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片倉トーリの日常なる非日常  作者: 十ノ口八幸
18/48

日常・幼なじみの仕事〜6日目〜

一気に起き上がって体の異変を確認した。

「ふいぃ。どうにもなってないか。はは。嫌に腹のたつ夢を見たな。」

手にいやなベトつきの感触で見ると。

汗がシーツを濡らしていた。

「おう。嫌に上塗りして最悪だよ。」

カーテンの向こうは暗く窓向こうからの街灯が室内を照らしていた。

「寝るにも中途半端。起きよう。」

布団を退けて床に足を着けると。

小さな悲鳴が。

「んお。なんだ。」

光源はカーテン越しの街灯。足下までは届かないし暗い。正体を確かめるために屈んで拾い上げるが、カーテン越しなので詳細が判らない。

柔らかくもあり、中には少しの堅さも同居しているかのようで、さらには角がなくスベスベで少しの暖かさが伝わる感触。

となにを思ったのか躊躇なく一気に引っ張る。

「ギッシャーー」

と悲鳴が挙がった。

「おう。なんだ。蛇か。どうした。なんで寝床でなく床で。」

フリフリと動き、手から逃れると腕を伝い肩で鎌首を上げ首に巻き付いた。

「くおっ。」

キュッ。という音がしそうな首閉め。

ふらふらと足元が危ない。

意識が朧気に儚げに歪んで倒れ。

「たら面白いな。」

巻き付く蛇を引き剥がし端を持って高速回転。

悲鳴があがる。


気が付けばカーテンの向こう側が明るく鳥の囀ずりが聞こえる。

時間も迫っていた。

慌てて支度しながら蛇を適当なポケットに突っ込むと部屋を出て眠気眼の相手をしながら外へと出た。

戦慄した。

見覚えの有る車が塞ぐよう扉の前で停まっていたのだ。

近付きたくない気持ちを隠そうともせず脇を素通りする。

向かうは駅。

「ぐえっ。」

簡単には行かない。襟を捕まれ引き込まれて地面へ俯せに倒される。

深く息を吐かないように静かに出す。

気持ちを引き締めて振り返る。

「おへっ。」

悪鬼羅刹のごとき形相がそこにあった。

「な~ん~で~。時間通りに来ないのかなぁ。」

時間は指定されていた。そう駅前で空が明るくなる前に集合。だが思ってたより蛇との戯れが面白くて。

「まあ、まて。」

言い訳をしようとするも。

「ま・た・ない、よ。」

一瞬の思考の明滅に気づけば空が近く地面が遠く。

声は出さなかった。

「ねえ。そのままだと落ちて大きく汚れた花が咲くけど、どうする。」

「そうだな。なら普通に。」

高度は余裕で数百メートルは在ったろう。

だが姿勢を正そうとすれども邪魔が入り、上手く出来ない。

しかし何も無かったように地面に足から着地した。音もなく静かに。

舌打ちが聞こえたが無視した。

「で気が済んだなら今日の仕事をこなそうか。ても余りないが。」

そうライブ前日である。他の仕事はなく、あっても夕方以降に数件小さな、それでも何かと重要な仕事が入っていた。

のだが。

「ん。」

何かを感じてみると。

憎々しげな視線が正面の少女と背後からの切り刻み突き刺して焼き払うような視線が縦横無尽に少女との感情と交錯し相乗効果か何かなのか膨れ上がっていた。

服の土埃を軽く払って車へと乗り込む。

二人の感情は同調していた。

それは。


本当ならトーリ君(お兄ちゃん)に対して言いたいことがあったけど(のに)、時間も押し迫っていた(眠くて体が重く)から最初の目的地へ急いだ(このまま二度寝しようとおもった。)。


