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第6話

「あんた達、勝手に入ってくるんじゃないわよ!」

リップルさんは立ちあがると、乱入した2人に向かって怒鳴りつけた。

うわぁ、リップルさん怒ると結構怖いな…。


「緊急事態だから許してほしいのじゃ。」

「金貨100枚貸すにゃ!」

ドワーフ女子はシュンとして反省しているみたいだけど、ネコ獣人は全く懲りてないみたいだな。それにしても金貨100枚って…日本円で一千万くらい?


「あんた達、もしかしてメルディを死なせたの?」

リップルさんが怒りに身を震わせている。それにしても、どうして急に『死』なんて不吉なことを連想したんだろう…。


「1層だけ、試しにダンジョンを攻略してみようとしたのじゃ。」

「もう路銀が尽きそうで仕方なかったにゃ…。」


「ふざけるんじゃないわよ!最低5人揃うまではダンジョン禁止っていったでしょ!なんで守らないのよ!」

矢継ぎ早に怒鳴り散らすリップルさんだけど、怒りより悲しみに近い感情が溢れている。

担当する冒険者が死んで落ち込んでいるのだろう…。

こんな状況だけど、担当する冒険者のことで真剣に怒っているリップルさんを、僕は信頼できると思った。


「大体ね、金貨100枚も貸せるわけないでしょ。仮にもっていたって、あんた達みたいなバカに貸したら戻ってこないじゃない…。」

「バカっていうほうがバカにゃ!」

言い合いしている2人は、ともに目が潤んでいて、今にも泣き出しそうだった。


「せっかく有望株の魔法使いが見つかったっていうのに。本当にバカよ…。」

それって僕のことかな?

この人数が足りないパーティーに僕を紹介しようと思っていたのかもしれない。


確かに馬鹿なことをしたと僕も思う。

5,6人が適正なのに3人でダンジョンに挑むなんて無理ゲーだよ。

数の力の重要性を全然理解していない。だから、導いてあげたいとも思った。

女の子とパーティーを組みたいと思っていたけど、急に美人さんと一緒になったら、僕は緊張でパフォーマンスが下がる自信がある。

でも、この2人なら大丈夫な気がする。なんか親戚の姪っ子みたいな感じだし。


「あの、金貨100枚を借りて、どうするのですか?」

「もちろん、メルディの蘇生につかうのじゃ。」

えっ、死んだ冒険者を蘇生できるの!?

命が1000万で取り戻せるなら、それは決して高いとは思えない。

「死後30日までは魂が現世を彷徨うから蘇生も可能だけど、教会への多額の寄付金が必要なのよ。」

「えっと、高レベルの僧侶は蘇生の魔法が使えるってことですか?」

「反魂っていう特殊なスキルをもって生まれたものが、僧侶として高レベルに達すると蘇生の秘術を行えるらしいわ。」

「金貨100枚はボッタクリにゃ!」

僕はネコ獣人の意見には反対だった。人の命は安くてはいけないと思う。

そうじゃなければ、人は簡単に危険に飛び込んでしまうはずだ。


「そのお金で、孤児院経営やスラムの炊出しを行っているのよ。教会に文句を言うより、自分たちの浅はかな行動を悔いなさい。」

正論で叱られて、ネコ獣人は悔しそうに黙り込んでしまった。


「奴隷として身売りすれば、金貨100枚を得られるだろうか?」

ドワーフ女子が真剣に、そんな言葉を吐いた。

「馬鹿なこと言わないで!そんなことして生き返ったって、メルディは喜ばないわよ。」

「では、どうしたらいいのじゃ。30日で金貨100枚など…。」

この娘は自分が奴隷に落ちてでも仲間を助けてあげたいと思うのか。

仲間想いのいいパーティーじゃないか。素直にそう思った。

だから僕は、このパーティーの一員になろうと決心した。


「あの、金貨100枚、僕が貸しましょうか?」

3人が揃って、「えっ!」と驚きの声を漏らした。

「条件はつけさせてもらいますけど…。」

「どんな条件にゃ?」

「返済完了まで、僕をパーティーに加えること。そして、パーティーの行動方針を僕に委ねてくれることです。」


「そんなことでいいなら、すぐにでも貸してほしいのじゃ。」

ネコ獣人もコクコクと頷いている。

「なんでそんなにお金をもっているのか知らないけど、後悔しても知らないわよ。」

たぶん、リップルさんはお人好しな僕を心配してくれているのだと思う。

でも、もう決めたことだ。今更覆すつもりはない。

「リップルさんは、僕をこのパーティーに紹介するつもりだったんですよね?大丈夫です、後悔はしません。」


ふと気付くと、自然に女性と話せていることに、僕は驚いていた。


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