行きましょうか。掠めたこの地図を信じるならこの先に魔王の種が居るらしい。」

「そうかよ。で素直に行くのか。」

「まっさかぁ。」

「だよなぁ。」

二人は止まった。止まって肩の力を抜いて背を合わせて。内包する力を解放した。

この日。山脈の一ヶ所を起点に山頂全てが禿げた。

草木という見える部分だけでなく。根こそぎ地面含めて消失した。

起点にいる二人は望遠を使って山頂から目的の場所を特定した。

「やはり、欺瞞か。」

「だろうね。真実のように書いてさらに地図も描いておいて1つもないとか。ふざけてるのかな。」

「迷わせてから本物を出して手柄を横取りという算段か。」

「剰りに杜撰だね。それと掠めた序でにこれも取った。」

「小箱。にしては何が入っている。」

「幾つもの小瓶。中は。様々な薬とか他も。」

「怖いなぁこれで上手く行っていたら僕達は山諸とも如何様にもして手柄を自分達の物にしたいんだね。何を企んでるんだろうね大国は。」

「さあな。さてお喋りは終いだ。着いたぞ。目的地。」

「へえ崩化をしただけあって造っていたであろう砦か城がボロボロ。」

「で悪ですって云わんばかりの椅子に座ってるあれが標的かな。」

「さあ。行ってみないと答えられないな。」

二人は向かう。椅子の近くまで。


椅子に座ってる存在から放たれるオーラは確実に二人に向けられていた。

「怖いねぇ。」

「全然。感情が籠ってないけど。」

「何か清々しなと。これから俺達は足掻いても無意味に終わるんだろうな。と。」

「それでも遣りきったという事実だけは残したいよね。」

「違いねぇ。」

笑いながら到着して驚いた。

椅子から放たれていたオーラの大きさで老齢の者かと二人は想像していたが座っていたのは。

憎しみに囚われた幼子。と形容しても差し支えない人の子。

どうして二人に向けられるのか。崩化を放ったことで何か支障でもあるのだろうか。

見やすくするための処置めあり咎められる謂れは、ないと思う。

子供が口を開いた。

「どうして。じい様を殺したの。何もしてないのに。ずっと平穏に暮らしてたのに。どうして目の前で殺したのっ。ねぇえ教えてよ。」

「そのじい様が誰かは知りませんが。その死と僕達にどういう関係があるのでしょうか。」

「ふざけないでよね。ねぇあの力を使ったのは二人だよね。ならどう考えても殺したのは二人だよね。ならさあイキカエラセテヨじい様を。」

「無理じゃね。無謀とかの話じゃなく無理だよな。」

「なと僕に振らないでください。はあ。そうですね。命をどの様な理由であれ失ったならそれで終わり。先はありませんよ。蘇生というものは人の究極の悲願でしょう。死んだら終わり。今生での出会いはもうありません。

だからこそ人は別れを超えて成長できるのです。」

「そんな論理的な何かを聞いたんじゃあないんだけどよ。確かに親しい人との別れ話は悲しいものがあるよな。」

「そうでしょう。だからもしそのじい様とやらがお亡くなりになったのは必然で巣立ちの時。という事で納得しましょう。」

「な、納得なんて出来るけどしたくない。」

「えぇ。理解してしないのって、ただの我儘ですよね。それはもう身勝手ですよ。」

「うるさあーいっ身勝手でもなんでも生き返らせろと言っているんだよっ。言葉は絶対で厳命で遵守しないといけないんだよおぉ。」

「と言っておられるけど。どうするかな。」

「目的は変わらないんだろ。それじゃぁよこのまま連れていくか。幼子に手を。てのはしたくない。」

「んん。そうなんですか。それは主観でしょ。今の状況ではその気概は捨てなさい。でないと道は閉ざされ終わります。」

「そうか。」

「ええ。だから捕縛か拘束羽交い締めでもかまいません。」

全て同じである。

「おいおいおい。何を二人で話を進めてる。なぁあ命令だと言ってるよな。じい様を生き返らせろ。と。それが叶わないなら苦痛よりも強固な痛みを永遠と同居しながら生きていくか。あっ。」

「嫌だよ。そんなのは別の誰かに振り撒いてくんね。僕達はただの仕事として討伐を命じられたまで。失敗しても、何か咎められることはないと考えるけど。」

「なら。し」

「お、到着したか。」

「は、なにを。」

「足止めご苦労。これより先は我々の仕事。君達は下山していなさい。」

現れた随伴していた者達。の隊長。

「準備も終わっているでは発動。」

と遠方から光の花が吹雪き幼子に張り付いていく。

鬱陶しそうに払っていたが光の花が触れると、それまでの余裕や怒りが一変。恐怖と焦燥を表して焦りだしても全てが遅かったのか、花は周囲を囲み隙間もなく覆い隠してしまった。

「封印隔離展開せよ。」

「隔離装置始動。」

光の花が全て1つになり肥大して収縮して最後には宝石のような物質が地面に転がっていた。

「封印完了。撤収。」

宝石のような物質を拾い木箱に収め一回り大きな鉄の箱に収め更に大きな鉱物で設えた箱に収めて細い糸で幾重にも絡めて最後に見えない錠前で鍵をかけた。

「おや君達は用済みだから下山していなさいと言ったでしょうに。今のを見ていたのなら仕方ない。処理します。」

「にひっ残念もう僕達はこの場には居ませんよ。ではさようなら。」

その意図を察して近づくが触れる前に二人は霧散した。

舌打ちしてその場を後にした。

二人に構うほどの猶予はないのだろう。

二人とは別の道を下っていった。


山はその日を境に寂れて死んでいく。


学園の応接室にて教師と山の書類。

その向こう側に二人の生徒。

一人は心此処に在らず。

一人は書類を見続けていた。

「ん。ああ受領したよ。報告ご苦労さん。戻って良いよ。報告は学園長に渡しておくから安心しなさい。」

退出する二人。

扉を閉めて大きく息を吐き出した。

手を合わせて成功を喜びその場で別れた。

こうして長く短い春は終わった。

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