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プロローグ
アグノード、という国がある。
海の上にぽつりと浮かぶ島国であり、不思議な噂の絶えない場所だ。その内、最も有名なのがドラゴン伝説であるが、今は信じるものは少ない。
そこの北部のはずれに、孤児院で生活する少女がいた。
髪は黒く艶があり、目尻の上がった瞳も黒い、見目麗しい普通の少女であった。変わったことといえば、顔の右半分が髪で覆われていることであったが、誰も気に留める者はいなかった。火傷、痣、傷、理由はいくらでも思いつく。触れぬのが優しさというものだろう。
これはそんな彼女の物語である。
以前、別サイトでも途中まで公開しておりました。
こちらのサイトで完結目指して頑張ろうと思います。
よろしくお願いいたします。