好きなタイプの人
体育の時間
バトンパスの練習を一通りやる「宇高さん早いね」由根さんに声をかけられた「ありがとう」褒められるのは嬉しいが少し本気を出していないことに申し訳なくなってくる。「一番最初走らない?うちじゃちょっと遅くて」由根さんに頼られる「いいよ」嬉しくて二つ返事で引き受けた「ほんとありがとう」授業の最後一緒に体育の授業しているもう一つのクラスとリレーすることになった。最初にスタートラインに立ちスタートピストルがパンッと大きな破裂音を響かせた。あたしは一緒に走っている人の少し後ろをキープしている、ここで勝ったらかっこいいよね?と少し欲をかくいて少しペースを上げてリードを作った状態で由根さんにバトンを回す。その後みんなが待機する場所にしたり顔で帰る。「宇田さんは何の部活やってるの?」近くにいた男の子に声をかけられる「いえなにも、帰宅部です」男の子はそこ返答に仰天した様子で「え!あの子陸上部でもトップクラスに速い子だよ」まずい、背筋がじんわり冷たくり肋骨の間で何かがギュッじわーって滲んでく、目の前の風景がどこかの絵画のようにぐにゃりと歪む「ケホ、ケホ、ゴッホ」返事を誤魔化さなくちゃ「宇高さんは学校外で何かやってるって言ってたよね?」そんなこと言った記憶はないが今はとりあえず丈夫な助け舟に縋り付く「由根さんナイスランです。幼少期からサッカーをやっています」走り終わってすぐの由根さんにオドオドと返事をする「へーそうなんだ」男の子は納得してくれた様子でよかった。安心してレースの方に目をやると太田君の順番が回ってきていた。序盤位作ったリードもあり結構勝っているようだ。リードを少し広げて帰ってきた、帰ってきてから少しコチラを見たように思えたが持井君の方に話しかけに行った。あたし以外に友達がいることに少し驚いた。由根さんの方に目をやると由根さんも太田君の方を見ていた。前見た時より優しい顔をしていた。
帰りのホームルーム
来上先生が話している「ついに来週の土曜日は体育祭本番ですね。もう少し練習頑張りましょう。」ホームルームが終わると何人かの女子が先生に話しかけにいく「私たち圧勝だったんですよ」「ほんと?本番が楽しみですね」かなり仲が良さそうだ。この人に相談したらもっと上手く人と関われるのかな?
月曜日
今日も何事もなく終わった。由根さんがコチラを見ている気がした。
火曜日
「宇高ちゃん一緒にお昼ご飯食べない?」由根さんがご飯に誘ってくれた「はい、もちろん」嬉しかった。会話の最中由根さんはが「太田君と仲良いの?」と聞いてきた。「結構仲良いよ」即答できる自分に少し驚いた。「ふーん…そうなんだ」何かを話心配しているような警戒しているような雰囲気だった。
水曜日
今日も一緒にご飯を食べる。今日は由根さんの友達の方々もいるようだ。そこで話を聞く限り持井君はとても彼女たちから人気があるようだ。羨ましいな。
木曜日
今日は由根さんの様子がおかしい。人のいない体育館裏まであたしを誘い、いつもの由根さんからは想像できないくらい口が少なく緊張しているように見える。由根さんが真剣な表情で聞く「宇高ちゃんって人間?」っえ?「どういうことかな?」由根さんは質問し続ける「いきなりごめんね。多分最近話題の怪物だよね?」彼女を騙したくはなかった「うん、、、ちょっとごめん」返事をすると由根さんの顔も見ず涙を堪えながらその場をさった。教室へ戻る中、廊下をすれ違う人、壁についている虫、自分の席の机すらもあたしを警戒して距離を置いているように見える。今日はもう帰ろう。
金曜日
今日はあたしの噂が広まっていないかを確認するためだけに学校に来た。朝早いこの誰もいないこの時間だけ教室はあたしの縄張り。トツトツと足音がする、あぁ今からここはただの学舎に戻る、ドアが開く「あら、宇高さんおはようございます。早いですね」来上先生だった「おはようございます」「なんでこんなに早く学校に?」なぜだろう?「少し困りごとがあって」答えに困り適当に濁す「話聞きましょうか?力になれますよ」先生ならきっとこんなチンケな問題簡単に解決できそうだね「いや問題ないですよ」信用はできない「そうですか…わかりました。」無理矢理は聞かないでいてくれる優しい人だな「一つだけ、高校までならあなたが好む人に悪人はきっといません。人は信用して大丈夫ですよ」
