セッション3 「過去を塗り替える」5日間
【BEGINNING地下第2スタジオ】
零が指示を出した。
「この3曲は、当時ネット配信者だった凜に私が宿題として与えた課題だった。
見事に乗り切った凛を、今の声で全部取り直す。
過去の私たちを、今のWIZARDで完全に塗り替える」
1日目
「夜に駆ける炎」
【https://drive.google.com/file/d/16Q-djXuZdN_6rnq3j8oo7hUpj0n0sj6T/view?usp=drive_link】
零がギターを手に取り、原曲のコード進行をそのままに、ツインリフを2本重ねた。
是永「当時のテンポ、ちょっと遅かったよな?」
千里「BPM112だった! 今は118でいこうぜ!」
BOH「ベースは6弦で唸らせて、炎を表現する」
凛は、マイクに向かって、
「この頃の私は、
零さんにも、メンバーにも会ってなくて、
ただ『誰かに届いてほしい』って叫んでた」
テイク7で、凛の声が、23歳の自分と重なった瞬間、
全員が鳥肌を立てた。
零「これだ。当時の孤独を、今の炎で焼き尽くす」
2日目
「雪が溶ける前にぎゅっと抱きしめて」
【https://drive.google.com/file/d/1YZKl1quiH0F0mi4E0vQVYSzSMXh_zd3X/view?usp=drive_link】
真琴が、ピアノで雪の粒を表現するアルペジオを重ねる。
千里はブラシでスネアを優しく撫でる。
凛が歌い始めた瞬間、スタジオの温度が下がった気がした。
「雪が溶ける前に ぎゅっと抱きしめて」
零は、ギターソロで、当時の凛が欲しかった“温もり”を、歪んだ音で包み込むように弾いた。
テイク3でOK。
誰も、言葉を発せなかった。
3日目
「If This Winter Never Ends」
【https://drive.google.com/file/d/1lG50kZHH65wknWLkyovT3ENviJlVMJEs/view?usp=drive_link】
これが、一番難航した。
零は、最初、静かにアコギ1本で録ろうとした。
だが、凛が首を振った。
「違う。
今の私たちは、
もう冬を終わらせられる」
そこで、全員でアレンジをひっくり返した。
・イントロはBOHの6弦ベースが地を這う重低音
・Aメロは真琴のストリングスが雪崩のように降る
・サビで千里がフルパワーでドラムを叩き割る
最終日
午後11時47分3曲すべてマスタリング完了。
零が、ヘッドフォンを外して、静かに告げた。
「これで、凛の過去は、
完全にWIZARDのものになった」
5日間で、凛は、22歳に終えた配信者からプロのアーティストWIZARDに完全に塗り替えられた。
次は、織田テツローからの2曲を、この熱で受け止める番だ。




