4話 冒険者ギルドで絡まれるって本当?
ちゅん ちゅん
小鳥の囀り声が部屋に響き渡る。その部屋に昨日2人で事をなしたであろう男女の姿がベッドにあり、相手を慈しむ様にお互いに向かい合って抱いて寝ている。
(ん。あぁ、これが伝説の朝ちゅんか)
レインは前世でよくやったゲームの事を思い出しながら今の自分の現状と結びつけ余韻に浸っている。
「レイくんおはよ」
少女ギーネはまだ眠く少し怠そうな声でレインに挨拶を交わす。
「ギーネおはよう」
2人はおはようからキスをし少しいちゃついてから支度をする。ベッドから起き上がるとレインの【バブルウォッシュ】で汗を洗い流し、服を着て1階のリビングの方へと向かう。
リビングではトントンとリズミカルな音と同時にスープや焼いたパンの匂いが広がっている。
「「システィおはよう」」
2人は調理を行なっている少女に声をかける。
「お、おはようございます」
システィアは2人に挨拶を返すも声が裏返り、2人の顔が見れず赤面になってしまう。
昨晩システィアはトイレに向かう際階段正面の部屋から声が聞こえたため覗いてしまったのだ。
それにより、見てしまった事などから気まずさがありシスティアは2人の顔が見れなくなってしまった。
「システィ大丈夫か?」
「はっ、はい!大丈夫です」
流石にレインも気づいたが言ったら気まずさが増すため知らん顔で席につく。
ギーネはそのままシスティアの手伝いをし朝食につく。
「レイくん今日はどうするの?」
「明日はクラス決めの試験があるから今日のうちに冒険者登録しにいこう」
「なら今日は3人でお出かけだね」
「え!私は」
「システィも行こ!お出かけ用の服とか買わなきゃ!」
朝食を済ませ出かける準備を各々行う。レインは【イベントリ】があるが周囲にバレないように大きめの鞄を用意し何も入れず肩にかけるだけにした。
重要な物はイベントリに入っており鞄はただの偽造だ。
準備も特にないので先にロビーで寛ぐことにした。数分するとギーネとシスティアが階段から降りてくるのが見えた。
システィアはいつものメイド服からラフな格好になっておりミニスカートはシスティアの健康な脚を綺麗に見せていた。
ギーネは白のワンピースにカーディガンを羽織り髪はレインと同じ色に変わっていた。
「2人とも今から行くのは冒険者ギルドだぞ」
見惚れていた事を隠すようにレインはそれっぽい事を言ってみる。
「大丈夫だよ!レイくん守ってくれるでしょ?」
「こんな格好した事ないので恥ずかしいです。」
レインはレナード並の冒険者が出てこない事を祈って冒険者ギルドに向かっていった。
道中ギーネはレインの右へ行きレインと腕を組む。
システィアはギーネに言いくるめられたのか赤面しながらもレインの左腕に抱きつく。
(ハーレムって嬉し恥ずかしなんだな)
ギルドに着くまでに恥ずかしさに慣れ両手に華を抱きながらギルドの扉を進んでいく。
周りの冒険者は妬ましそうにみる物、下品た目でギーネ、システィアをみる物、冷ややかな目でみる物。
多種多様な反応が見られた。
(意外と何もしてこないんだな)
そう思いギルドの受付へと向かう。立っていたのは受付嬢ではなく海坊主とでも呼びたくなるようなスーツが似合いそうな黒サングラスをした男だった。
「いらっしゃい、何様で」
(冒険者はあんま敬語使わない方が良いんだったか)
「今日は登録をしに来た、3人分」
後ろの方ではそんな格好で何しに来たんだよなどと色々な声が飛び交ってくる。海坊主も少し眉がピクッとしたがそのまま説明に入る。
「冒険者になるにはまずこの紙に名前、職業、得意武器、魔法が使えたら魔法をだいたいで書いてくれ」
