1話 呪ですか?解呪しますね?
森は不気味なほど静かだ。いつもなら小鳥と囀る声も今は聞こえない。パロド村の自警団団長レナードにはブラックドックが森で出没したと報告が入り偵察に来ていた。
偵察には今年成人する息子のレインと村の娘ギーネも来ている。2人は今年から学園に入学する為最後に2人の実力を確認がてら依頼を受けている。
「【サーチ】」
レインは風魔法の応用で周囲の風の淀みで魔物の群がいるか確認する。
「父さん、向こうの方に集団がいる」
「よしわかった。今回は2人でやってみてくれ。危なかったら援護するがこれは卒業試験だと思ってやれよ」
「「はい!」」
レインとギーネはそれぞれ魔法を行使する。
レインの風魔法で匂いを消し、ギーネの光魔法で光学迷彩のようにする。この魔法はレインが考えギーネが実践に使えるようにまで昇華させたものだ。
「お前ら本当すごいな」
レインは前世の記憶から使える魔法を教えただけだがここまで昇華できるのはギーネだからであろう。
ギーネは常に女の子でいるため体内魔素、自然魔素の操作に教えてもらったイアナより長けている。
音を立てず木に隠れ気配を消しながら魔物の群へ向かっていく。魔物達は何かを囲むようにし咀嚼している。
こちらには気づいてないようだから2人は共に合図をし魔法を行使する
「【ウインドカッター】」
「【ウォーターバインド】」
ギーネの水魔法でブラックドックを拘束しレインの風魔法で敵を攻撃する。前に出ていた5匹のブラックドックは首を落とし残り5匹となった。
レインは剣を抜き【魔力武装】を見に纏う。
ギーネは矢の無い弓を引き狙いを定める。【ホーリーアロー】でブラックドック達を牽制しレインが技を出しやすいポイントへと誘導する。
「【一閃】」
5匹のブラックドックが並んでいたとこにレインの一太刀が浴びせられた同時に生き絶えた。
ブラックドック達が集まっていたとこには血で染まり紫色の髪をした少女だというところまでしかわからなかった。3人は穴を掘りその少女を埋葬する。
「父さん、さっき【サーチ】をかけたとこにも何かあったんだ。行ってみてもいい?」
「ああ、いいぞ」
3人が向かった先にはこちらも血の海にいる少女がいた。レインは生きてるか確認するため遠くから【鑑定】をしてみた
【名前】システィア・・・レベル10
【種族】不明
【職業】奴隷
攻撃力 96 防御力 80 体力 95
魔力 370 魔力耐性 355 瞬発力 70 幸運 24
【スキル】
短剣術1 料理2 裁縫2
【ギフト】
生命の泉 嫉妬の罪【呪】
【称号】
生命の巫女 呪われし子
「父さんあの子呪われてる!」
「なに!?」
「触れたらだめだ、ギーネ回復だけかけれるか?」
「うん!まかせて【ヒール】」
ギーネの【ヒール】により少女の傷は塞がっていった。傷は治ったが一刻も早く安全な場所で休ませなきゃならない。レインはLPを確認し解呪スキルが作れるか考える。
(今のLPが6800解呪を覚えるには8000必要になる。何か方法はないか。)
レインが模索してる中レナードは荷車を持ってくるため一度町に戻っていった。
「レイくんどうする?」
「ギーネ頼みがあるんだ」
「なに?」
「今から俺のギフトを使ってギーネに解呪スキルを覚えてもらう」
「そんなことできるの?」
「ああ、移すのにキスじゃなきゃいけないんだけどダメか?」
「うぅ…。いいよ」
(癒し属性を持つギーネならLPも少なく済む、それでも6500か。また貯めなきゃな)
(どうしよ。これレイくんの魔力が沢山流れてくる。循環と違うから全部私に…)
「はぁはぁ。」
ギーネは流れ込んできた魔力で頬を染め潤んだ瞳でレインを見つめる。
「ギーネごめん、辛かったか?」
「ううん…。気持ちよかった、よ?」
「そうか、無事ならよかった。【鑑定】確認したけど【解呪】使えるようになってると思う。」
「うん!できそう!後は任せて」
「【解呪】」
少女を暖かな光で包み出すと黒い毒素のような物が抜けていく。黒い物は消えることは無く南の方へと飛んで行った。
「よし、解けたみたいだ村へ戻ろう」
「うん!」
レインは少女を担ぎ村へと歩きだす。その後中間地点で会ったレナードは解呪されたことを知らず担いでるのを見たため一悶着となった。