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それぞれのマリーゴールド  作者: ゆうま
ルート⑩
15/43

ルート⑩2日目夜

6名が会議室Bの指定された席に座る


「ひとつ確認したいことがあるんだけど、良いかなん?」


誰もが肯定も否定もしない


「答えるかは質問を聞いてからってことで良いのかなん?」


それにすら返答はない

用心深く相手の出方を窺っているホースとブルー

興味のなさそうなナンバーとウサギ

動揺を必死に悟られない様にしている鴬


「今日の10時からの話し合いに参加したか不参加だったかと、その理由が知りたいなーって思うんだけど、駄目かな?」


提案した苺を含め3名が周囲を見渡す


「どうしてそんなことを知りたいのかしら」

「みんながどんな考えでこのゲームに挑むのか、それが知りたいんだ。いくらなんでもルール違反で死にたくないからって理由で夕食会に参加している人を指名したくないからねん」


意外な人物からの質問にほんの少し驚いた様子を見せたが、すぐにいつもの貼り付けた笑みを浮かべて言う


「本名が分かれば本名で指名するって言ってるように聞こえるけど?」

「違う違う。全然違う名前だって指名されれば誰だってドキッとするでしょ?それだけだよん」


ブルーが苺に、ホースが鴬に、訝し気な視線を向ける


「どうかなん?」

「分かったわ」

「じゃあ鴬からお願いしても良いかなん?」


小さく拳を握りしめる


「アタシは…行かなかったわ」

「お前は行くと思ったが、どうしてだ」

「ルールを読んで、誰かは誰かを殺す決意をしたかもしれない。誰かは自分以外の全員を殺す決意をしたかもしれない。そう思ったら…」

「もう分かったから、無理して言わなくても良いよ。ね?」


ホースが周囲を見回すが、誰もなにも言わない


「こんな状況だから、疑心暗鬼になるのは当然だよね」

「それが理由なら言葉は最後まで聞いた方が良いと思う」

「どういう意味かな」

「鴬の言いたいことは分かる。だから「辛そうだから無理をさせたくない」って言うんだったら私は反対しない。だけど「疑心暗鬼になった」を理由にするなら、はっきり言葉にした方がお互い疑心暗鬼にならないと思う」

「ホースの言っていることが矛盾していると言っているわけか」


ウサギが小さく頷くと視線が鴬に集まる


「怖く、なったのよ。もしかしたら参加した人の中に、脱出に協力するフリをして情報を引き出そうとしてる人がいるかもしれないわ」

「可能性はあると思うよ。もし話し合いが行われていたのなら、それは差し詰め人狼ゲームになるのかな」

「まるで行われていないのを知っているような口ぶりだね」

「うん、行ったから。でも誰もいなかった。だから話し合いは行われていない」


流れが変わった

いつも自然と時計周りなのに、今回は反時計回りか

いや、この流れだとホースが発言することになるだろう

珍しくごちゃごちゃした話し合いになりそうだ


「それは嘘だよ。俺は9時55分に部屋を出て、10時10分までいたんだ。部屋には誰もいなかったし、誰も来なかったよ」

「私が行った時間を言う前に質問させてもらっても良いかな」

「どうぞ」

「どうしてたった10分で戻ったんだろう」


ウサギの疑問に自然と4人が頷く


「鴬が参加するなら時間より前に待っていると思ったから、俺が着いていなかった時点で参加しないと思ったんだよ。他の4人があまり積極的に参加するようには思えなかったけど、10分は一応待ったんだ。これで良いかな」

