表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
それぞれのマリーゴールド  作者: ゆうま
ルート⑨
5/43

ルート⑨3日目昼

3日目昼会いに行く人物:苺

確か最初に苺に会いに行ったときは、無計画に苺に会いに行っているはず

2日目に会ったときだって不安要素である苺という人物を把握しようと行っただけで、計画的に会ったとは言えない

だが、今回は2日目にホースに会って、4日目に鴬に会うことを決めていた

苺が3日目になったのは消去法だ


「こんにちは」

「お食事中でしたか。失礼しました」

「このお皿を片付けたら食事を終えるところだったんです。少し話しませんか?」

「わたくしでよろしければ」


このとき妙に機嫌が良かった理由が、今は分かる気がする


「良かった。じゃあ座って下さい。流石に自分が座ってて相手が立ってるっていうのは居心地が悪いですから」


なにか企んでいるんじゃないかと警戒して座りたくなかった

それを随分と昔のことのように思い出す


「どうしたんですか?」


断る理由が思い付かず、仕方なく座った俺に向けたのは小さな笑みだった

これもあのときは気付かなかった


「あなたはクイズの答えを知ってるの」

「え?」

「あなたはクイズの答えを知ってるの」


答えない俺に再度問う


「あなたはクイズの答えを知ってるの」


これを「各々の本名を知っているか」という問い以外にないだろう

それを聞いてどうするのか


そう思った

だが、苺はただ、「南京太郎」に会いたかっただけなのかもしれない


「お答えしかねます」

「あなたはヒントを把握してるの」

「それもお答えしかねます」

「分かりました。ありがとうございます」


ヒントとは開示される情報のこと

その解釈は変えなくても良いだろう


「多分みんな気付いてますよ。幼い頃の知り合いか、人を介した知り合いが最低1人はいる」

「さて、どうでしょうか」

「ウチ、小学校低学年くらいの頃すごく仲の良かった子がいたんです。でも転校して以来会ってなくて。あの頃ウチらは言葉にしなくても分かり合ってた。でも好きな数字とか動物とか色とか、そういう言葉にしないと分からないことって案外知らないなって思ったんです」


神妙な面持ちだと思ったが、恐らくこれが苺の本来の顔に近いのだろう


「もしあの子がここにいたら、ウチに気付いてくれるんでしょうか。もしあの子がここにいたら、ウチはいつあの子に気付けるんでしょうか」


気付くよ、彼は必ず気付く

そしていつだって、きみのために行動する


「そんなこと言われても困りますね。すみません」


困るよ、だってきみたちが2人以上生き残る道は多分ない

希望的観測を昨日はしたけど、でも、そんな甘いヤツらじゃないんだ


「どうしてこんなことをしてるの」

「それもお答えしかねます」

「分かりました。部屋に戻ります。お皿、お願いしますね」

「かしこまりました」


振り返らずにレストランを出て行く


「なんだったんだ…」


独り言ですら変えることは出来ない

なにがどう影響しているのか分からない以上、それは出来ない

ここでこうして茫然としていた時間は多分1分前後

その時間だって、変えたくない


苺が妙に機嫌が良い理由は、ナンバーが「守りたい人」について発言したからだけではない

彼女が彼について知らないことがあると知り、それを知ったからだ

そして、デメリットがあることを理解した彼が自分のためだけを思って行動している

それは彼が彼女を認識している証拠だ

彼女がずっと彼を忘れていなかったのと同じ様に、彼もまた彼女をずっと忘れていなかった


彼にとっては自分がゲームに勝つことより、彼女の生死の方が重要なのだ


負ければ死ぬ戦いで誰かを優先させることは難しい

それをさらりとやってのける彼は、誰よりも勇敢だ

そして、それをきちんと受け止められる彼女は、きっと美しい


彼と彼女の関係は少し歪ではあると思う

だが、決して歪んでなどいない

互いを思い合うその心を歪んでいると言うのなら、この世界では立っていられない

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