2話 序章ですよ?
「お母さん、お母さん。」
ベッドとテーブル必要なものだけが置かれてる簡素な部屋で1人の少女の母親を呼ぶ声が聞こえてくる。
数分経つと桃色の長い髪をした綺麗な少女と青と白が混ざった淡い色をした男性が入ってきた。
「ギーネこの子は奴隷みたいだ」
「そうなの?こんな子が…」
ベッドで眠る少女の胸には奴隷紋があり。一度刻まれたら消すことができないものだ。主人がいない奴隷は拾った者の物になるか近くの奴隷商へと送られる。
国で奴隷は認められているが違法に奴隷へとしている者もおり細かい審査はされてないのが現状である。
「レイくんこの子奴隷商に連れて行かなきゃダメ?」
「んー、学園は貴族がメイドを入れているみたいだからメイドとしてたら連れて行けるけど。一度父さん達に相談しよう」
「そうだね」
2人が会話を続けていると少女が目を覚ます。少女は驚きベッドから跳ね起きたがまだ体力までは戻っておらず崩れ落ちてしまう。
「ご、、ごめんなさい。」
「ああ、大丈夫か?」
「だめっ。私に触れたらダメです」
「大丈夫だよ!レイくんと私で解呪したから!」
「え…え……」
誰にも触れられず呪い子として生きてきた少女には親族以外の初めての温もりに涙を抑える事が出来なかった。人の前では心を閉ざし誰にも触れず生きていこうとしていた少女にとって溢れる想いが止まらなかった。
「ごめんなさい。私誰にも触れれなくて。」
「もう大丈夫だよ。今まで辛かったね。」
「ギーネ、父さんと話してくるから見ててくれ」
「はーい!いってらっしゃい」
レインは廊下に出てリビングへと向かう。リビングにはレナードとイアナ、ソルド、ネルサがいる。レナードは森で起きたことを3人に話しており奴隷の子について話をしていた。
「父さん、あの子だけど俺たちが引き取ったらダメかな?」
「学園に連れていくのか?」
「うん、ギーネと2人で助けた命だし俺たちが責任を取ろうと思って」
「んー、それはいいが寮に入るとすると他の貴族連中が何かしてくるぞ?」
レインとギーネが行く学園はイスティニア王国の王都にある貴族、騎士の子息達や騎士、魔導師を目指す者たちが集まる学園である。
貴族達は学園の場で社交界練習や派閥、後の騎士候補を探すために入ってきている。
貴族の者ではないお世話係がいたとなれば貴族達に目をつけられるのは目に見えている。
「レナード、私たちが前使ってたクランハウスまだ残っているんじゃない?」
「ああ、確かに王都にあったな」
「学園からは離れてるけど通える距離だしあそこならあの子も住めるんじゃないかしら」
「父さん達の家?」
「家みたいなものね、今は埃まみれかもしれないけど鍵もあるし使ってみたら?」
「本当に!母さんありがとう!」
レインは急いでリビングを出てギーネとシスティアが待つ部屋へと移動する。
「ギーネ!一緒に住もう!」
「へっ!?」
「父さん達が使ってたクランハウスなら寮じゃないからその子も連れて行けるんだ!」
「もう、びっくりした。」
「ん?」
ギーネは後ろを向き自分の長い髪をいじりながら口元が緩んでしまった。
「そういえば自己紹介がまだだったな。俺はレイン15歳今年から王都の学園に通うよろしくな」
「私はギーネ。レインと同じで15歳学園に通うよ!よろしくね!」
「わ、私はシスティアです。ご主人様に助けられた御恩忘れずこの身精一杯頑張らせて頂きます。」
「あんま気にしなくてもいいけどな」
「そうだよ!友達になろ!」
レイン、ギーネ、システィアは互いに握手をし夕飯までの間村のことや学園に行くことについて話し合うことになった。
「じゃあ、システィは俺とギーネが学園にいる間は屋敷の家事で大丈夫か?」
「はい!お任せください!」
「あ!ご飯は私も一緒に作りたいから一緒にしようね!」
「ある程度システィに護身術学ばせた方がいいか」
「そしたら3人で冒険者しようよ!」
「私短剣術なら少しできるので短剣と後ギフトの【生命の巫女】で回復と状態異常回復ができます」
システィアのもつ【生命の泉】は回復、状態異常回復に長けているのと所持者には恩恵で自然回復治癒が付いている。
「これならギーネも狙撃に集中できるし良い回復役になるな!」
「ね!よかった!」
「はい!接近戦術の方も頑張ります!」
3日後には村を出て馬車で7日程の王都へと向かう。レインに取っては二度目の学生生活。
レインは今まで村にいたためハーレムなど考えていなかったがここからがレインの異世界物語の始まりになる。
(ギーネとまず相談だな。)