表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
69/87

セッション7. 揺れるままの恋

【ツアーファイナル 大阪・京セラドーム大阪】

京セラドーム大阪は、

5万5000人の観客で埋め尽くされていた。

ドームの天井が、白と赤のペンライトで星空のように輝く。

ステージ中央の巨大スクリーンに、

「What a beautiful memory」の文字が淡く浮かぶ。


バックステージ。

凛は、白いブラウスに黒のロングスカート、首元に淡いブルーのリボン。

凛の瞳は、澄んでいて、強い光を宿していた。

悠里が、凛の肩に手を置き静かに言った。

「凛ちゃん、

 今日で27公演終わりだね」

凛は、

鏡の中の自分を見て微笑んだ。

「……みんなと、

 日本中に抱きしめられた」

零が、ギターを抱えて近づく。

「……凛」

凛は、零を見て手を差し出した。

零が、握る。

メンバー全員が円陣を組む。

いつものように千里が円陣の真ん中で声をだす。

「今日で最後!

 でも終わりじゃない!

 これからもみんなで抱きしめよう!」

全員が、拳を重ねる。

凛が静かに言った。

「みんな、

 いつも、私を抱きしめてくれてるから……

 私も、みんなを5万5000人を全部、抱きしめる」

零が、凛の手を強く握った。


開場時間。

5万5000人の観客が、ざわめきたつ。

暗転。

SEが鳴り響く。

ステージ中央に、凛が一人で立つ。

観客の大声援が爆発。

白いブラウスが、スポットライトに照らされる。

凛はマイクを握り静かに歌い始めた。

セットリストは、

アルバム『HOLD ME』全曲+新曲。

『I’ll never forget』で、

会場が沸く。

『HOLD ME Tonight』で、コールが埋め尽くす。

『雪解けの約束』で、涙が流れる。

『君が笑うまで』で、笑顔が広がる。

『If This Winter Never Ends』で、希望が輝く。

『夜に駆ける炎』で、情熱が燃える。

中盤のMC。

凛は、

息を整え、

静かに言った。

「みんな、いつも、私を抱きしめてくれてる

だから、

このツアーは、私から、みんなを抱きしめ返す旅」

会場が、静かに、しかし確実に、凛の言葉を包み込む。


アンコール。

『Promise』

凛は、ステージ中央で堂々と歌う。

客席が、コールで埋め尽くされる。


最後の曲。

『揺れるままの恋』

ツアーファイナルで初披露。

凛は静かに言った。

「この曲は、ツアーで、みんなに抱きしめられて生まれた曲です」

160BPMのツインリフが京セラドームに響く。

凛の声が会場全体を、

優しく甘く包み込む。


「夕暮れの街を 二人歩いてた

君の横顔に 目が離せなくて

何気ない会話の隙間に

心が少しずつ 近づいてく」


声はツアーで鍛えられた透き通る明るさ。

中音域の穏やかなハスキーさが、

甘く、

胸を締めつける。


「好きだなんて 言えないまま

この気持ちが 揺れてる」


凛の声が少し揺れる。

それは本物の感情。


「揺れるままの恋

君に触れたくて たまらない

揺れるままの恋 どんな言葉も 足りないよ

遠く感じても すぐそばにいる

この想いはもう 隠せない

揺れるままの恋 君だけに 届いてほしい」


ギターソロ。

零の14小節。

優しくて、

切なくて、

メロディアス。



キーアップ。

「揺れるままの恋

君に触れたくて たまらない

揺れるままの恋

この想いを 受け止めて

君の隣に いられるなら

それだけでいい

揺れるままの恋

ずっと ずっと…

揺れるままの恋

君へ…」


曲が終わった瞬間、会場は大歓声に包まれた。

凛は、ステージの上で全員と手を繋ぎ、深く頭を下げた。

「……みんな、

ありがとう」

「27公演、

みんなに抱きしめられて、

ここまで来ました」


客席が、

「リンちゃーん!!!!」

で埋め尽くされる。

ツアーは終わった。


でもWIZARDは終わらない。


終演後楽屋。

全員が静かに座っていた。

神崎社長が入ってきた。

「新曲、

完璧だった」

凛は零を見て微笑んだ。

「……完走したね」

零が、凛の手を握った。

「うん」

『揺れるままの恋』はツアーの熱をそのまま形にした。

リリースは一週間後。

WIZARDはツアーを終え新しい戦いへ歩み始めた。

みんなに、いつも抱きしめられているから。



挿絵(By みてみん)


揺れるままの恋

【https://drive.google.com/file/d/1Kf6aTI4rooIECrIZyarRrBFxaEZYIQju/view?usp=drivesdk】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