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それぞれのマリーゴールド  作者: ゆうま
ルート⑨
12/43

ルート⑨6日目夜

4名が会議室Bの指定された席に座る


苺が落ち着かない様子で周囲を見回している


「苺、話しをしても良いか」

「駄目」

「どうしてだ」


まさか駄目だと言われるとは思っていなかったのか、本気で驚いている


「ねぇ」

「…どうしたの」


真っ直ぐ見つめられたナンバーが異常事態を読み取って苺の方を見て居直る


「なにがあっても指名しないって、ここで約束して」

「…出来ない」

「どうして」

「…守るためならなんでもする。そう言った」

「ウチだって守りたい」

「…大丈夫」


なにが大丈夫なんだ

その気持ちは苺も同じなのか、大きく首を振っている


「…2人になったら、もう動けない」

「どういう意味」


恐らくナンバーは苺と逆の考えをしている

自分が指名出来ないのだから、苺も指名出来ない

すると鴬がこの中で指名出来るのはブルーだけということになる

どちらにしても自分はブルーを指名する

どういう理由かは知らないが、ブルーは自分を指名すると思っている

だから苺と鴬の2人が残れば指名出来ない者同士が残って、安全だということだろう


だが、その考えは間違っている

それに気付けるのは鴬だけだが、鴬がここで発言するメリットはない

当然黙っているだろう

そして本名で指名するだろう


「…こういう、意味」


ナンバーがブルーを指す


「…昨日、言ったこと、嘘?」

「本心だ。但し、帰れたらの話しだ」


ナンバーが指していない方の手をぐっと握った

怒っているのを見るのは初めてか


「待って、ちゃんと説明させて」

「待ちなさい」


掛け声を言いかけていたナンバーが言葉を止める


「苺、あなたアタシのこと、正確に思い出してないのね」

「…え?」

「ウチは思い出してる。アンタの方こそ思い出してないんじゃないの」

「…どういうこと」


ナンバーは驚きと戸惑いを隠せていない

それも当然だ

自分と苺で指名出来る者が違うという事実は、ナンバーにとって大きな問題だ

もちろんゲーム上でのことではない


「一度だけケーキ屋さんで会ってる」

「ナンバーがいないときによ」


互いに見つめ合う


「名前を思い出せてないから、先延ばしにしようとしてるんじゃないのかなん。このままなら残るのはウチひとりだから」

「名前を思い出せてないから、先延ばしにしようとしてるんじゃないかしら。このままなら残るのはアタシひとりだから」


恐らく苺は俺と話した後、考え、ナンバーが鴬と会っていないことを思い出したのだろう

だからナンバーが掛け声を言おうとするとき「説明して」ではなく「説明させて」だった

ナンバーが自分と逆の勘違いをしていることが分かったから


「じゃあ証明してみせないさいよ」

「泣いても許してなんてあげないよん」

「それはこっちの台詞よ」


互いに指し合う


苺があれから思い出せていれば良いが、情報が変わらない以上難しいかもしれない

それならどうしてこんな勝負に乗った

少しの見当は付いているということだろうか


ブルーもナンバーを指し、わざと大きく息を吸う

同時でなくても良いと知っているはずだが、今回ばかりは同時でなくてはいけない

そうではくては、平等ではない


そう、この4人はこんなときでも平等にゲームをしている

ルールの穴をつくことも、相手を欺くことも考えていない

ただ自分の信念に従って、自分の実力だけで勝負をしようとしている


「綾辻信元」

「南京太郎」

「安藤希和」

「あいざわ…加奈」


苦しみだす苺を鴬は笑って見ていた


「残念だったわね」


だが苺がその言葉に返事をすることも、鴬を見ることもなかった

苺の瞳に映っているのは、ナンバーだけだ


互いに伸ばした手が触れ合う


「京太郎」

「…なにも、言わなくて……良い…」

「ごめん…」

「希和」


小さく首を振る


「あり、がとう…、京太郎…」


手をとったまま力尽きた2人がテーブルに倒れ込む

ブルーは既に床に転がっていた


「あっけない終わりだったわね」


そう吐き捨てて部屋を出て行き、監視カメラの映像が暗くなる


この様子なら自分を指名することはないだろう

だが、予想したよりも重たい展開になった

互いに互いを守るつもりでブルーを指名して、ブルーと鴬の指名先は変わらない

そう思っていただけだった


結果は自体は俺の予定通りだった

だが、これで本当に良かったのかと考えてしまう過程だ

花瓶の花をどうするか

・そのままにする

・生き残った参加者に話す

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