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ガス體

〈さう云へば西瓜なき夏過ごしけり 涙次〉



【ⅰ】


 放つて置けば、地球は(本当は「地球なんぞは」は、と* 石田玉道は云ひたかつた。だが、「客」として失禮な言葉は控へるべきと、思ひ留まつたのだ)x星人に占領されてしまふ。そこで、カンテラ一味と手を組んだ、と云ふのに、そちらの方面は無視されてゐるのではないかと、石田は危機感を募らせた。だが、テオだけは石田の云ひ分を呑む事に努力してくれてゐる。何せ天才猫だ。想像力が發達してゐるのだなあ、凡百(失敬)の人間たちに比して、と石田は思つた。



* 当該シリーズ第62・63話參照。



【ⅱ】


 テオ「次にx星人が現れさうな處、石田先生は分かります?」‐「裁判所だと思ふんですが」‐「裁判所?」‐「傍聴席、と云ふものがあるでせう。そこから一つの裁判を滅茶苦茶にしてやらうと云ふ...」‐「なる程。先生はその情報を何処で摑まれたのですか?」‐「なに、私の勘ですよ。第六感。人間の皆さん方も、それをよく当てにするでせう?」‐「勘かあ... それぢやカンテラ兄貴もじろさんも動きさうにないなあ」‐「カンさん、じろさん共に日頃自分たちの不思議な能力をよすがに活躍なさつてゐるのに、それでは余りに不公平ではありませんか?」‐「むう」テオもこゝで詰まつてしまふ。



【ⅲ】


 兎も角、石田が「臭い」と踏んだ裁判を傍聴してみやう、と云ふ事になつた。東京地裁、被告人は窃盗の常習犯だと云ふ(もぐら國王のやうに、華麗なる泥棒術は使はない、極く普通の泥棒である)。傍聴席はがら隙きだつた。陪審員の意見陳述でも、情状酌量の余地なしと云ふ事になつた。裁判官が有罪、禁固5年の判決を下した。...すると、「意義あーり!!」と大聲を出す男が、傍聴席にゐた。刑務官が、彼を排除しやうとすると、不思議な事に、その眼差しに射竦められてしまひ、排除出來ない。



【ⅳ】


「だうしたんだ!?」と他の刑務官たちがばらばらと現れる。(くだん)の男は、「#%$=**+_x<>¥」と無茶苦茶とも云へる事を口走つてゐる。これがx星語なのだ。その内容は石田にも分からない。x星人はその儘被告を誘拐して行つてしまつた! で、テオと石田が追ふ‐ と、それにいつの間にかカンテラ・じろさんが合流してゐるではないか。



 ⁂  ⁂  ⁂  ⁂


〈キャラ間に不公平なき物語それが理想で每回頓挫す 平手みき〉



【ⅴ】


 カンテラ「氣に食はないかも知れないけれど、後を着けさせて貰つた」‐テオ「兄貴~! いや、助かりましたよ」‐カ「石田さん、奴のアジトは何処ですか?」‐「私の勘では、新宿某所、某ジャズ喫茶です」‐テ「石田先生の勘は今までのところ、外れなしなんですよ」‐カ「分かつてるつて」



【ⅵ】


 兎に角、その「邪眼」に捕まつたら最後だ。石田としても、x星人にそんな特技(?)がある事は今まで知らなかつた。じろさんが目隠しを自ら着けた。「私も勘に頼つてみやうかと思ふ。先生に倣つてね」實はそれは古式拳法では必修の技で、視界を奪はれた時でも、氣配で相手の居場所が分かる、そんな秘術なのだ。某ジャズ喫茶、ハンク・モブレーのテナーサックスが店内に鳴り響いてゐる。結界の役目を果たしてゐるのだ。それでもじろさんは、x星人の存在を嗅ぎ付け、ぐい、と上衣の襟を引つ張つた。カンテラ、なるべくx星人の方は見ぬやうにしつゝ、彼を斬り伏せた。今回は白虎のパワーを必要とする事もなかつた。「しええええええいつ!!」テナーのブロウよりも、カンテラの氣合ひが勝つた...



【ⅶ】


 と云ふ譯で、被告人某は刑務官の手に戻された。しかし、裁判所では予算に「空き」はないと云ふ。仕方なしに石田が、例のダイアモンドで、報酬を支払つた。カンテラ「ケチだなー、日本の裁判所つて奴は」‐「まあさう云はずに」テオ。カンテラ「石田さん、これからも宜しく。貴方がゐなければ、地球は直ぐにx星人に占拠されてしまふでせう」‐石「分かりました、最善の努力はしたいと思ひます」(石田、カンテラ・じろさんにも分かつてゐたのだ、と安堵。)



【ⅷ】


 じろさん「風紀紊乱を狙つて來てゐるやうだね、x星人」‐テオ「先生の話では、x星はまさに弱肉強食の世界で、力のある者が、ない者から搾取するのは当たり前なんださうです」‐じ「まるで魔界だな」‐テ「魔界に似てゐるからこそ、先生はx星人退治をカンテラ一味に依頼するのでせう」‐じ「なる程ねー」



【ⅸ】


 x星人は密かにガス體となつて、斬り伏せられた男(憑依してゐたのである)から脱け出した。そして、他のx星人たちと寄り集まつて、巨大なガスのボールと化した。こゝんところ、カンテラたちは見てゐなかつたのである。が、石田は彼らの生態を良く知悉してゐた‐ やうやくNWSFらしさを出せました・笑(作者談)。貴方の隣人も、もしかしてx星人に魂を奪はれてゐるかも...。



【ⅹ】


 因みに、x星人が苦手とするのは、地球の「水」らしい。これはまだはつきりとはしない事だが、だうやらガス體がH₂Oと云ふ物質を拒絶してしまふ、らしい。らしい、らしいが續くが、その研究は石田に任せなくてはならない。取り敢へず、共同戦線は續く。と云ふ譯で、一件落着‐ してねーか、今回はこゝ迄。


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