1時間後
教室は人で増え騒がしくなっている、周りがあたしを見ているかもしれないし、避けているかもしれない、でも今はもっと大切なことのために顔を下げずにドアだけに注意を向ける。ドアが開きクラスメイトが入ってくるまたドアが開き別の生徒が入ってくる、その次ドアが開くとそこに由根さんが立っている。由根さんが席につき荷物を置いたと同時に手を掴み強めに引っ張って体育館の裏までつれていく。何も言わず抵抗もせずについてきてくれた。今から話す、口をひらく、息を吸って、声を出す「あたしは怪物です。容認して仲良くしてほしいです」真剣に頭を下げる「うちは人間です。容認して仲良くしてほしいです」ここに悪人はあたしだけ
昼休み
今日も楽しく由根さんとご飯を食べています「そういえば宇高ちゃんは太田くんと仲良いんだよね?」ちょっと間を空けてから「結構ね、なんで?」返事をする「あの人…」由根さんが何か言おうとしたところで「うちらもいれてー」という声が聞こえる「お、いいよ〜。宇高さんもいいよね?」「もちろん」由根さんの友達が来た、「明日体育祭本番だね〜」そうついに明日あたしの体育祭が終わる。
次の日
「宣誓〜〜〜〜〜〜〜」体育祭の開会式が終わり最初の準備運動が終わり本格的に競技が始まる。あたしが出るのは大縄とクラス対抗リレーだけ。最初に大縄が行われた、結果は別にそんなにいうこともなく順位で言えば2位だった。そんなことより午前中の最後の競技騎馬戦が始まる。見ていて白熱できる一騎打ち、互いが命であるチームの頭を守りながらどう打ち取ろうかとしのぎを削りあっている。「持井くんばんばれ〜」モテてる彼には客席からは黄色い声援が送られる。よく見たらその騎馬の先頭は太田くんがやっている、あたしも応援しよう「太田くんがんばれ〜」恥ずかしかったから少し小さな声で言う。太田くんがすごい速さでこっちを向いてきた。聞こえたことに少し驚きつつ笑顔を返す。よそ見しないでほしかったかな。
昼休み由根さんとお弁当を食べながら
「騎馬戦見てて面白いよね…ボコボコに負けてたけど」由根さんはなかなか厳しい評価をしている「持井くん大人気だったね」本当にみんなに応援されていた「あの人イケメンだからね」少し低いトーンで返事をした。「この後リレーだね。そろそろ戻ろっか」もうすでに何人かリレーの配列に並んでいるあたしも最前列に立つ。しばらく待ってついにバトンを渡され位置に着くあたし達のクラスの体育の教科担任がスターターピストルを大空に向けて今「パンッ」立ち位置的に二番目にいる「宇高さん頑張れー」「いけー」名前があるもの以外自分に向けられたものかは分からないけれどそれでも気分が良い、少し先には由根さんも見えている。前にはあの陸上部の子また抜かしたら怪しいかな?「宇高ちゃんもう少し。頑張れ!」由根さんが叫ぶ。よしっ
最後の一人が拍手に包まれながら走り終えたこれで体育祭も終わり写真を撮る。「打ち上げは禁止ですよ」このテンプレートだけでイベントが終わった気さえしてくる。とは言っても少し前に生徒たちの中で打ち上げの参加と場所を決める投票があったから誰も聞く気もないし別に先生たちも気にしてないと思う。
打ち上げにて
「宇高さん最後のほうすごい早かったね。まさか陸部と同時にバトン渡せるなんて」ちょっとクラスの人気者になった。「あれ?由根さん差つけられました?w」「運動音痴は喋んな」由根さんと持井くん話は面白い「なはははは」ほら、クラスのみんなを笑顔にできる、二人はこのクラスの中心から逸れることはなさそう。由根さんとはこれからも仲良くできるかな?じっと由根さんの方を見ていたら目が合った。彼女は近づいてきて「月曜日一緒にどっか遊びに行こ」と二人きりの遊びに誘われる
コンティニュ