「理解は出来る。だから先に進むね」


周囲を見回すが誰も発言する様子はない


「私は部屋を10時15分に出た。理由は単なる寝坊」

「俺には証明出来る物もなければ、証明してくれる人もいないけど、ウサギはどうかな」

「私も同じ」


なんだ、この流れ今までに全くない流れだ

ウサギとホースが明らかに敵対している

鴬の発言の迷いだけでここまで違うのか


「…………僕、10時半、行った。……でも、誰もいない。……すぐ戻った」

「ナンバーは参加しようとしたのか。なんでそんなに遅れた」

「…………ボス、強かった。……時間、過ぎた。……ごめん」


ナンバーの発言に全員が言葉を失う

その静寂を破ったのはホース


「つまり参加する気はあったけどゲームをしていたら時間が過ぎてしまっていたってことかな」

「…………そう」

「比較的協力的なヤツには時間にルーズなヤツしかいないのか」

「そうみたいだねん」


苺はどうしてか少し楽しそうだ


「分かっているとは思うけど、ウチも参加してないよん」

「どうしてかな。俺には、最初だし様子見っていうウサギの気持ちの方が分かるけど」

「意味がないからねん。もし逃げられる道があるなら、潰してあるはず。それにこんな山、1日じゃ降りられないからねん」

「俺も参加していない。理由は苺と同じだ。仮に逃げられたとしても家に招待状が送られてきたんだ、ゲームをせずに帰っても意味があるとは思えないな」

「うん、2人が言っていることは俺も考えていたよ。俺はこのゲームを出来るだけ穏便に済ませる方法がないかと思っているんだ」


全員が小さく反応する

恐らくホースが次に言うであろう言葉に身構えているのだろう


「俺はペナルティを受けても良いと思っているよ。みんなはどうかな」


全員が黙る

先に言ったら負け

そんな空気が流れている

だが、ウサギは違うはずだ

今回敵対している様子も見せているし、なにか言うんじゃないか

頼むから、なにか言ってやってくれ


「ホース、その聞き方だとみんな答えにくいと思う」

「どうしてかな」

「分かってやっているなら止めてほしい」


笑顔を崩さないホースにため息を吐く


「ごめん、ごめん、意地悪な聞き方だったね」


小さく肩を震わせて笑うその姿はいつもと様子が違う


「今ので分かったよ。みんなペナルティを受けたくないから最低1人は殺すつもりなんだね」


ぐっと拳を握ってから手を挙げる


「…………最終日、6人、生きてる。……誰か、殺す」


ナンバーに倣って手を挙げたのはブルーと鴬


「苺はあんなことを聞いたくらいだから積極的に参加するのかと思ったけど、どういう考えなのかな」

「負けたくない人がいるんだ。だからもしその人がこの中にいると分かったらその人にだけは負けない。分かってから準備してちゃ遅いでしょ?それだけだよん」

「分かったよ。ウサギはどうかな」

「全員で生きて帰りたい。あんなもの、なくなってしまえば良い」


よく見えないが、少し涙目じゃないか?

この時点ではあんなことは考えていなかったのか、それともこの先のことを考えて怖くなったのか

ウサギはいつも無表情で声に色もない

もしかして、今ものすごく怯えているんじゃないか?

それで――――


「だけど、守りたい人がいるから。だから、その人が危険だと思ったら、私には人を殺す決意がある」

「良く分かったよ。みんなも自分だけは守りたいっていうことだよね」


今回は話しがまとまるのが早いな

ナンバーが翌日言うことを今日ウサギが言ったからか?

しかし、まさか鴬が言い淀んだだけでこんなに流れが変わるとは思わなかった

明日どうなるか予想し辛い

2日目に鴬と会ったのは失敗だっただろうか

だが、今後の展開を考えると鴬は2日目でなくてはいけない


全員が無言で肯定すると、そこから誰もなにも言わない

料理を運ぶとしよう


「掛け声は必要かな」


誰もなにも言わない

少し寂しそうに微笑むと大きく息を吸う


「せーの」


全員が誰かを指し示して名前を言い、その手を自分の意志で下すと映し出された映像を見る


ホース 好きな食べ物:レーズンパン

ブルー 実家:ケーキ屋

ナンバー 実家:政治家一家

苺 好きな数字:素数

ウサギ 好きな動物:猫

鴬 家族構成:父、母、妹


全員誰にもなにも言わずバラバラに部屋を出て行った

監視カメラの映像が消える

3日目昼誰に会いに行くか

ブルー ナンバー

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