ルート⑮6日目
6日目昼会いに行く人物:ナンバー
Bを選んだときに会いに行けるのはブルー、ナンバー、鴬
鴬に会っていて、ブルーは死亡
今日会いに行けるのはナンバーだ
昨日苺に言われていたことについて聞いてみようか
それとも、昨日鴬が言ったことについて聞かれるのが嫌だから行かないでおこうか
でも、なにを言ったのか気になる
指名に関しては恐らく大丈夫だ
昨日鴬がナンバーをやたらと気にしていたから、それを悪い方に解釈して指名してくれるだろう
苺は安パイを取るはずだ
ウサギはブルーが死んだ状況によってその後の行動が大きく変わる
だが、今回のパターンで言えば、普通にしているだろう
つまり、自分の身を守るために苺を本名で指名する確率が極めて高い
今晩の夕食会を生き残るのは、ナンバーとウサギだ
余程変なことをしない限りこれは変わらないだろう
そう、少しナンバーに話しを聞きに行くだけ
変なことは言わない
余計なことはしない
だから大丈夫だ
「こんにちは」
「…………こんにちは」
にこにことした表情を作ってナンバーが昼食を選ぶ様子を見ている
「…………なに」
「昨日のことについて伺いたくて。よろしいですか?」
「…………僕も」
手近な席に座ったので、その正面に座る
「どうしてブルー様を本名で指名なさったのですか」
「…………僕、違う」
「そうでしたか。では苺様でしょうか」
「…………鴬」
睨む様に見られる
「…………鴬、ウサギの指名、止められた。……苺の願い、叶えられる、ウサギだけ」
「そうだったのですね。苺様の願いとはなんなのでしょう」
「…………知らない」
知らないのに止めたのか
良く分からないな
「…………鴬、真剣だった。……なに、言った」
「わたくしが鴬様になにか伝えたために、鴬様がウサギ様への指名を止めたとお思いなのですか」
「…………そう」
「わたくしはなにも」
箸で掴もうとしても逃げてしまうプチトマトをフォークで刺すと口へ運ぶ
「…………それなら、僕、もう用、ない」
「そうですか。わたくしもブルー様を指名なさった理由が聞きたかっただけなので、失礼いたします」
この様子だと鴬は俺が言ったことをそのまま言っただけらしい
ナンバーは苺のことになると、本当に弱い
「…………待って。……やっぱり、もうひとつ」
浮かしかけていた腰を下ろす
「…………苺、邪魔しないで、言った。……なにか、分かる?」
ああ、すっかり忘れていた
だが、どうして分かると思っているのだろう
自分が納得出来る答えを探しているだけで、正解なんてどうでも良いのだろうか
それならこの質問には納得が出来る
「分かりません」
「…………そう」
南京太郎は実のところ、あまり安藤希和を理解していない
恐らく安藤希和はそれでも良かったのだろう
だが、今は違う
邪魔をされては非常に困る
こんな機会はもう二度と訪れないだろうからだ
「失礼します」
一礼してレストランをあとにする
ナンバーはまた箸でプチトマトを掴もうとしていた
***
4名が会議室Bの指定された席に座る
鴬は相変わらずナンバーを気にしている
それを苺が悪い方に誤解してくれるだろう
それは、この後の台詞で分かるはずだ
「今日こそはきっと平和だよねん?」
鴬を見てにこにこと笑う
これが笑顔の圧力
これではっきりした
苺はナンバーを守るために、鴬を本名で指名する
「そうね。だから、夕食の前でも良いんじゃないかしら」
「そうだねん」
にやりと笑って鴬を指す
「せーの」
抑揚のない声が告げる
「厚地加奈」
「安藤希和」
やっぱりそうだ
勘違いや思い違いだったときのことなんて考えていない
ここでの行いが外に漏れることはない
だから勘違いで人を殺せる
実際に勘違いかどうか、証明出来るものはないし、する必要もない
安藤希和にとってそれが真実である限り、その行いは正しい
苺の本名を言ったのも予想通りウサギだ
これは逆にそうしない方がおかしいくらいだ
苺の望みに気付いていて、どうしても叶えたくないなら話しは違うだろう
だが、これまでにウサギは苺を本名で指名している
望みに気付いていたとしても、叶えたくないということはないだろう
2人が苦しみだす
「…希和」
慌てて駆け寄り、支える
「好き、だよ…」
「僕も、好きだよ」
微笑み腕を伸ばすが、途中で力尽きて腕が重力に負ける
割れ物を扱うかの様に丁寧に、大切に、床に寝かせる
床に転げ落ちていた鴬も寝かせると、ウサギを指した
「やっぱり。さっき声が聞こえていなかったと思った。気のせいかと思ったんだけど、違うみたい」
苺が死んだ今、苺の願いがなんであろうと叶っても意味がない
実際は叶っているのだが、ナンバーがそれを知ることはないだろう
「……黙れ。……希和、願い叶える、きみだけ、聞いた。……なのに」
「願いなら多分今叶えた」
気付いていたのか
「多分私に殺されることだと思う」
「…ばっ、…どうして」
「私はあなたたちにフルネームで自己紹介をして、オリジナルブレンドの紅茶の名前を教えたことはなかった。それなのに「金井郁」で指名したってことは、そういうことだと思うけど、違うかな」
顔を逸らして拳を握る
恐らくオリジナルブレンドの名前を知らないのだろう
「…でも、どうして」
「それは分からない。大した理由なんてないのかもしれない」
恐らく、同じく綾辻信元に殺されたいと願っているウサギだからこそ気付いたのだろう
「金井茉莉」
睨む様にして見て、今まで聞いた中で一番はっきりとした声でその名を言った
ウサギが苦しみだすが、やはりなにも言わずに机に突っ伏せてこと切れている
これで10日目まで自分を指名しなければ、ナンバーのエンディングも回収出来る
「…さようなら」
安藤希和の唇にそっと自分の唇を重ね、静かにそう告げると部屋を出て行った
南京太郎にとって、安藤希和は最も大切な者であり、同時に最も理解出来ない者だったのかもしれない
だから彼は今、泣かないのだろう
これが安藤希和が望んだことだとすれば、泣くべきではない
だが、失ったものは大きい
涙が溢れないように上を向いたとき、涙でキラキラと光った目がカメラに映っていた
俺は呆然と、暗くなっている画面をいつまでも見つめていた
花瓶の花をどうするか
・そのままにする
・生き残った参加者に話す




