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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

蔵品大樹のショートショートもあるオムニバス

アルバイト

作者: 蔵品大樹

奇妙な世界へ…

 俺は宮本治。現在フリーターで底辺の生活をしている。

 ある日のこと、俺宛てに手紙が来た。送り主はどうやら有名な会社だった。手紙の内容は、どうやらアルバイトの募集のようだ。今俺が働いているコンビニは給料が少ないため、募集した。

 それから1週間後、また手紙が来た。送り主は、以前来たときと同じだった。内容はアルバイトに参加できるという事。日にちや場所、時間は決まっており、今から一ヶ月後、杉川区の東海岸、23時半だ。俺は、このアルバイトを頑張ろうと思った。

 そして当日の日、俺は東海岸へと向かった。向かった先には、アルバイトの参加者だろうか、色んな人が集まっていた。それから数分後、白い背広姿の中年男性と黒服が現れた。男は現れるや否や話しだした。

 「やぁ、皆さんどうも。このアルバイトの主催した会社、エデンホールディングスの取締役の高橋淳史と申します。今から貴方達には『アルバイト』をしてもらいます」

 すると高橋の目の前にいた屈強そうな角刈りのタンクトップの男が話しだした。

 「ほほぅ、俺は力仕事が出来るぜ!」

 「フフ、どうやらうちの会社に必要だ!採用!」

 すると、高橋の近くにいた黒服が男を連れ去った。

 「えっと…西岡光也、『採用』…おっ、そうだ、言動次第で採用、または不採用になりますよ……それでは、私たちについていってください」

 俺達は、高橋についていくと、何台かの車があった。

 「それでは、これに乗ってください」

 俺達は、車に乗った。運転手や黒服は何故かガスマスクをしていた。隣はスーツ姿の中年男性だった。

 「や、やぁ」

 「ど、どうも」

 「ぼ、僕は小林英雄。よろしく…君は?」

 「あ、俺は宮本と言います…」

 「み、宮本君ね、よろしく」

 俺達がそう喋っていると、前の椅子から煙が出てきた。

 「お、おいなんだこれ、小林さんだいじょ…」

 気づくと小林さんは寝ており、その隣の男も寝ていた。

 「お、おい、大丈夫かみん…」

 俺もそのうち寝てしまった…………………


「……て…………………て…………………起きて」

 俺は小林さんの声で目が覚めた。

 「う、ウ~ン…ってここどこ!」

 俺達は何故か豪邸のドア前にいた。するとドアが開けられ先程の男、高橋と黒服が立っていた。

 「では皆さん、こちらに…」

 すると坊主でチェック柄のセーターを着た男が高橋を殴った。

 「テメエ、俺達を眠らせといて、なんで悠々としてやがるんだ」

 男がもう一発高橋に殴ろうとすると高橋は男のパンチを手で受け止め、片方の手で男に腹パンをした。

 「ぐはっ…!」

 「全く、私を舐めてもらうと困る…お前ら、この『獣』を連れていけ」

 すると、黒服は男に羽交い締めをし、腕に注射を刺した。

 「オ、オイ!何を…す…る…ん………」

 男は倒れ、黒服達の手によって豪邸の隣の倉庫に連れられた。

 「全く、浜田良太は『不採用』と…」

 俺は高橋がつぶやいている事に気付き、高橋の言った事を思い出した。

 『言動次第で採用、または不採用になりますよ』

 俺はつばを飲んだ。

 「それでは、私について行ってください」

 中に入るときれいで広く、美しかった。

 「皆さん横に一直線に並び、どちらでもいいので、手首を差し出してください」

 俺達はそう言われると手首に腕時計らしきものをつけられた。

 「お、おいこれはなんだよ?」

 参加者の一人が高橋に質問をした。

 「フフフ、これは我が社の商品の『何でも腕時計』というもので、時計の機能は勿論、心拍数や万歩計等の機能が備わっていますが、今回は、このアルバイトの為だけに少し改良しました。では皆さん、画面をタップして下さい」

 俺達は言われた通り、画面をタップした。すると、『残り時間』の文字と、その下には、『10:00:00』と出ていた。

 「貴方達には『鬼ごっこ』をして貰います。ルールを説明すると、ただ10時間鬼から逃げ切るだけです。しかし、鬼に捕まってしまうと……殺されます」

 俺達は、最後の言葉に驚いた。そう、鬼に捕まったら殺される、俺達は、怖がっていた。

 「大丈夫です、10時間逃げきれば、それに見合った報酬を渡します」

 するとモヒカンのチャラそうな男が叫んだ。

 「あぁ?捕まったら殺されるゥ?チクショー!!俺はこの遊びから降りるぜ」

 男がドアノブに触った瞬間、苦しみ始めた。

 「グギァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ」

 そして男は倒れた。

 「あぁ、言い忘れてました。そのドアノブには電気が流れております。一応、鍵は開いており、私や鬼が開けることが出来ますが、貴方達が触ると、このように一定時間失神します」

