第42話
リップルさんの話では、ここで結構な時間を待つことになりそうだった。
それなら、今後のためにみんなでステータスを共有したり、カリンさんに弓を使って欲しいことなどを話し合っておこうと思った。
「カリンさん、僕としては後衛から弓を射る役割をお願いしたいと思っているのだけど、お願いできるかな?」
「えっと、使ったことがないので自信はありませんが、それが私に求められているなら頑張ってみます。」
「DEXが低いと難しいかもしれないから、一応ステータスを確認させてくれる?」
「わかりました。期待に添えるといいのですけど…。」
名 前:カリン
職 業:巫女【ユニーク】
レベル:3
スキル:未来視(微) 農業知識(初級)
年 齢:17
属 性:火
適 正:巫女【ユニーク】
STR:9 VIT:8 DEX:11 AGI:8 INT:7 FAI:12
HP 16 / 16 MP 24 / 24
「えっ!?職業が変わってる、ステータスも…。それに巫女って?」
カリンさんが驚いてステータスを食い入るようにみているけど、驚いているのは僕も同じだ。
ユニークって『特異』って意味だったよな。それに『未来視』って、何かとんでもないスキルな気がするんだけど…。
「リップルさん、巫女という職業について何か知っていますか?」
驚きを隠せない様子で、リップルさんもステータスを覗きこんだ。
「本当に巫女ね…。」
「巫女とは、どんな職業なのじゃ?」
「もったいぶらずに早く教えるにゃ。」
「あぁ、もう、鬱陶しい!」
トリスとニーナに両側から体を揺すられ、イラっとしてしまったようだ…。
「巫女っていうのはね、山を神として崇めている遠い東の島国で、司祭のような役職を務めている人の職業よ。3年くらい前に、その国と王国が貿易を始めることになって、巫女が謁見に来たって話題になったわ。」
「どうして、戦士から巫女になってしまったのでしょうか…。」
「そんなの私だって知らないわよ。だいたい、この『未来視』って何よ?聞いたこともないんだけど。」
「カリンさん、未来が見えるんですか?」
「あの、それも今まで無かったスキルで…。」
「試してみたらどうだ?有益なものかもしれないしな。」
「えっと、どうしたら試せるのでしょうか…。」
「うーん、未来が見たいって念じてみたら?」
我ながら適当な助言だと思うけど、魔法を覚えるのも感覚的なものだったし、試してみる価値はあると思う。
「えっと、とりあえず、やってみますね。」
カリンさんが眉根を寄せて僕を見つめてくるから、顔が火照ってしまい慌てて目を逸らした。
「あっ!えっと、ユウさんが二重に見えるというか、残像が追いついていくみたいな感じです。」
「カリンさん、どんどんMPが減ってます!スキルの使用を止めてください!」
メルディが慌てて、カリンさんを揺すった。
「あ、ありがとうございます。確かに、すごく疲れた感じがします。」
「もしかして、スキルを使っている間は、少し先の未来と現在が同時に見えているのかな。どのくらい差があるの?」
「たぶん、1秒もないくらいです。あんまり役には立ちそうもないですね…。」
いやいや、待て待て!
「少し先が見えているってことは、そこを狙って弓を射れば確実に当たるのでは!?」
「もし、そうなら、とんでもないレアスキルだわ!」
「サカナカマはとんでもない逸材だったのにゃ!」
「サカナカマとは、なんなのじゃ?」
「もちろん、魚を愛する仲間のことにゃ。」
ニーナが胸を反らして、そんなことも分からないのかという感じに、ヤレヤレと溜息をついた。
「本好きが集まる読書会やお茶好きのお茶会のようなものだろう。愛好家同士が集まって話すのは楽しいものだし、いいのではないか。」
アーシアさん、そんな高尚なものじゃないし、全然違うような気がします…。
「でも、勝手に入れられたら、カリンさんに迷惑だよ。」
メルディ、よく言ってくれた!
「あの、大丈夫です。仲間に入れてもらえるのって、すごく嬉しいですから。」
カリンさんが頬を染めている。本当に嬉しそうだから止めないけど、サカナカマだよ…。
「あんたたち、この異常事態によくもそんなバカみたいな話ができるわね…。逆に感心するわ。」
「まあ、私の『不撓不屈』というスキルも気付いたらあったからな。悩んでも仕方あるまい。」
「アーシアさん、意外と細かいことは気にしないタイプだったのね。はぁ、ギルド長に何て報告したらいいのかしら…。」
リップルさんには呆れられちゃったけど、このいい意味での暢気さはフラワー・フラグメントのいいところだと思うよ。
巫女関連については、確かに考えてもわかるものじゃないだろう。
でも、赤い痣が関係しているのだろうな。
アーシアさんの時も思ったけど、心の持ちようが変わったとき、隠れていたスキルが顕現するんじゃないかなって改めて思った。




