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本性  作者: hagisiri
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覚えてる

家に帰り翔太くんをベッドに寝かせ、あたしも少し休む。

体を横に倒し昨日のことをゆっくり時間をかけて考える。なぜこんなことになってしまったのか。少し前までは普通に仲良く遊んでいたはずだった。

やはり怪物と人間は仲良くできないのだろうか?今回の件だってそうだ、持井くんが怪物ですみちゃんが人間だったからこんなことが起こった。

翔太くんともあまり深い関係になる前に早く離れた方がいいのだろうか? こんなに色々して、これからもいろんな経験が当たり前にあると思ってた。

カニちゃんはすみちゃんへの愛で壊れちゃった。愛なんて求めない方がいいのかもね。

「…うぅ」と言い翔太くんが起きる。

「おはよう。大丈夫?」あたしが体を起こし翔太くんの顔を覗き込む。

「昨日山行ったよね?」状態を起こして目をこすりながら翔太くんが言う

「…覚えてる?」思い出してしまったら精神的に参ってしまうと思い慎重に話す。

「ぼんやりと」ハッキリとは覚えていないようで少し安心する。

「かにちゃんがあたしと持井くんと翔太くんを殺そうとしてて怪物殺す用の組織みたいなやつに接触してる」あたしは警戒するべき情報だけ状況を少しずつ出す。

「やっぱり立が由根さん殺したから?」翔太くんは寂しそうに俯きスマホをいじる。

「そうだね…」あたしが答えると翔太くんがスマホのいきなり画面を見せてくるそこには(山奥で不自然な人外の遺体発見される。周囲には無数の銃弾?)と書いてあるネットニュース画面が見える。

「あぁ。そうだよね。持井くんがあたし達の逃げる時間くれたんだ」と持井くんの死に嘆かないようにと翔太くんを慰める

「かにさん殺そう」翔太くんは呟く

「なんで?話し合えばわかってくれるよ」あたしは最悪の事態になることを予期して、復習合戦を止めようと試みる。

「無理だろ。銃乱射したんだから?」翔太くんは声を荒げる。

「落ち着いている時に話せばいいじゃん。一緒に遊びとかも行ったじゃん」翔太くんが怒ることが予想できていたあたしは怯まずに答える

「その時は仲良かったからね。もうそんな仲じゃない」翔太くんは膝下で拳を握りしめた。

「持井くんが殺されて怒ってるの?殺されるのが怖いの?」あたしはせめて会話はしようと返答のしやすい質問をする。

「俺は簡単に逃げ切れるよ、かにさんから逃げるだけだ、でもエナちゃんは組織全体を相手にするんでしょ?俺がかにさん殺して組織のことを明るみに出す」翔太くんは覚悟を決めたように言う。

「やめてよ。みんなとの思い出をこれ以上悪い形にしないでよ。このまま死んで友情が崩れないままにしたいの。すみちゃんはずるいよね」自分のせいで翔太くんが死のうとしていると知り、少し感情的になり強い口調で言ってしまう。

「そっか、、俺もうちょっと寝るわ」と翔太くんはまた布団の中に戻る。あたしも罪悪感に蓋をするように目を瞑る。


 意識が戻り目をひらく。昨日のことを思い出し翔太くんと落ち着いて話そうと布団の方を見る、しかしそこに翔太くんはいない。

体を起こしフラフラとキッチンに向かい当たり前のように冷蔵庫を開け、牛乳と棚にあるシリアルを取り、適当な皿に入れて流し込むように口に放り込む。髪の毛を適当に櫛でといて、ある程度動きやすい服装で家を出でて、かぎをしめる。


 翔太くんを探そうと最初に学校へ行ってみる。中まで入ってしっかり探そうとしたけれど、校庭で生徒たちが体育の野球をやってるのを見て、もう休みは明けて学校が始まっていることを思い出す。

 こんな人混みの中に翔太くんもカニさんもいるはずが無いと思い学校を後にする。無断で欠席している事を来上先生に申し訳なく思いつつ、次は持井くんが殺された山に向かってみる。


 山に着く。まだ何か罠のようなものがあるかもしれないと思い警戒しながら奥に進んでいく。

 持井くんが死んだ場所に着いても特に何もない。怪物の死体と銃弾が見つかった場所で死体と銃弾だけ回収してすぐ撤収なんて事があるのだろうか?と疑問に思いながら少し周りを確認していると、あの時翔太くんが落とした封筒が落ちているのを見つける。

