梅香る夜に【春の詩企画】【第二回初恋・春】
うれしや 梅の 梢に咲へる
いずくよりか 香ぞ手をさしのべ
おぼろの月をたぐり寄せたる
うれしや その香の 目には見えねど
清き肌に つめたき指もて
我が頬を 包みたるは
月明かりだと見えないから
もう少しだけこっちへ来て
雲間から 月が顔出す その前に
見えないうちに さあ早く
しんに冷えたる君が手の
しんに冷えたる我が頬に
ふれしより 目さむるは
次なる季節
花の人目につかないうちに
月のおぼろに滲むうちに
梅の香を 胸いっぱいに すいつくせ
風が君を さらってしまう その前に
しんに冷えたる君が手と
しんに冷えたる我が頬の
ふれし肌の あたたかさ
花の色のうつるころ
僕の知らない遠くの町の
排気ガスに紛れる前に
君のかおりを すいつくせ
ふれし肌のあたたかさ
恋ひそめし我が胸溶かす
とけゆく季節の目覚めれば
君は遠くへ去りゆかん
2019年制作。
本作は「春の詩企画」参加作品です。
企画の概要については下記URLをご覧ください。
https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1423845/blogkey/2230859/(志茂塚ゆり活動報告)
また、武頼庵様の「第二回初恋企画」にも参加させて頂いております。
https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1279782/blogkey/2270496/(武頼庵様活動報告)