「細かくじゃなくていいのか?」
「奥の手はしまっておく物だ」
「なるほどな」
3人はそれぞれの記入欄に書いていく。
今3人のステータスはこうなっている。
【名前】レイン・・・レベル17
【種族】人属 男
【職業】王都学園学生 魔剣士 魔闘士
攻撃力 298(200) 防御力 275(200)体力 320 魔力 260
魔力耐性 274 瞬発力 275 幸運 58
【スキル】
算術5 格闘術6 接客3 料理2 火魔法3 風魔法3 剣術5
バブルウォッシュ イベントリ 剣魔術 ゴーレム精製 テレパシー
【ギフト】
鑑定 魔力武装 創生LP7500
【称号】
転生者 ハーレムを目指す者 ギーネに愛されし人 煉神流男爵級 魔闘家
【名前】ギーネ(ギデオン)・・レベル17
【種族】人属 女99%(男の娘1%)
【職業】王都学園学生 魔法士
攻撃力 198 防御力 224 体力 267 魔力 321
魔力耐性 315 瞬発力 267 幸運 65
【スキル】
料理6 裁縫5 水魔法3 光魔法3 弓術5 短剣術4 解呪 魔法弓3
【ギフト】
変化
【称号】
男の娘 天使 レインを愛する者(極) 正妻 嫁
【名前】システィア・・・レベル12
【種族】不明
【職業】奴隷メイド ヒーラー
攻撃力 115 防御力 102 体力 120
魔力 430 魔力耐性 422 瞬発力 110 幸運 25
【スキル】
短剣術3 料理3 裁縫3 メイド2
【ギフト】
生命の泉
【称号】
生命の巫女 レインの奴隷
3人のステータスで考えるとC級冒険者並に値する。レナードがどれほどの力を持っているかが嫌にわかる。
「今から冒険者の説明をする。ランクはS A B C D E F Gに分かれており最初はGから初めてもらう。クエストはランクの1個上まで受理可能だ。クエストを一定数こなすか活躍によりランクが上がる。活躍は緊急クエストなどで判断される。依頼失敗の際の違約金についてはクエストごとに書いてあるからそれをみる様に。
冒険者同士のいざこざには不干渉だが街中で暴れたり冒険者ではない者に手を出すのは御法度だ。
以上から質問は?」
「わかった。正当防衛はありなんだな」
「俺は干渉するつもりはない」
「では、これがギルドカードだ。この国以外でも身分証になる。良い冒険を」
受付員との話が終わったレインが振り向くと先程2人を下品な目で見ていた男3人組が目の前に立っていた。
「何か用か」
「その女置いていけ」
テンプレである。レインは笑いを堪えるのに必死でプルプルと震えてしまう。まさか、本当にこんなセリフ吐く奴いるわけないじゃんと内心思いながら耐えていた。
「おいおい、こいつ震えてるぞ」
(やめてくれ、笑いが堪えれない)
【テレパシー】
(ギーネ、システィきこえるか?光学迷彩で消えるぞ)
(わかった!でもいいの?また来るかもよ?)
(なら嫌がらせだけして帰ろう)
(システィも行くぞ)
(はい!)
「じゃ、先輩方今日はこの辺で」
「あ?何言ってんだ!!」
「さようなら」
ボンッ
催涙弾を足元に投げ風魔法【ウインドロック】で3人だけに効く様に風で覆う。後は【光学迷彩】により姿を消しギルドを去っていく。どこぞの怪盗のようだ。
「まて…ちょっ…くしっ」
「め、めがー」
「うぅぅぅ」
3人の悲しい男たちの悲鳴を背にレイン、ギーネ、システィアはギルドを去っていくのだった。
「さて、冒険者活動は次の学園の休みの日だな」
「うん!楽しみだね!」
「はい!それまでに役立てるよう鍛錬します!」
テンプレな冒険者登録も終わり明日からはいよいよ学園生活の始まりだ。