拾い上げてみると糊付けされた部分が破かれ、中身は無くなっている。裏を見てみると『かやへ すみこ』と書いてある。

 何が書いてあったのかは分からないけれど、これを読んだかにさんが少しでも落ち着いてくれていることを願いながら山を降りる。他に探す場所が思いつかずとりあえず、あの廃墟に向かってみる。いつもここは何かが起こる。

翔太くんに怪物になったのを見られた時だって、男の人に襲撃された時だっていつも悪いことばかり起きる、でもそのたびに翔太くんとの仲は良くなった。今回も多分そういいことなんて起こらない。でもまた翔太くんを知れるきっかけになる。そうに違いない。


 廃墟は相変わらず不気味で薄汚く焦げている。おそらく中にかにさんも翔太くんもいると思う。ここはそんな場所だから。

 罠を警戒して窓から入ろうともしたけれど、なんか逃げているような気がして正面から入ることにする。元々ホテルだったこの場所、すでに割れているガラス張りの扉の枠組みをあけて中に入る。上の階で話してる声が聞こえる、複数人いるのがわかる。組織でこの廃墟に来たのだと分かり急いで声のする方へ向かっていく。

 声のする部屋に到着して中を見ると翔太くんが二人の大人に地面に押さえつけられ、それにかにさんが銃を向けているのが見える。

はやる気持ちを抑え、隠れて話を聞く「あんたなにしにきたの?その人たちとの話し合いであんたは殺さないって話になってたのに」かにさんは「勿体無いね」と言うように冷徹に話す

「少し話がしたいんだ」翔太くんは地面からかにさんを見上げる

「じゃあなんで包丁なんか持ってきてるの?」とかにさんが翔太くんのカバンの中からタオルで巻かれた包丁を出す「…一応護身用にと思って」翔太くんの声は尻窄まりに小さくなる

「信用できないだろ。普通に殺すけど。あんたは天国に行けるよ」かにさんがまた銃を翔太くんの方に向ける

「待ってよ。何か問題があるから俺を殺さないことになったんでしょ」と翔太くんが抑えている大人の人に訴える

「いや別にそんな決定はなかったよ。普通にあんたらの事は俺らにはあんま関係ないし、、強いて言うなら殺人事件になるから嫌だったんだけど、、かにちゃん殺されると困るからね」翔太くんを抑えてる大人の一人が答える

「かにさん由根さんの手紙読んだ?」打開策を探すように翔太くんが今度はかにさんに訴える

「あ?読んだよ」かにさん

「じゃあもう切り替えようよ」翔太くん

「お前やばいな。このタイミングでそんなこと言うんだ」かにさんがイラついたように返す

「ごめん言葉選ぶ余裕なくて。でも由根さんの願いは?」翔太くんが慌てて返す

「あいつは自分は命懸けで恋をするからそれでいいって言ってんだろ。だから自分が死んでも後は仲良くやってねって言うんだ。あいつは自分が愛されることの責任を考えてない。いろんな奴に優しくして、気を遣って誰からも好かれてた。文化祭の時あいつが暴れて嫌われた時も謝ってすぐに解決してたよ。みんなにとってあいつはいなきゃいけない存在だから。他の人なら確実にイジメられてたね。それからもあいつはみんなの大切なものになってる自覚が全くないんだ。自分が消えることでみんなの心の拠り所がひとつ減ることを考えなかった。周りを見すぎて自分を全く見なかったらそいつは結局自己中だよ。お前も宇高もウザいけど持井も澄子と仲良かったんだから死んでくれよ、、澄子が天国で一人なんて可哀想でしょ」怒りで勢いのある声からだんだん哀願するような弱々しい声になっていく

「でもいちばんの親友はかにさんだったんじゃない?」と翔太くんが慎重に聞く

「…そっか」とかにさんは泣きながら、微笑みながら自分の頭に銃をつける。それを見た大人たちはガスマスクをつけ何かガスのようなものを噴射する。

「うわぁ」急いで飛び出し一人の大人からガスマスクを奪い、もう一人からは銃を奪う。翔太くんにガスマスクを着けつつ担いですぐに逃げる。パンッパンッと後ろから銃声がするが弾は掠りもせず壁に当たる、その後ドッザッと人が二人倒れる音がした。

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