車に乗り発車する頃には一つの大きな感情が徐々に薄れて萎んで無くなっていた。

もう一つは隣で到着するまで負の感情を篭らせた視線を浴びせていた。


着いたのは朝陽眩い裏門前。

一人車を降りると扉が閉まり敷車は地内へと進んでいった。

さすがに本番前日だけあって慌ただしく、そして此処までの道が完全封鎖されていた。

「さあ君にも働いてもらうから。覚悟して。」

と言われて。

声の方へと向くと。見知った女性が近づいてきていた。

納得はしない。

「たしかに一週間のマネを引き受けましたが、何故に前日のそれも準備まで手伝わないとか。」

「聞きなさい。たしかに君との契約はマネージャーとボディーガードね。それで今日はマネージャーでなく。」

「え、もしかしてそっちですか。なら此処で降りるより一緒に入った方が良かった気が」

「ええ。そうよ。」

「え。待ってください。もしかしてボディーガードでなく警備員ですか。それは流石に範疇を越えてるようなそれに此処まで来る時に見ましたけど警備は厳重、周辺も広範囲で規制を掛けてますし簡単には侵入できませんよね当日にならないと会場周囲へは入れないはずですし。心配のし過ぎでは。」

「はあ君は忘れているのね。今日はどういう日なのかを。」

「んー。何かありましたっけ。」

「はあ、どうして。て嘆いても仕方ない。あのね。本番だけで対処できないだろうから前日にも物販を設けようという話をしたはずよね。だから今日は前日物販をするの。」

言われて。ん。という言葉しか出ず考えて。思い出す。

「ああ。そんな事を言ってましたね。そういえば。」

何分慌ただしい事が立て続けに起こり、幾つかの連絡をデータで送ってもらうよう話していた。もちろん実際の会議にも出席していたのだが、カバーするにも時間が限られており議事録などを送ってもらっていた。そして送られたデータの中には計画書の変更点を記したものも含まれていた。その計画書に目を通していたが全てを見たわけでもなく流しながら重要だと思う点だけを頭に入れていたのだ。 そんなことが書かれていたというのを言われて思い出した。

「でもですよ。それがどうして。」

「どうして。ね。簡単よ。今回の仕事は前回の罪滅ぼしの側面もあるの。」

「ん。罪滅ぼし。てあの理不尽極まる行いですか。あれ僕自身で水に流したはずですけど。今さらその話を持ち出してくるとか普通に迷惑ですよ。僕の中ではもう終わっていて過去であり古であり、んで忘却したいんです。蒸し返されてもいい気分でないですよ。」

「はあ。これは云わないようにしてたんだけど。今回の箱ね元々引き受ける気は無かったの。会社の方針としてはね。でもそれをあの子が勝手に受けたのよ。それも条件を付けてね。」

「それじゃあ断れば。」

「そんな事をすれば事務所の大損になるわよ。だから君に。」

「ほうっ。と言うことは俺をボディーガードとマネージャーにしたのは。萌香の譲歩。いやそれが主目的か。」

「そう、よ。もしこれを呑めなかったらどんな手を使ってでも強硬するから。なんて言われたわ。」

「ほ、ほうぅ。」

「まあ結果的に君が引き受けてくれて助かったわ。正直にいうと前回の事があったから無理だと皆が考えてた。て、どうしたのよ。」

「ん。いえ。何も。で話が逸れましたけど前日物販だからそれで僕が現場警備の責任者て。」

「ええ。スタッフからは。特に警備に着いている人達から不満があったことは事実よ。まああの子の言葉と幾つかの出来事、それと古参のスタッフからの話とこの間の合宿でのことも含めて納得したわ。一部を除いてだけど。さらに幾つかの報告は聞いているのよ。すべからず何時ものようにあの子の周囲で不可解な事象があったとか。だからそれを見越して君には今日と明日の警備責任者をしてもらいたいの。もちろん断ってもいいけど。なにがあるのか判らないからね。」

完全に断るという選択肢はない。

「判りませんね。それでどうして僕のような一般学生を警備責任者にしたいとか。」

「君ねっ。一般のなんて言葉が当てはまるとか思ってんの。さっきの話だけど、顛末も知ってるわよ。それら全てを収めた。て。しらばっくれるならもう少し踏み言った話になるけど。」

