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第16話

次に僕たちが向かったのは、リップルさんに紹介してもらった商業区にある不動産を扱う店。

できることなら、即契約して今日から住みたい。

やっぱりトリスと一緒に寝るのは倫理的によくないし、同室での着替えも問題だよなぁ。

それに、可能ならお風呂問題を解決したい。湯屋の女湯に入るのは絶対ダメだ…。


商業区はギルドのある通りとは違い、様々な店が並んでいて目移りしてしまう。

お洒落なカフェもあれば、可愛い雑貨店、金物屋や食材を扱う店などありとあらゆる物が揃いそうだ。

その中で僕の目を惹いたのは、金物屋に置かれていた巨大なタライ。

小さい子用の空気を入れて使用するビニールプールを連想するそれは、深さこそ足りないが個人用のバスタブの代用品になるのではないか。

賃貸物件の間取りや作りを確認して、使用可能なら買いに来ようと、心のメモ帳に記録しておいた。


途中トリスたちは、カフェのオープンテラスで身なりのいい女性が食べているケーキに目が釘付けになっていた。

やっぱり女の子は甘い物に目がないのかな?契約が済んだらご馳走してあげようかな。

何でも買い与えるのはよくない気もするけど、幸せそうにケーキを食べる3人の姿を想像すると、財布の紐を締めることができなさそうだ…。


そんなことを考えているうちに目的の不動産店に到着した。

小綺麗な木造の平屋建てで、看板がなければ不動産を扱っているとはわからないな。

4人でぞろぞろと入っていくと、若い男性が接客に応じてくれた。


治安が悪くなく、最大6人で住めてお手頃な価格という条件で幾つか物件を紹介してもらったところ、条件のいい気になる物件がみつかった。

商業区大通りの裏手にあって、もとは大きな商店の従業員寮だったらしい。

不渡りをだして店をたたむことになり、従業員寮だった建物は指し終えられ、今は別の商人の所有となっているとのこと。

現在は使用予定がないため、賃貸物件として登録されたとか。

家賃も月に大銀貨15枚で安いと思ったので、すぐに内見させてもらった。

1階はリビングとキッチン、洗濯場と小部屋が2部屋。

2階は4部屋と理想的で、部屋のサイズは小さいけど個人部屋は嬉しい。

それに洗濯場は庭がないので専用の屋内スペースなのだ。

ちゃんと壁もあり風呂スペースとしても利用可能そうだ。


一応トリス達にも確認したが、みんな気に入っているようだったので即決してしまった。

どの部屋にもベッドと小タンスが備え付けられているので、布団だけ買えばすぐにでも住めるのもよかったんだよね。

契約を交わした後は、4人分の綿入り敷き布団と毛布を購入して届けて貰い、ついでに目をつけていた大きなタライも購入した。


新生活が始まると思うとワクワクしてきたし、トリス達も同じように興奮しているようだった。

部屋決めも揉めることなく、僕とメルディが1階でニーナとトリスが2階に決まった。

一通り準備が整うと、引越しソバならぬ引越しケーキを楽しもうと提案してみると、ニーナは嬉しさに飛び跳ね、トリスは「初ケーキなのじゃ!」と興奮し、メルディは目を潤ませて喜んでいた。

ちょっと大げさではと思ったけど、僕のイメージより庶民とお金持ちの格差が大きいのだということを知るいい機会になったよ。


もう夕方になってしまったけど、ケーキを食べてご機嫌な3人と一緒にギルドに向かうことにした。

リップルさんにチーム名を伝えていないことを思い出したからだ…。


ギルドに入って、暇そうにしているリップルさんのもとに直行した。

「リップル、チーム名が決まったのじゃ!」

「遅いわよ。待ちきれなくてチーム名空欄のまま貼り出しちゃったわ。」

来るのが遅かったからリップルさんはご機嫌斜めのようだ。

まぁ、忘れていたのは事実で申し訳ない気持ちになったよ。

「それで、何という名前にしたの?」

「フラワー・フラッグメンにゃ」

「違います!フラワー・フラグメントです。」

花柄の旗を掲げる男達を想像して、ちょっと笑ってしまった。

「いい名前じゃない。早速書き加えてくるわね。」

すぐに対応してくれてありがたい。まぁ、暇だからできるんだろうけど。


リップルさんと雑談したあと、なんとなく依頼掲示板を見てみる。

もしかしたら、4人で受けられるようなダンジョン以外の依頼もあるかもしれない。

排水溝掃除、倉庫整理、行商人護衛…うーん、微妙だなぁ。この町を離れるつもりはないし。


依頼の張り紙に集中していて気付かなかったが、ふと見ると僕たちのパーティーメンバー募集のチラシを見つめる身なりのいい金髪をハーフアップにした女性がいた。


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