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それぞれのマリーゴールド  作者: ゆうま
ルート⑬
31/43

ルート⑬最後の部屋

花瓶の花をどうするか:生き残った参加者に話す

予想通り苺は自分を指名することなく10日目を迎えた

鴬に「自分が勝つ」と言ったのはナンバーを指名するという意味だったのだろうが、後出しじゃんけんが好きな「あいつら」を思い出してしまった

勝者は次のゲームへの参加を強制される、なんてことはないよな

俺だってこの「名前当てゲーム」に関して言えば管理者という立場だが、「名前当てゲーム」自体が他のゲームに使われている

俺はそのゲームの参加者だ

同じことが起こらないとは言えない


『ゲームの勝者をここに呼べ』


これ以外を言わないことは分かっているので素直に従う


「苺様、このゲームに勝利いたしましたので、別室へご案内いたします」

「はいはーい」


4日前に少し感動的なやり取りをした人物と同一人物だとは思えない軽さだ


「この花瓶…」


管理人室に入るとやはり見慣れない花瓶があった


「なんとも統一性のない花たちですね」

「センスないねん」

「詳しいのですか?」

「半年くらい習ってただけだから全然だよん。でも、これはド素人が見てもセンスのなさを感じると思うなん」


真面目な顔をして言うものだから、思わず笑ってしまう


「確かに、僕も花に関するなにかに詳しいわけではありませんから、そうなんでしょうね」

「へぇ、普段一人称僕なんだねん」

「あ、失礼しました」

「良いよん。それに、もうホテルは出るんでしょ?」


『ボタンを押してそのドアから入れ』


苺を見ると、視線が返ってきた

恐らく聞こえていないだろう


「どうぞ」


ドアを開くと花瓶から一輪抜き取って、部屋に投げ込む


「なにをなさっているのですか」

「顔を出して安全確認してくれてたのは見たよん?でも、その先になにがあるか分からないからねん。用心するに越したことはないよん」


苺…いや、安藤希和らしい行動に、思わず笑ってしまう


「はい。では行きましょう」

「ありがと」


ドアをくぐった先の部屋は最初に来たときとなんら変わらない

だだっ広い、ただの大きな空間


『勝利おめでとう、安藤希和』

「ありがとう、で良いのかなん?」

『このゲームは5つの会場で同時進行されている。終焉に辿り着くまで、何度でもやり直しだ』

「彼が最初に終焉に辿り着いた。つまり勝ちってことで良いのかなん?」

『これはひとつの正解だ。終焉はこのゲームの参加者が決める』

「じゃあまだウチも彼も、ゲームに勝ってないんだねん」


俺が別のゲームの参加者であるとすぐに理解してそれを口にしたのはこれまでで苺だけだ


「知ってたのかなん?」

「はい。ここに来るまでは知りませんでしたが、ここに来るのは5回目なので」

「そっか」


もう少し色々聞かれるかと思ったが、聞かない理由はホースと同じなのだろう

どうせ忘れてしまうから


「ウサギの紅茶って飲んだことある?」

「はい、いただきました。苺様がパックの紅茶で淹れて下さったこともあります」

「ウサギの紅茶の後だったら恥ずかしいなん。美味しくなかったでしょ」

「確かにウサギ様の淹れて下さった紅茶は美味しかったです。ですが、美味しかっただけで、なんとも思いませんでした。苺様の…」


いいや、ここではそんな呼び方じゃなくても良い


「希和さんの淹れてくれた紅茶は、すごく温かい紅茶でした。とても美味しかったです」


視線を逸らして顎の辺りをかく

こんなことで照れるなんて、可愛い部分もあるんだな


「希和さんの紅茶を先にいただいていたので「飲んだことのないものを評価することは出来ないのでこの紅茶の方が美味しいです」と言ったら「優しいんですね」と笑われましたよ」


今度は俺の顔をまじまじと見る


「そのときのウチはあなたのことを随分信頼してたみたいだねん」

「そうでしょうか」

「今もしてるよん」


『やり直すか?やり直さないか?』


発しかけた言葉が、お決まりの台詞に遮られる


「やり直そう。この声の言う「正しい終焉」を見つけて、ウチたちを助けて」

「はい」

「これは選ばないでねん」

「もし希和さんが「正しい終焉」だとしても、別の道を探します」

「うん、信じてる」


頷き合って上を見る


「やり直します」


意識が暗闇に落ちていく

最後に手を握ってくれたのは、安藤希和だと信じている


ナンバーへの道筋を見つけて「正しい終焉」を選ばなくては

全員が助かる道を、どうにか見つけなくては

ないに等しいと分かっていても、あると信じなくては


駄目なんだ

「正しい終焉」に選ぶか選ばないか:選ばない

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