俺の好きな食べ物は
昼休み
「今日も頑張りましょー」「持井ここわからん」「ノート貸すから見てわかんなかったら聞け」いつも通りです。いつも以上にいつも通り、いつもの生活で過去の息の詰まる数秒を薄めていきます。「キーンコーンカーンコーン」チャイムがなったのでいつも通り五限をがんばります。
金曜
朝早く学校に来て今日も勉強をしています。「みなさんおはようございます。」来上先生が珍しく早めに来ています「おはようございます」挨拶だけ返して問題集を解き続けようとするうちに先生が話しかけます「由根さん教室まで運びたいものがあるので手伝ってもらえますか」「はい」意識的に少し明るく返事をします。先生の右斜後ろを歩く。「由根さん最近勉強頑張ってますね」「はい成績やばそうなんでね」「それだけで勉強していたんですか?」「不良が勉強するのには妥当な理由だと思いますけどね」先生はたまに変ことを言うから可愛いです「それはそうなんですけどね、昼休みも潰して休日も学校まできて勉強する不良なんていませんよ、他に何かあるのかなって思っただけです」「はぁ、なるほど」よく見てるなと感心しつつ歩いていると気づけば職員室の前まで来てました「これです、体育祭の写真でアルバム作ったので後でみんなに配っといてください」「わかりました」渡されたアルバムを教室まで持っていきみんなの机に配る。問題集を開くがあまり手につかない。問題集を閉じてスマホを触り始める。「おはよう澄子勉強はもうやめたんか?」とかやが話しかけてきます「休憩中ですよ」今はやる気が起きないんですよ。
昼休み
「今日も頑張りましょ」数学の問題集を開いて今日は喋らず集中して数学の問題を解き続けて昼休みが終わるチャイムがなります。「お疲れ様―」それぞれが片付けをして教室に帰ります。その中から持井だけを捕まえて声をかけます「持井!明日10時に教室な」「おぉ了解」互いにこれは普段通りであるかのような顔をして、しかし少し緊張していることを仄めかしながら。
次の日
9時15分うちはもう教室で勉強を始めています。問題集を眺めながら彼の到着を待っています。少し二人で話したいこともあります。しばらく問題を解いていたら教室のドアが開きました。「おはよ」「おはよう今日は来るの早いのな」自分より早く来たうちに少し驚いたようです。「昼までしかやる予定ないしね」「あっマジ、なんで集まったん?」「ちょっと先週のことについてお話しに来た」「……」「黙んな」「ごめん」「うちは前からあんたのこと気づいてたしその状態の持井を容認して過ごすから気にすんな」「…よろしく」「やっぱ夕方まで一緒に勉強するか」「わかった」寝起きぐらい低いテンションの返事を聞きながら問題集を再開する。一言も喋らずせっせと二人で勉強をしてから。「お腹すいたから家帰る」「そうだな外も暗いしね」「じゃあ月曜にな」「明日はやらないの?」「明日はうちは勉強するの」「おう、そうか」外を見たらもう澄んだ空から太陽は落ちていました。
月曜日
「おはようございます。テスト頑張ってくださいね」今日からテストが始まります。かなり勉強したからこそ不安になります。万が一ここで赤点を取るようなら多分一生勉強することはなくなります。最初は化学からです。
教科書を見直していると監督の先生が教室に入ってきました。「みんな問題用紙配るから机の上片して、中に何か入ってないか確認して」一通り確認が終わった後、先生が解答用紙と用紙問題用紙を配り始めます。「問題用紙は指示があるまで開けないでください」問題用紙の裏から何とか透けているところはないか目を凝らして確認します。間違いなく無意味なことです、しかしやるだけ得です。結局何も見えないでいるうちに気づきもしない先生が合図します「じゃあ始めてください」教室から”しゃっ“という紙の擦れる音が無数に聞こえてきます。
4日後