「ご免なさい。勘弁願いたいです。一応いってみただけです。そうですか。納得しました。では早速ですけど配置図を用意してく」

「もう有るわよ。改善するなら速めに。時間もないからね。」

何処から出したのか数えられない量の紙束を渡してくる。

突然のことで対処が遅れ幾つかを地面に落としてしまった。

「とと。多いですね。これ、全部ですか。」

拾いながら確認する。

「ええ。そうよ。何か不明な点があれば近くの人に伝えなさい、適宜応対するわ。」

「了解しました。じゃあ早速ですけど、これを広げられる場所は在りますか。あと各人員の中でも班長級の人達を集めてもらえますか。その間の対応含めてですが。」

「そうね。ちょっと待って。」

と何処かへと連絡して。

「確保できたわ。東棟の空き教室が使われてないそうよ。急場だけど短時間ならどうにか出来るそうよ。」

「そうですか。では行ってきます。あ、其ほどの時間は要さないつもりですけど。そちらで何かあれば連絡をお願いします。」

「ええ。そうするわ。」

離れ指定された東棟へと向かう。


本当に短時間で会議は終了し、同時に警備再配置が一斉送信された。これにより見落としていた大小様々な穴は塞がれた。

人員を要して数回の確認を行った結果問題は見当たらなかった。

勿論、周辺住宅への配慮も考慮に入れ広範囲に敷かれていた交通規制等も大幅に縮小された。

実はこの時点で紛れていた者達も一掃されたのは別の話。


準備に手間取り予定の9時をすぎて。

その日の物販が開始された。

瞬間空気がピリッと張りつめる。

緊張が伝播するも飄々としたトーリの言動で緊張が良い具合に解れスムーズに警備員達も自分の仕事を全うしていく。

開場前から続く長蛇の対応は流石というべきか。

再配置が功を奏し交通の妨げにならないように並ばせていた。

トーリは少し見守って対応から変則までの適宜を記した書類二束を彼女に渡して次の現場へと急ぐ。

「と、その前に」

見渡して近くのスタッフを呼ぶ。

「ん、何でしょう。」

どうやら末端の人らしくトーリに対しての反応が接客口調になっている。

「ごめんなさい。時間が無いんですけどいいですか。」

「ええ、構いませんよ。」

「そうですか。なら一つ遣っておいてほしいことが在るんですけど可能ですか。無理なら良いのですけど。」

「ちょっと待ってください。一般の方々からの要望は現場への影響を考慮して受け入れられないことがありますが良いですか。」

「ええ。無理にとは云いません。早速ですけど時間があればあの林に通じる道を閉鎖しておいてください。何分、危険なので。お願いできますか。」

「危険、ですか。どうしてそれを。」

「はい。僕は近所に住んでいるんですけど趣味で郷土とか調べるんです。で、昔からあの林には曰くが付きまとっていて現に近辺でオカルト的な事件があったんです。その現場があの林の奥にあって人が近づかないようになっているんです。でも地元民じゃない人が誤って近づいたらそれこそ今日の事が台無しになっちゃいますから手を打っておいて欲しいんです。宜しくお願いします。あ、時間だからいきますね。頼みますよ。」

