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第50話

派手にMPも消費したけど、まずは勝利できたことに安堵の気持ちが広がる。

深く息を吐いて仲間の様子を確認したとき、僕は自分の愚かさを恥じることになった。

何を安心しきっているんだよ…。アーシアさんが大怪我していたじゃないか。


急いで駆け寄ると、アーシアさんは地面に座り込んで脂汗をかいていた。

「アーシアさん、大丈夫ですか?骨が折れてしまいましたか?」

「いや、左肩の脱臼だな。父上との訓練で調子にのって一度やっているから感覚でわかる。」

メルディも駆けよってきて状態を確認し、本来ありえない方向に曲がる腕にショックを受けたようだ。

「今すぐ、ヒールをかけますね!」

「待ってくれ。肩にはめ直してから回復しないと上手く動かせなくなるらしいのだ。」

「どうやったら、はめ直せるにゃ?」

「一度腕を肩から離すように引っぱって、正しい位置にゆっくり戻すのだが。」

「どれ、我がやってやろう。」

トリスだと危険な気がする…。力加減が一般人と違うし…。

「私がやってもいいでしょうか。荷運びの仕事をしていたときに、脱臼した人がいて、治すのを見たことがあります。」

渡りに船だよ。経験者がいるならトリスの善意を断るのも心が痛まないし。

「では、カリンに頼むとしよう。」

「今後のために学ばせてもらうのじゃ。」

トリスにこの作業を任せる日は永遠に来ないかもしれないけど…。


カリンさんの丁寧な整復処置とメルディのヒールで、アーシアさんの顔に余裕がもどった。

前世だと、脱臼したらしばらくは固定して安静にする必要があったと思うけど、こういうとき魔法は万能だなと改めて感じるよ。


その後はトリスとアーシアさんにもう一度ずつヒールをかけもらい、ダメージは全て回復することができた。

僕は申し訳ないという気持ちが抑えられず、謝罪の言葉を口にする。

「みんな、ごめんね。こんなに強いと思わなくて、みんなを命の危険に晒してしまって…。」

「そんな、謝らないでください。ユウさんがいてくれたから勝てたし、感謝してます。」

「そうだぞ。みんながユウの判断を支持したのだから、ユウが気を病む必要はない。」

「ドキドキして楽しかったにゃ!」

「あの、ユウさんの指示がなかったら危なかったと思います。本当にユウさんは凄いです。」

「皆がユウを信頼しておる、自信をもつのじゃ!」

トリスがいつもより強めに僕のお尻を叩いて、パーンといい音が響いた。

痛すぎて声が出ないこともあるのだと知ったよ…。青痣ができないといいけど。


それにしても、本当にフラワー・フラグメントはいいパーティーだな。

みんながみんなを信頼している。


しばらく勝利の余韻に浸ったあと、ニーナがアラクネの死体を気にし始めた。

「ゴブリンの耳みたいに、どこか切って持ち帰るのかにゃ?」

そう聞かれても、アラクネに関する知識もなくて答えようもない…。

「うーん、2層経験者のカリンさんは知ってたりする?」

「い、いえ、こんな魔物は初めてで、どうしていいやら…。」

「素材として買い取ってもらえそうな部分だけ持ち帰ればいいのではないか?」

「そうですね。そうしましょう。」

「ならば、この鎌みたいな前足は持ち帰るのじゃ。爺様の鎧を歪ませたのに刃こぼれ一つないのじゃ。」

それは武器にするなら、かなりいい素材になるはずだ。


「あの、体内に魔石があるかもしれないので探してみます。」

カリンさんがショートソードで蜘蛛を解体していく。

レッド・ムーンでは、こういう作業をやらされていたんだろうな…。

「アチシも手伝うにゃ。」

「あ、では、お願いします。」

2人仲良く解体作業をしているけど、実際にはかなりグロテスクで直視していると吐き気をもよおしてしまう…。

「あったにゃー!」

「凄いです!こんなに大きな魔石は初めてみました!」

カリンさんも興奮しているということは、2層でも希少なサイズなんだろう。

ただ、なんで2層で入手できる魔石をもつ魔物が1層にいたのかは謎のままだな。


「どのくらいの金額で買い取ってもらえるのだろうか?」

「あの、凄すぎて想像もつきません…。」

「私たち、大金持ちですか!?」

珍しくメルディも興奮してしまっている。まぁ、命掛けの戦いを制したのだから、テンションもあがるというものだ。


そういえば、全然活用できていないスキルがあったな。こんなボスモンスターみたいなのを倒したのだから、一応試してみるか。

僕は『魔力感知』のスキルを発動してアラクネの死体を確認してみた。

すると、人間の上半身部分の2つの眼球からビンビンに魔力を感じる。

価値のありそうな物を発見できたのは嬉しいけど、目をくり抜くのか…。想像したら気持ち悪くなってきた。

「その目には魔力が宿っているから、高く売れる素材かも。」

「魔力感知にゃ?ユウは凄いのにゃ!」

自分でやろうかと思っていたけど、嬉しそうにニーナが取り出してくれた。

いい加減、自分だけが繊細なのに嫌気がさしてきたよ。早く慣れないとだなぁ。


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