 俺はこの事を淡々と話す高橋に驚いた。

 「それでは、開始しますので今のうちに逃げてください。一分後に鬼が出てきますよ」

 高橋がスマホの画面を押すと、腕時計の残り時間が動き出した。皆は慌て、小林さんも慌てていた。皆は一斉に逃げ出した。しかし、小林さんは足が震えていた。(クソッ、仕方無い…)俺は小林さんをおんぶし、適当な部屋に入った。

 「ごごご、ごめんね」

 「いや、いいんだ」

 そして一分が経ち、俺はドアの隙間から覗いた。するとドアからは鬼が出てきた。しかし、その鬼は先程、黒服に連れられたタンクトップの男だった。しかし、そいつの様子がおかしく、身体がプルプル動き口からは泡を吐き、目は血走り、手には、釘バットを持っていた。するとそいつは先程ドアノブを触った男を見つけた。男は目が覚めた。

 「う、ウ~ン…なんだおま」

 鬼は男の身体を釘バットで叩いた。

 「グ、ギャャャャャャャャャャャャャャャャャャャャャアアア」

 男は叫んだかと思うと、そのまま死んでしまった。

 「フムフム、桑木健、不採用」

 高橋はわざとなのか、皆に聞こえるように言った。鬼は廊下を走り、高橋も鬼についていった。

 「ひ、ヒィ…」

 小林さんは、音を上げ怖がっていた。俺も少々怖がっていた。

 俺は、ある事を思いつき、別の部屋へと行った。

 「な、何を…」

 「こうやって鬼に見つからない程度に部屋に移るんだよ」

 「ああ、その手があったか…」

 しかし、別の部屋に行ってる間、沢山の断末魔が聞こえた。(クソッ…でも俺は、このアルバイトを最後のまでやってみせる!)

 そして残り時間が30分になったころ、腕時計から声がした。

 「ゲンザイノセイゾンシャ、10ニン。ソシテ今、ドアがジユウニアケラレマス。タダチニデテクダサイ」

 俺と小林さんはウトウトしていたがこの声で目が覚めた。すると、小林さんが何か変な事を言い出した。

 「ね、ねぇ、僕たち自首しようよ…」

 「は、は?なんで今更?」

 「だ、だって僕たちは色んな部屋を転々と駆け込んでいるだけだ…だ、だからさ…」

 小林さんが全てを言い切る前に俺はビンタをした。

 「ちょっ、痛い!何すんの」

 「俺達は、アルバイトを最後までやる為にここまで生き残っている!だから今更諦められねえよ!!」

 「そ、そうだ!僕たちは勝つためにここにいる!頑張ろう!!」

 なんとか小林さんに有志をつけたところで、残り時間は少なくなっていた。

 「小林さん、急げ!」

 「う、うん!」

 俺達は全速力でドアへと言った。そして、何とか、外へ出れた。 

 外は雨が降っていて、他の生存者が俺達を含め、5人いた。恐らく他の5人は死んでしまったのだろう。すると、ドアから、高橋が出てきた。

 「おめでとう、君達は正社員になれる資格がある!」

 皆は驚き喜んでいた。俺もだったが、何故か小林さんだけは戸惑っていた。

 「だ、大丈夫かな?もしかしたら僕たち、奴隷として扱われるかも…」

 「いいえ、大丈夫です。貴方達には増大な報酬ををあげよう」

 そう言うと、小林さんも安堵していた。

 「ではこちらにお乗りください」

 するとプライベートジェット機が、目の前に降り立った。俺達はジェット機に乗り、高橋にこう言われた。

 「では少々お待ちください」

 そう言うと、高橋はジェット機から降りた。するとジェット機は急に浮き始めた。参加者の一人が運転席に行き、俺達も行くと、何故か運転手はいなかった。するとジェット機のアナウンスから声がした。高橋だ。

 「皆さーんどうですか?これが最終試験です。最後に生き残った方が、正社員として我が会社に受け入れます」

 俺達をは何も言えず、誰もいない運転席を見た。すると、

 「どいてください!私が運転しますので、こう見えて数年前までは飛行機を運転していました!」

 そして、小林さんが運転席に座り、運転をし始めた。そしてジェット機は徐々に安定し始めた。すると、またアナウンスから声がした。

 「あ、そうだ、今何メートルにいるかどうか知らんけど、残りの燃料は無いよ」

 俺達は、慌て始めた、そしてジェット機は…………………墜落した。全員爆発や圧迫、ニ酸化炭素中毒で苦しみ死んでいった。俺や小林さんも例外では無い。俺もそのうち死んだ。

 その頃、高橋は、エデンホールディングスへ戻り、モニタールームへ向かった。そこには、俺達の死体が映るモニターが写っており、それを裕福層が見ていた。そして、高橋はモニターを消した。

 「どうでしたか、今回の『地獄バイト』は?」

 「いやはや、良かったよ。素晴らしい!君の会社に投資するよ!」

 「そのお言葉を頂いてよかったです。これで社長もさぞかし喜ぶでしょう」

 「んで、次はなんの映画を?」

 「フフフ、次は『死ぬ職業体験』です。お楽しみに」


 とあるアパートにて、森北渉という男が、ポストに入っていた手紙を取り、読んだ。

 「職業体験、してみますか?」


 

読んで頂きありがとうございました…

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