うちの憧れる将来は
さっき乗ったジェットコースターの写真を見て「見て持井の顔、歯食いしばりすぎ。歯欠けちゃってない？」「舐めんな余裕だわ。由根より数倍硬いから」うちらは今レストランの前でエナちゃんを待っています。立と雑談をしていると二人の顔が見えます。太田くんはなんか不安そうに見えますね。エナちゃんは何か驚いているようで目をまんまるく開いています、どうしたんでしょう？「お待たせ。ちょっと迷子になってた」「全然だよ。気にしないで」何も話してくれないですね。また杞憂でしょうか？
「お待たせしました。チキンカレーです」目の前に大きな鶏肉の乗った黄色いカレーが出されます。「美味しそう。先食べてるね」スプーンで肉を小さく切りそのまま米とカレーを一緒に掬い上げます。あちち、ベロを火傷しちゃいました。「お待たせしましたチーズインハンバーグ、サーロインステーキ、焼いた肉でございます」持井の目の前にサーロインステーキが置かれ太田くんの手元にハンバークは置かれエナちゃんの前に焼いた肉が置かれました。焼いた肉？「エナちゃんそれ何？」「変なのあったから頼んだ」楽そうにひとかけら口に運ぶ「普通の牛の肉にスパイスで味付けしてあるみたい。ちょっと辛いけど美味しい」無邪気にはしゃぐエナちゃんが可愛くてたまらないです。「はっはふ、はっはっ」太田くんが焦って水を飲む「どうした？」持井が半笑いで質問する。「チーズが暴れた。許せない」スプーンで肉を小さく切りそのまま米とカレーを一緒に掬い上げる。息を吹きかけ熱を冷ましてから口に運ぶ。とても美味しいです。
（南蛮ババアの蛮地）ここはテーマパーク内にある建物で、なんでも質問に答える占いみたいなことをしてくれる場所らしいのでみんなで入ることにしました。中に入ると小部屋がいくつか並んでいるような構造で一人一部屋なようです。「じゃあ出口集合ね」私たちはスタッフの方に連れられてそれぞれの部屋に入る。中に入ると草や木装飾がされていて切り株に座った狐が話しかけてきました。「ここに人が来るなんて珍しい。何か聞きたいことはあるかい？」「うちは将来どうなってますか？」「君は近いうちに人類を救うヒーローになれるよ。でもそのためには大きな愛を探さなきゃいけないよ」なんか壮大なことを言ってます。プログラムされた音声の繋ぎ合わせではなく裏で人が話しているみたいです。「ありがとうございました。では」なかなか回転率がいいですね。
少しみんなは出てくるのが遅いですね「わり、待たせた」と持井が来ました。「全然、なんか言われた？」「すげーこと言うなあいつ。俺に誰に対しもなんも我慢はしなくていいってよ」「理性ない奴だと思われたんじゃない？」「生意気なヤギだな」「「お待たせ」」やばいくらい嬉しそうな太田と不思議そうな顔をしたエナちゃんが見えた。
もう日が沈み始めています。太陽はてっぺんだけだしてはずかしがりやさんなんですね。もうすぐテーマパーク内でも大規模なパレードが行われます。「じゃそろそろ向かいますか」みんなを連れて先頭を歩きます。斜め前を歩く男の子は屋台で売っているアイスクリームを持ってお母さんと手を繋いでいます。エナちゃんが隣に来て「あたしもアイス食べたいからちょっと並んでいい？」「うちも食べる、二人はどうする？」「俺も食べよっかな」「じゃあ僕も」「じゃあうちら買ってくるね」太田と二人で屋台に並ぶ。「エナちゃん可愛い？」少しちょっかいをかけます「すごい可愛いです」少しも狼狽えずはっきりと答える自信に憧れてしまいました。「すみません、列抜けていいですか？」太田くんがエナちゃんたちの方を見て焦る様に言う。そっちに目を向けるとリュックを持った男がエナちゃんたちの前に立っていた。「大丈夫だと思うよ。持井がどうにかするから」と言っても太田は心配そうに今にも走り出しそうなほど体が傾いています。しばらく見てると男は立ち去って行きました。太田は一気に力が抜けた様で大きく鼻息を吐き出してました。
「お待たせ買ってきたよ、さっきの人誰？」険しめの顔で持井が答える「多分キモいナンパ、宇高さん目的っぽかった」「よく追い払った偉い、少し休む？」「いや大丈夫元気だよ」と笑顔のエナちゃん。それを心配そうかつ強そうな顔で見ている太田くん。
パレードが始まり
軽快なドラムとトライアングルの音このテーマパークの人気キャラのモンゴルの王様がメインの時間派手に装飾された車の上に顔の薄いライオンが立って踊っています。エナちゃんが目をキラキラさせて口の内側を強く噛んでいる様です。口内炎出来そうです。
曲が一つ終わり次の曲が始まります
不気味で落ち着く音楽とともにこのテーマパーク屈指の悲劇の物語主人公（村八兵衛）が一人で黒いローブだけ纏い歩いてくるそして周りの雰囲気に合わせず一人で両手を広げ派手に踊り始めます。太田の方を見るとポカンと口を開け感動している様な、苦るしんでいる様な顔をしていました。
パレードも後半に入りました
だんだんと増える打楽器盛り上がっていく様に見えて気付かないうちに徐々に不安になっていきます。これはこのテーマパーク唯一ホラー映画のキャラクター（ロンリー・キョンシー）先頭には顔中傷だらけでボロい布を身に纏っただけのキョンシーが歩いてその後ろを絢爛豪華な格好をした無数のキョンシーがついていています。「ハァ」持井が納得のできない様な声を漏らします。その顔は何か悩んでいる様なぎゅっと結んだ口元しかし覚悟は決まっている様なキリッとした目つき彼の中ではいったい何があるのでしょうか？
ついに最後のキャラクターのショーが始まります
テン
静寂の中運ばれてくるこれはテーマパーク内No. 1の感動作の重要要素、通称（泣き桜）あまりに静かなショー、唯一あるのは終わりを示すピアノの音一つ。周りから声が一つも聞こえないこの状況に安心していて、でもそれは粗相を起こした様な簡単には受け入れられないぬくもりでした。
月が目覚めてパレードが終わり人が出口へと流れていった後
「駅混んでるね」「帰りの人が一気にここに集まってるからな」今は駅でトイレに行ったエナちゃんと太田を待っています。「楽しかったね」「かなり遊んだな。さすがに疲れたけど面白かったな」「またみんなでどっか行けるといいけどね」「今度またなんかあれば俺から誘うわ」
コンティニュ
