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第33話

換金も終わり、いよいよレベルアップ祝いで豪華に食事を堪能しようということになった。

「みんな、何か希望はある?」

「我は火酒が飲みたいのじゃ。」

「私はサバランというケーキに挑戦したいです。」

「久しぶりにミートパイを食べたい気分ではあるが。」

「アチシは海の魚を食べてみたいにゃ。」

珍しくアーシアさんも食べたいものを言ってくれたのが、ちょっと嬉しいな。

気の置けない仲間になれた気がする。

それにしても、近くに海がないのに海の魚は手に入るのかな…。


「海の魚を出す店って、この町にあるのかな?」

「乾燥させたものは日持ちするからな。高価ではあるが流通はしているはずだ。」

なるほど、干物の文化があるなら内陸でも手に入るね。

「魚は干すと旨みが凝縮するみたいだから、美味しいかもね。」

「そうにゃのか!?今まで損してたにゃ…。」

「素人がやって上手にできるかわからないから、そんな後悔しないでね。」

「ユウさん、過去に料理の修行とかしていたんですか?」

「いやいや、簡単な自炊をしていただけだよ。」

「それでも凄いのじゃ。」

「本当にユウは何でもできるんだな。」

また、勝手に僕の評価が上がっている…。


みんなの意見が全て満たせる店はないかと考えて、この町でも高級な部類に入るレストランに入店してみることにした。

メルディがびびってしまい、「本当に私たちが入っていい店なんでしょうか?」と小声で聞いてきて少し心配になったけど、アーシアさんが「問題ない。」と言ってくれたので安心できた。

まぁ、服装とか他の客より貧乏そうに見えているだろうけど、アーシアさんだけは質のいい服と美しい顔でキラキラしているし、お供とでも思ってもらえればいいのかな…。


ミートパイはみんなでシェアできるようにホールで、ドライフィッシュのあぶり焼きを人数分、トリスには火酒で他はワイン、デザートにサバランを人数分注文してみた。

ドライフィッシュのあぶり焼きは、ホッケの干物みたいで懐かしくもあり米が恋しくなったよ。

代金も大銀貨4枚ほどで、まぁこのくらいの値段だったらと思えるものだった。


ホームに戻りながら、いつものように料理の感想で会話が盛り上がっているのを見るのも、僕の楽しみになってきていると思う。

「久しぶりに火酒を堪能したのじゃ。」

「サバラン、お酒が入っているのに甘くて美味しかったですね!」

「うむ、酒入りというのが気に入ったのじゃ。」

「海の魚も旨みが凝縮して最高だったにゃ!」

意味が分かって言っているのかわからないけど、この前の川魚の塩焼きは淡泊な味だったから感動するのもわかるよ。

「ミートパイも悪くない味だったぞ。」

「アーシアさんは、パイ料理が好きなんですか?」

「そうだな、パイだとつい食べ過ぎてしまうので好物といって差し支えないだろう。」

「じゃあ、今度パイを焼いてみようかなぁ。」

「魚のパイがいいにゃ!」

「ニシンのパイ?ちょっとクセが強いからなぁ…。」

メルディはあまり好きじゃないみたいだな…。

「それなら、リンゴのパイはどうかな?火を通したリンゴをワインと砂糖で漬けてパイで包む感じだったかな?リンゴジャムもあったほうがいいのかな?ちょっと作り方違うかもしれないけど…。」

気付くと、メルディとトリスとアーシアさんが僕のほうを凝視していた。

「なんじゃ、その上手そうなパイは!」

「デザートのパイがあるとは!世界は広いな。」

「もっと詳しく教えてください!」

「いや、あんまり詳しく知らなくて…、ごめんね。」

3人に囲まれて緊張してしまう。特に素顔のアーシアさんは僕にはまだキツいよ…。

「ぐぬぬ…魚がリンゴに敗北したにゃ…。」


ホームに戻ってお風呂をみんなが済ませ、生活リズムを戻すために無理にでも寝ようということになった。

まぁ、お酒も飲んだし、完全に疲れがとれているわけでもないので眠れるんじゃないかな。


翌朝になると、ギルドから呼び出しがあったので、僕一人でギルド長に報告に行くことにした。どうせリップルさんに伝えた内容の繰り返しだし、みんなで行く必要もないからね。

残りのみんなは、協力してリンゴパイを作ってみるらしい…。

僕の怪しい記憶を頼りに、どこまで本物に近づけるか興味はあるので、それを楽しみにお勤めを頑張ろうと思う。


ギルドに到着すると、すぐに2階にあるギルド長の部屋に案内される。

2階に上がるのも初めてだし、お偉いさんに会うと思うと緊張してくる。

せめてリップルさんがいてくれたらと思ったけど、綺麗なお姉さんであるリップルさんに側にいてほしいと思うなんて、僕も変わったなぁと思った。


部屋に入ると、ギルド長を名乗る50代くらいの歴戦の強者を思わせる男性に迎えられた。

求められるままに体験したことを一通り説明し終えると、今度はギルド長が昔話を僕に聞かせてくれた。

ギルド長は28年前のゴブリン侵攻を食い止めたメンバーの一人で、アーシアさんのお父さんとは旧知の仲だということ。

それもあって、アーシアさんのことを気にかけているようで、あまり無理をしないように釘をさされてしまった。

あと、逆侵攻を王国が検討すると予想していて、その場合にはフラワー・フラグメントにも参戦してほしいらしく、それまでにレベルをしっかり上げておくように言われた。


最後に魔鉱製の剣に金貨7枚、地図の提供に金貨2枚、ゴブリンノーブル討伐に金貨1枚の報酬をいただいた。

命掛けのダンジョンアタックになってしまったけど、合計190万円くらい稼いだのかと思うと、夢があるなと感じた。


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