離れると萌香の場所を確認して向かう。


関係者以外立入禁止の領域へ踏み入れ教えられた場所。校舎三階へと足を踏み入れると外より一層張りつめた空気が漂っていた。

普通なら気圧されて一歩を踏み出すことを躊躇うだろう。

「場所は間違いないな。でも、絶対に知っててこの階を閉鎖しただろう。」

呆れて見慣れた廊下を歩く。

だが見慣れていて見慣れない物が廊下の隅に置かれていた。

ステージに使用する機材関連。

通常の廊下では見慣れない光景だ。

常人なら心踊らせるだろう。

トーリにとっては迷惑な事だが。


教室。

何時も授業を受けているクラスである。

でも、現在は違う。

扉を開けると教卓と綺麗に並べられた机と椅子。

が今は全てが別の教室へと移されている。

変わりにハンガーに掛けられた色とりどりの衣裳。普通なら鼻を刺激しない匂い。

「なあ。良いかね。入っても。」

「え。ちょっ。なんで。来てるの。関係者以外、あ、関係者か。入りたいの。んふふ。しょうがないなあ。入ってもいいよ。」

許可を得たので入る。のだがふと気づく。

どうして通いなれた教室に入るだけで許可を取る必要があるのだろうか。と。軽い負の感情が芽生える。

「じゃあ遠慮せず。んスタイリストとメイクはどうした。もう終わったのか。」

「ええ。速く終らせたわ。どうしてか、解るかな。」

「解るというより解りたくない。」

「ん、ふふ。」

あ。嫌な予感。

「んもう解ってるくせに。」

簡易カーテンを開けて現れたのは。

そして容赦ない一撃で床へと落ちる。

無言が。憤怒が。空気に混ざる。


「さて、聞いていいかね。」

「ふぁい。」

「いやその前に」

「あい。」

「はぁ。飛ばそ。ろくな返答が無いだろうしくだらないし。」

「えお。」

「少しは羞恥心というものを覚えようか。いや、説教は止めようか。簡潔にいうとな渡したいものがある。」

「え、ふぶぶぶぶぶしゅっ」

「何を鼻血だしてる。」

床に血溜まりができる。

軽く引く。

「うふみぶ。ねぇ。」

「云っとくが婚約告白結婚前提じゃないから。ほれ。」

トーリが出したのものは薄く淡い色を携えた長い品。

「これを絶対に身に付けてろ。もし離したら知らないしお前の目出度い思考はどうなるか俺には今後関係ないものと認定されると認識しろよ。拒絶なら契約違反を支払って無かったことにする。」

脅し。

何かを感じて素直に受けとる。

「ねえ。これ前にも渡されたけどなに。」

「ん。別物。反論は受け入れません。いいから素直に持っていろ。」

頬が脹らみ、軽く揉む。

怒ったが無視して。

「持っていてくださいね。離したら総てに対する所有が無かったことになるから。」

凄む雰囲気と表情に反論を忘却して頷くしかなかった。

これに不気味な表情が漏れだす何か。

反論せず納得して受け入れた。

「そうだ。もし何かになったら渡したものを引き滅ぼせ。」

理解できないが無理矢理頷く。

「本当に理解してるのか。」

二度目の頷き。

『なら全てを恨むように引き千切れよ。絶対に。約束だぞ。』

凍るトーリの表情。

納得して着替えた衣装から見えない部分に巻き付けた。

萌香の向ける感情と表情を無視して話を進める。

「もし機敏でも嫌だと考えたり思ったら言ったように行動する事。良いな。」

そういって返答を確認せず離れ校舎を出て未だに続いている長蛇の列を尻目に敷地を出て向かった。

校門近くのスタッフに対しては念を推したので対策は取ってくれていると思っている。


伸びをしながら思案する。本人は居ないが調整のために趣なければいかない現場が数ヶ所ある。

その内の一つに来ている。

「はあ。その辺りの調整をしとくもんだろ普通。なんでしないかね。は、俺に対する嫌がらせか。嫌だ嫌だ。と。着いた。さて、確か三階だったか。ああ在った。なら行くしかないよな。聞いていた階と違うけど。はは。」

