表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/87

セッション6 ネガティブポイント

【深夜1時 BEGINNING本社 最上階特別会議室】


東京の夜景が全面ガラス窓から広がっていた。

室内は暖色の間接照明だけ。

テーブルにはコーヒーと紅茶が置かれ、誰も手をつけていない。

神崎龍一社長が一番奥の椅子に座っていた。

背筋はまっすぐ、瞳は静かで深い。

零が神崎の右隣。

黒シャツの袖をまくり腕を組んでいる。

表情は落ち着いている。

九条悠里が神崎の左隣。

スケジュール帳を閉じテーブルの上に置く。

目は穏やかで温かかった。

皆川真琴が零の隣。

鍵盤を模したノートPCを膝に置き静かに待っている。

凛はこの部屋にいない。


神崎が静かに口を開いた。

「凛について、話そう」

全員の視線が神崎に集まる。

神崎はゆっくりと続ける。

「まず、新曲を急がしてしまったことを詫びる。

タイアップのタイミングがずれてしまった。」

零が、

「ポカリさんには引き続き使っていただいて感謝です。」

神崎が深く頷いて再び口を開く。

「凛は天才だ。

 声は日本で一番。

 作詞の成長速度も異常。

 ツアーでの表現力も日々進化している

凛の最大の強みは信頼だ。

 『みんなに抱きしめられている』という感覚。

 それが彼女のエネルギー源だ」

悠里が静かに頷く。

「凛ちゃんはみんなの温もりを糧にしている。

 その信頼が凛ちゃんの歌を輝かせている」

真琴が小さく言った。

「凛ちゃんの笑顔はみんなの信頼でできてる。

 それが凛ちゃんの美しさだよ」

零が静かに頷いた。

「凛は私を絶対的に信頼してくれている。

 家族のような深い信頼。

私は凛を守り支える存在だ。

凛が私を必要としてくれるなら私はずっとそばにいる」

神崎が零を見る。

「零。

 お前は凛の『守り手』だ。

 それは変わらない

今は『みんなに抱きしめられている』という感覚を全力で受け止めて成長している段階だ」

悠里がスケジュール帳を開く。

「凛ちゃんはデビューからまだ1年。

 スキャンダル、2位の呪い、ツアー、新曲制作……

 すべてを『みんながいるから』と笑顔でこなしてきた

それは素晴らしいことだ。

でもこれ以上無理をさせてはいけない。

真琴が頷く。

「凛ちゃんは拒否できない性格。

 だから私たちがスケジュールを調整して休む時間を強制的に作る」

零が静かに言った。

「凛は『みんなに抱きしめられているから歌える』と言う。

それは信頼だ

でも凛は『私だけに頼らない』自分で決める任芸性を育てなければならない」

神崎が頷く。

「凛は『みんなに抱きしめられている』という感覚を大切にしながら『凛自身で自分を抱きしめる』強さを手に入れる」

悠里が続ける。

「まず過剰な多忙耐性について。

凛ちゃんは睡眠3時間、公演+レコーディングを『みんながいるから』と笑顔でこなす。

 これはデビューしたばかりだからしょうがない側面はある

でも長期的に見て体調崩壊のリスクが高い」

だからファイナル後最低でも3日間は完全オフを確保します。

 凛ちゃんは自宅でゆっくり休む」

真琴が提案する。

「多忙耐性の次は過剰な自己犠牲について。

凛ちゃんは『みんなに迷惑をかけたくない』という気持ちが強い。

 だから拒否できない性格で自分の限界を超えてしまう」

これはデビュー初期のプレッシャーから来ている。

 『みんなに愛されていなければ価値がない』という無意識の信念が根底にある」

零が静かに言った。

「凛は失敗を『みんなに嫌われる』と結びつけてしまう。

 ハプニングで間違えたときすぐに謝って赤面する。

 それは可愛いけど本当は恐怖だ」

神崎が頷く。

「だから私たちは凛に『失敗しても愛される』という実感を積み重ねさせる」

悠里がスケジュール帳を指差す。

「そのために『一人時間』を癒しと休息の時間として増やしていく

それで凛ちゃんは一人でいる時間を『癒し』と感じられるようになる」

今凛ちゃんは自宅で一人でいます。

4時間完全に一人。

それはオンとオフを切り替える時間。

ツアー中は毎日『オン』でみんなに抱きしめられて歌っている。

 でもオフの時間がないと自分を見つめ直せない」

真琴が微笑んだ。

「凛ちゃんには休息が必要」

零が静かに言った。


神崎が立ち上がり全員を見た。

「凛はデビューしたばかりだから過剰な多忙耐性はしょうがない」

これからスケジュールを調整して一人時間をつくる」

凛が癒しと休息の中で自分を見つめ直す

それが凛を強くする」

悠里がスケジュール帳を指差す。

真琴が提案する。

「凛ちゃんに『一人で決める』機会を増やす。

 新曲の詞も零さんに一切見せずに凛ちゃんだけで完成させて後から見せる」

「『凛ちゃんの判断が正しい』とみんなで肯定する」

神崎が静かに言った。

「零」

零は神崎を見る。

神崎が続ける。

「お前は凛を守り支える存在だ。

 それは変わらない」

零は深く息を吐いた。

「……わかりました」

神崎が全員を見回す。

「凛は天才だ。

 でも天才は脆い

信頼はそのままに。

 ただその信頼が『依存』ではなく『支え合い』になるように」


神崎が立ち上がり全員を見た。

「凛はこれから一人でも輝ける」

全員が静かに頷いた。

部屋の外では東京の夜景が静かに広がっていた。

凛は今一人で自宅にいる。

癒しの時間の中で自分を抱きしめている。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