「では書くのをやめてください。後ろから回答用紙回収してきて」やっと全てのテストが終わり、伸びをしていると持井から声をかけられました。「由根どうだったよ」「かなり良い感じ、持井はどうよ」「普通」脳死で出てくるゴミみたいな返答が少し癪に触りましたが今は気分がいいから許します。「明日から暇だしどっかいかない?」「デートってこと?」「バカ、声でかい」「ミスった」やらかしました、教室中がこちらをみています。すごい恥ずかしいです。誤魔化す暇もなく教室のドアが開き来上さんが入ってきます。「みんな席ついて、今日は早く帰りましょう。テストどうでした?月曜日からテスト返却なので問題用紙持ってきてくださいね。ではさようなら」教室から逃げようとしていたのにだるいのに捕まりました「おい澄子〜お前は食えないやつだね〜このかやちゃんにも内緒だったとは」「うざいうざい違うし」「えっ。テートするのに?」「冗談です」「今日二人で帰る?」「普通にかやと帰る」家に着いてから持井からメッセージが送られていることに気づきました(RITU 結局どうする?)(SUMI 行きたい 明日でいい?)(RITU 9時に駅でいい?)(SUMI 了解)
真夏の朝9時前駅で俺は人を待っている、映画を見に行く予定なのだ。僕はこの時期が大嫌いだ、暑さを防ぐために肌の露出か多い服を着るそうすると姑息な生物が血を求めて飛んでくる。しかもそいつらは汗にも反応しているらしい。この八方塞がりな状況を生き抜くことを強いられる。イラつきながら腕を掻いているうちに待ってる人が来た「お待たせ、暑いね」彼女はこの暑さを気にも留めない様子で明るい口調で挨拶してきた。「暑すぎ、早く店入ろう」しばらく歩いてショッピングモールの中に入る「涼しいね、ここ」「いや寒すぎるだろ」「良くない?めっちゃ暑いとこから一気に涼しいとこ入るの好きなんだよね」「ほう」自分にはわからない感性だったがとりあえずうなずておいた。
ショッピングモール内の映画館についてキャラメルポプコーンL一つとジュースL二つを買って早めに映画館の席に着いて待機する。流れてくる広告を見ている間どれだけポップコーンを食べるかは良く考えなければならない、今食べすぎては本編が始まった時に食べる分がなくなってしまう、しかし最悪の場合はそれではない映画に集中してポップコーンが最後まで大量に余った時これはやばい食べ終えるまで座っている訳にもいかないし持って出るには邪魔すぎる、そんなことを頭では考えながら無計画にポップコーンを口へ運ぶ。しばらくすると映画の上映が始まった。選択にミスがないように少し話題の恋愛映画を選んでいた。眠りこそしなかったが最後までポップコーンを食べる手は止まらなかった。
映画の上映が終わりエンディングが終わって映画館が明るくなる「おもしろかったね」「うん、おもしろかった」映画館を出ながら感想を言い合う。いや面白かったと言い合った。「どっかで昼飯食う?」「行きたい」人が少なくてすぐ入れそうなハンバーガー屋さんに入って、さっと食べてさっといでる。「適当にふらつくか」「そうしよう」店の中を適当に歩き回っていると由根がゲームセンターのUFOキャッチャーの方を見ていた、その先にはハムスターのぬいぐるみがあった「あれ由根の好きな丸ネズミじゃね?」ほんの少し強い口調で「スパイでハムスターのハムスパイだよ。映画やってるからね」「欲しい?」「取ってくれんの?」悪戯っぽく笑いながらこっちを見てきた「まかせろ、どっちが欲しいの?」目の前には生意気な顔をしたやつと少しえっちな格好した2種類の丸ネズミが鎮座している「あー、一匹しか取れないか」由根は見ているだけのくせに生意気にも煽ってくる「舐めんな二匹とも取ってやるよ」三百円で生意気な顔した方を取る、それを取り出し口から出さないままえっちな方も追加の五百円くらいで取れた「おっ、すごーいありがとう」二匹を取り出して由根に渡す「こっちあげる」そういってえっちな方を俺に手渡してきた「いらないの?」何か間違えたのではないかと少し心配になって聞いた「今日の思い出だからね、一緒に持ってたいじゃん」彼女は少し照れているような表情で笑っていた。「てか、なんなのこのハムスターの格好」「それは映画限定で出てくる母ハムスターだよ」少しの沈黙の後「今から映画見る?」と俺「見る」返事はすぐに帰ってきた。急いで映画館に戻りチケットを買って時間がなかったのでポプコーンと飲み物は買わず小走りで駆け込んで席に着く。もう席に着く頃にはオープニングは始まっていた。
映画はゆるい雰囲気がありながらもかなり家族愛を深く感じられる泣ける映画だった。周りを見ずとも鼻を啜る音があらゆる方向から聞こえた。隣を見ると目の周りが赤く熟れていた。今は話しかけるのはやめとこうと思っていると「面白かったね」少し震えた声で楽しそうに言ってきた「クソ感動した」と返事をする余裕は今の俺にはなさそうだった。
コンティニュ