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序
――何があっても、どんなものからも、必ず君を守るよ。
ありふれたラブソングの一節のようなその言葉を、まさか心の底から思う日が来るだなんて思わなかった。
轟く雷鳴の光を浴びて、劈く人々の悲鳴を聞いて。それでも、と逃げ惑う人々がゆく方向とは、逆の方にひた走る。
息なんてとっくに上がっていたし、体力なんてこれ以上無いほどに限界だ。身体のあちこちも傷だらけで、こうして足が動いてくれているのが不思議なほど。
額から流れる血を拭い、一番に目に入る大きな城を見上げた。
それでも、それでも。
何があっても、どんなものからも。