オフィス街のビルに入っている一つに目的である施設が入居していた。

それは萌香の仕事に関連したもので何故か調整が出来ていなかった。

その埋め合わせも兼ねての交渉という調整をトーリが一任されたのだ。

「完全に押し付けだよな。はあ。良いのかね俺が離れても。仕事の内容から逸脱してるが、まあ文句を言っても仕方ない。行くか。」

軽く首を振りトーリの姿はビルに消えていく。


入って直ぐに警備兼管理人室があり話を聞いてみる。

「ええ。と。すいませんが、此処に亜田川事務所が入居していると聞いていたのですが、あってますか。」

「んお、おお。その事務所ならほれ、表の看板にあるだろ七階にあるよ。たしか今日は社長さんが一人で来てるはずだ。外の奴は、知らんな。でどうするよ。」

何かフランクな話し方をする警備員。

「そうですか。では社長は居るんですね。」

「さあね。今は居るか知らないねえ。まあ出口は此処だけだから出てないとしたらいるんだろうね。」

「そうですか。では取り次いでくれますか。えと。」

名前と仕事に関したこと。おまけを話した。

なにか怪しんでいたが取り次いでくれた。

「ええ。では。」

切ると受け付けにくる。

「連絡したよ社長さんは在宅だ。会ってくれるよ。部屋番は705だ。」

「そうですか、有難うございます。助かりました。」

「礼はいらないよ。仕事だからね。じゃあ開けるよ。」

扉が開くと軽くお辞儀して中へと入っていく。


靴音が反響する。

荒い息を整えるために止まる。

「はぁ。最悪。なんでエレベーターが点検中なんだよ。」

そう乗ろうとしたエレベーターが動いておらず仕方なく階段を使うことにしたのだが。

言い知れない空気が階段を纏っていた。

「はあはあはぁ。今。何階まで来た。はぁ。かな。ん。」

現在位置を確認するため丁度踊場に到着していて有るはずの物を探したがなかった。

「可笑しいな。まさか階がそれ程ないからか。」

探しているものが見当たらず首を捻りながら考えるが解を得るには至らず。

「仕方ないか。はあ。」

再開して昇る。

「て、先が見えない。これは。」

肩が振るえて落ちる。

「まあた。この類いか。はあ。抑えろよ。」

手を頭上で合わせ言葉を発する。

淀む気配が濃くなり酷なり極なる。

「さて。瞬点を剥ぎ取れ。真良滅裂。」

トーリの手元周囲が黒に染まり拡散する。

「爆式多量砕波。」

拡散した物が付着した箇所から小さな突起が生え、光が走る。

直後に割れる音と世界の流転。

そして。世界が戻った。

「はあ、昇っているようで実際はスタート地点から動いてない。つまりは幻か何かの類いね。はは。なんだよ。それは。」

重い息を吐き出して七階を目指す。後始末などトーリには知ったことではない。

こうしてすんなり七階の扉までたどり着いた。

「この先も何か装置があったら面倒だよな。ああ。分体だけでも連れてくれば良かったと今さら後悔。まあぶつくさ言ったところでなにも始まらないか。」

蛇は近くの茂みで監視するよう置いてきていた。

ドアノブに手を掛けて回す。

心臓が早鐘を打つ。

かはっ。と詰まるように息を吐く。

扉を開けると何もない。普通の廊下だった。

「ふうぅ。何もないか。良かった。これ以上あったら。うん。潰して滅ぼしてたな。確実に。」

自分で納得して廊下に出る。

「見取り図は、お、有った。」

扉から離れたエレベーターの正面の壁に設置されていた見取り図を見つけ確認する。

「ふむふむ此処か。さて。行きますか。」

目的の部屋番号を見つけてその扉まで向かう。

「なんだ。少しは何かあるかと思ってたのに何もなかったな。まあそれがいいんだけど。さて、と。」

扉をノックして少し待つと返事と入るように言われて扉を開けて中へとはいった。


昼過ぎ。

ビルから出てきたトーリは気だるそうに片手で紙袋を持っていた。

軽く持ち上げ中を確認する。

「はあ。疲れた。もう少しは調整とかさあ。まあそれは良いけど何だろうねあの人は。さて次は駅前のショップだったか。確かサイン会。だったかね。まあ当日には解放されているし、おまけとして行きますか。」

怠く重い体を引きずるように駅へと歩いていく。


夕方頃。

あの後も押し付けられた仕事を片して会場へと戻ってくると何やら騒がしく。脳裏に過るものと胸騒ぎ。

途中の敷地は何もなかった。

自然とため息が。

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