突然、目に入ってきたのは眩しい程の照明の光と寒々しい天井だった。
突然、目に入ってきたのは眩しい程の照明の光と寒々しい天井だった。
起き上がろうとしたが力が出ない。ズキズキと痛む頭を抑えながら、思い出す。
一体ここは…あぁ…核の炎から人類を守るshelterだ。
確か世界規模の核戦争が起こって人類がほとんど滅びたんだっけな。
(まだ記憶が安定しないな、とりあえず周囲の探索から始めよう…うん?)
どうやら照明だと思っていた物は太陽光だったらしい。あの強固な天井が破損している。だいぶ眠っていたようだ。
穴が空いてる箇所から、ツタが見えて鳥のさえずりが聞こえる。生態系も回復しているようだ。
(ん…力が少しずつ戻ってきたな…起き上がって周りを確認してみるか)
shelter内部には、よく手入れされていたであろう椅子が二つとデスクが一つ。そしてデスクの上には、やたら紙が散らかっている。内容は…コンピュータープログラムやソーラーパネル、そしてshelterの設計など多岐にわたっている。
膨大な量の研究内容だと思ったと同時に筆跡が同じなことに気づく。
ざっと見ながら、散乱した書類をまとめてデスクに置く。とても大切なものに思えたからだ。そして、引き出しがあることに気づき、開けるとそこには、アヤメの種とおぼしき物とスコップが入っていた。それを手に、光が漏れてる扉へ向かう。
重く、軋んでいる扉を開け、そこで目にしたのは、露出した地面に横たわって眠っている一人の亡き骸だった。
それを見た瞬間、思い出した。
自分を造り、本当の子供のように愛情を注ぎ、最期まで戦争に反対した偉大なる師。泣きながら「ごめんね、ごめんね」と、ヒューマノイドをスリープさせたあの人の姿を。
数々の記憶が、あの人と過ごした大事な大事な記憶がフラッシュバックし、目から冷却用水が流れる。
ヒューマノイドは師の遺体に駆け寄った。安らかな顔だった。ヒューマノイドは一日をかけて埋葬し、種を植えた。
ずっとここに居たかった。しかし、師はそんなことを望んでいないだろう。あの人は託したんだ。人類を、そして未来を。
行かなくてはならない。あの人が命を賭して守った数少ない可能性を辿るために、
もう、二度と核戦争が…いや、人々が笑顔を絶やさないように。
ヒューマノイドは未来へ人類を護るために歩き出した。
短編で書いたつもりですがプロローグみたいになりました。
感想で連載の要望が多いなら連載するかも
もちろん、改善点や良かったところもください