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第5話

カウンター越しだというのに、リップルさんの押しの強さに一歩退きそうになった。

でも、裏表がないというか、裏表がハッキリしているせいか話しやすい気もする。

『指名してください』って言ってるけど、受付のお姉さんが担当制なら、僕はリップルさんがいいのかもしれないと思った。


「あの、登録料とか必要ですか?」

「はい、大銀貨1枚になります。引き換えに銅等級のギルド証をお渡ししますね。」

大銀貨か…多分金貨よりは価値が低いよね。

貨幣価値も知らないのは変に思われそうだし、しれっとバックパックから金貨を1枚出してカウンターに置いてみた。

「ユウさん、お金持ちですね~。ではお釣りの大銀貨9枚です。」

金貨1枚でお金持ちなのか、500枚もっていることは秘密にしておこう…。

大銀貨10枚で金貨1枚ということがわかったのは収穫だけど、大銀貨1枚って日本円でいくらくらいなのか調査が必要だなぁ。


やっぱり知らないことが多すぎて困る。

リップルさんにいろいろ教えてもらいたいし、ちょっと提案してみよう。

「あの、リップルさんを指名すると約束すれば、冒険者の心得みたいな基礎知識を教えてもらえますか?」


「もちろんですとも!ギルド証ができるまで時間がありますから、別室で初心者講習しちゃいましょう!」

リップルさんが嬉しそうなのはいいんだけど、目にドルマークの錯覚が見える…。


「初心者講習入りまーす!」

リップルさんが他の受付さんたちに自慢するように声をかけると、受付さんたちの営業スマイルが引きつった。仲わるいのかなぁ…。

リップルさんはカウンターから出てきて僕の手をとると、カウンター横の扉を開けて小部屋へ案内してくれたのだけど、僕は顔が熱いし動悸が激しいし、大変なことになっている。


生まれて初めて女の子と手を繋いでしまった…。

柔らかい…。これ、好きになっちゃうかも…。

いやいや、手を繋いだだけで恋していたら、女の子とハクスラ生活なんてできないぞ。

それに今の僕は女性じゃないか、意識しちゃ駄目だ。深呼吸、深呼吸。


案内された小部屋には長方形のテーブルを挟むように、安っぽい長ソファーが2つ備え付けられていた。

リップルさんは僕を手前のソファーに座るように促すと、奥のソファーに座った。


「楽にしてくださいね。それで、基礎知識って、どんなことを聞きたいんですか?」

相手が営利目的だと思えば、幾分話しやすい気がしてくる。

「あの、まず貨幣価値について教えてください。」

リップルさん、ポカンとしている…。そりゃ、なんで知らないんだって思うよね。


「もしかしてユウさんって、家出した貴族令嬢とかですか?」

「あの、出自については明かしたくなくて…。」

「ふむ、わかりました。指名してくれるなら追求はしません。」

「ありがとうございます。」

なんとかやりすごせた…。登録するのに出身地を書く必要がなくてよかったよ。


「では説明しますね。銅貨10枚で大銅貨1枚、大銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で大銀貨1枚、大銀貨10枚で金貨1枚の価値です。銀貨1枚あれば、外食1回にエールをつけられるくらいですかね。」

ラーメンとビールくらいってことなら、銀貨1枚で1000円くらいかな?

だとすると金貨1枚は10万円か…。ポンっとポケットから出すような貨幣じゃないことはわかった…。このチャンスにどんどん聞いちゃおう。


「えっと、魔力感知のスキルが喜ばれる理由を教えてください。」

「ダンジョンで入手したものを全て持ち帰るのは大変ですから、魔法の品かどうか判断できるスキルがあると、効率よくお宝回収ができるんですよ。あと、魔法の罠に気づけるから重宝されますね。」

おー、それ凄いかも!確かに鎧とか両手斧とか、重装備を持ち帰ってもガラクタだったら辛いもんなぁ。


「じゃあ、聡明って、なんで一番人気なんですか?」

「聡明のスキル持ちだと、魔法の構造を理解できるらしく、威力を調整するなど魔法を変質できると聞いています。」

ということは、聡明スキルがあればMP2倍消費で威力アップみたいなことができるのか。

それは、ギリギリの戦いでは生死を分けるほど重要なスキルじゃないか。

選んでおいてよかったぁ…。


「あと、ダンジョンには何人で挑むのが適正ですか?」

「そうですね、基本は前衛3人後衛2~3人です。僧侶、魔法使い、盗賊を1名ずつ揃えて挑むのが一般的です。」

6人編成のハクスラ系ゲームをイメージすればいいっぽいな。


「パーティーに入れてもらうには、どうしたらいいですか?」

「メンバー募集も掲示板に出されていますが、男性だけのパーティーに入るのはお勧めできないですね…。」

なんか、僕の体をジロジロみながら、そんなことを言われた。

「どうしてですか?」

「その豊満な胸に内気な性格、男性の庇護欲を煽りすぎて、ユウさんを巡ってすぐに内部分裂が起こるでしょうね…。」

それは世に言う『オタサーの姫』みたいな感じになっちゃうということか…。

男性だけのパーティーは僕も望んでいないから別にいいけど。男に迫られても困るし…。


次の質問は何にしようか考えていると、入り口の扉が勢いよく開き、女の子が2人乱入してきた。

「リップル、お金を貸してほしいのじゃ!」

「リップルしか頼れる人がいないのにゃ!」


入ってきたうちの1人は、身長140cmくらいの女の子で、栗色の髪をポニーテールにしていて、耳は人間に近いけどちょっと長い。ドワーフ女子かな?

もう一人は、身長150cmくらいの銀髪ネコ耳の獣人。

なんか、2人とも女性というより小学校高学年の女の子みたいだな…。


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