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それぞれのマリーゴールド  作者: ゆうま
ルート⑨
13/43

ルート⑨最後の部屋

花瓶の花をどうするか:生き残った参加者に話す

鴬はそれ以降部屋から滅多に出なくなった

ブランチを部屋まで運ぶときに少し話しをして、夕食会でも少し話しをする

特に有益な情報はなかった

というより、聞き出せる状態ではなかった


ホースを説得する方法はなかったのか

4人で生き残る方法はなかったのか


そればかりを考えていた

あのとき苺を挑発したのは自分なのに

多分一時の感情に任せた行動だったんだろうけど、それで済ませられることではない

それは本人も十分分かっている様子で、憔悴していた


自分を指名することなんて思い付かなかったのだろう

鴬は最終日までそんな様子で、ゲームに勝った


『ゲームの勝者をここに呼べ』


これ以外を言わないことは分かっているので素直に従う


「鴬様、このゲームに勝利いたしましたので、別室へご案内いたします」

「これで…終わりなんですか」

「このゲームはこれで終わりです。しかし、ゲームマスターは後出しじゃんけんが好きなので、心構えをお願いします」

「分かりました」


鴬は少し生気を取り戻していた

もし次にゲームがあるのなら、自分が殺した6人への罪を償うために勝たなければいけないと思っているのだろう

罪を償う方法は多分まだ分からない

だけど、方法を探すことを止めては、決していけない


「この花瓶…」


管理人室に入るとやはり見慣れない花瓶があった


「なんとも統一性のない花たちですね」

「そうね。センスがないわ」


一凛の花に触れて、俺を見る


「手と爪が綺麗ですよね」

「そうですか?ありがとうございます」

「こんな綺麗な手に生花を使ったネイルをしたらどうなるかしら」

「では、外で会えたらやってみていただけますか」


くすりと笑う


「ええ、良いわ。また会いましょう」


良かった、笑ってくれた


『ボタンを押してそのドアから入れ』


聞こえてくると分かっていたが、それでも急に聞こえた

その声に肩をびくつかせてしまったが、鴬はなんの反応もしない

やはり俺にしか聞こえていないのか?


言われた通りボタンを押すと壁からドアが出現した

そのドアを開け、鴬を見る


「どうぞ」

「ありがとう」


ドアをくぐった先の部屋は最初に来たときとなんら変わらない

だだっ広い、ただの大きな空間


『勝利おめでとう、厚地加奈』

「で、どうしてくれるのかしら」


相変わらず「あいつら」の声はどこから聞こえているのか分からないが、今回は鴬にも聞こえているようだ


『このゲームは5つの会場で同時進行されている。終焉に辿り着くまで、何度でもやり直しだ』

「じゃあアタシら担当のスタッフが最初に終焉に辿り着いたってことなのかしら」

『これはひとつの正解だ。終焉はこのゲームの参加者が決める』

「このゲームの参加者はもうアタシしかいないわよ」


刺々しい言い方が鴬らしい

本調子の様子で良かった


「きっと違います。今言った「このゲームの参加者」っていうのは、俺を含む5人の管理人のことです」


きっと、と言ったのはここに来るまでにも何度もやり直していることを知られてしまって良いかどうかまだ分からなかったからだ


「きっとってことは、知らなかったんですか」

「察していた部分はありましたが、ここまでとは…」

「そうですか」


興味を失った、とでも言うように視線を俺から周囲へと移す


『やり直すか?やり直さないか?』

「やり直します」

『分かった』

「その前に他の管理人の状況を教えて下さい」

『早い者は5人目、遅い者は4人目だ。頑張りたまえ』


どういう風に数えているにしろ、状況はかなり厳しい

俺はやっと2人目を攻略したところだ

2人のルートは見えているが、残り2人のルートは見えていない


「どうするつもりなんですか」

「勝つんだよ」

「勝てたら全員帰れるんですか」

「それは…分かりません」


俺が俯いて首を振ると鴬が天を仰ぐ


「どうなのよ」

『終焉を知れば分かる』

「あんたと同じ、ズルい言い方だわ」

「違うよ」

「なにがよ」

「こいつらと同じズルい話し方をしていたんだ」


鴬が小さく笑うと、俺の意識は暗闇に落ちていった

「正しい終焉」に選ぶか選ばないか:選ばない

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