変わった王様と火の精霊
また遅れちゃいました。許してくださいなんでもしませんから。
・・・はい。こんなのは無視して本編どぞ
俺は窓からの日差しで目を覚ました。
「う、ん?」
「気がついた?」
「かあ・・・さん?」
頭がぼーっとする。俺何してたっけ?
「覚えてる?あなた、セリア姫を助けるために1人戦ったのよ?」
「・・・・・・あ!そうだ!姫は!?セリア姫は!?」
「安心しなさい。無事よ。怪我もなかったわ」
「よかった・・・」
実はあの時セリア姫の姿がほとんど見えてなくて巻き込まれてないか心配だったのだが、無事でよかった。
「それよりアーサー?私に言うことは無い?」
「え?あ、エーット・・・」
「前から無茶な子だとは思ってたけどこの際だから言うわ」
や、やばい。これはいつも父さんに雷が落ちる時の雰囲気だ・・・
「なんて馬鹿なことするの!!!」
やっぱり・・・
「あなたはまだ子供なのよ!?子供が1人で外に出て戦うなんて何を考えてるの!」
「・・・・・・」
「あなたは・・・私たちの大切な子供なの・・・。だから、心配させないでちょうだい・・・」
確かに無茶しすぎた。セリア姫を救えたのは確かだが、母さんを不安にさせたのも事実だ。反省しないとな。
「お、気がついたか?」
「父さん・・・」
部屋に入って来たのは父さんとメルトだった。
「よく頑張ったな。流石は我が息子だ」
「父さんは怒ってないの・・・?」
「怒ってるさ。けど、お前は正しいことをした。俺はそれが嬉しいんだ。それに母さんがもう十分怒っただろう?」
「・・・うん」
嬉しかった。父さんに喜んでもらえて俺は純粋に嬉しかった。そう思うと自然と涙が溢れてきた。
「あらあら、あなたが泣くなんて珍しいわね」
「泣いてなんか・・・ないもん・・・」
「強がっちゃって。ふふっ」
「えー、アスト様。大事な話を忘れてませんか?」
「おっと、そうだった。実はなアーサー。姫を助けたお礼をしたいって王から招待されてるんだが、もう動けるか?」
まさかの王様からの招待!多分セリア姫にも会うことも出来るだろうし。断らないわけない。
「大丈夫。なんとか動けるよ」
「よし、では行くか」
━━城━━
今俺は城を兄さんに案内してもらっている。城の内装を見て感じた感想としては━━「美しい」だ。
壁には豪華な装飾がされており、廊下にはホコリのひとつもない。さすがは王の住む城だ。そんなことを思っていると俺はあることを思い出した。
「そういえば父さん。俺に合わせたいって言ってた人は?」
「あー、それは王との謁見が終わったらだな。すぐ会えるさ」
「父さん、着いたよ」
目の前にはかなり大きい扉が立っていた。
この奥に王様が・・・。
兄さんが扉を開くと広間の奥にいる人物の姿が明らかになった。広間には何人かの騎士がいて、奥には1人の若い男が玉座に座っていた。髪は金髪で緑色の瞳、何より特徴的なのは耳が長くとがっていることだ。恐らくエルフだろう。男の傍らにはセリア姫が立っていた。男と同じで金髪ロングで緑の瞳で耳がとがっていた。
俺は1人で王の前まで行き、父さんに教わった通りに膝をつき、頭を下げた。
「よくぞ来てくれた。私はノア・シャングリラ。この国の王だ。そなたがフェンリル家の子息のアーサーだな?」
「はい、その通りです」(緊張がヤバい・・・)
「此度は娘のセリアを救ってくれたことを心から感謝する」
「いえ、私は自分がするべきことをしたまでです」
「ほう、自分のするべきこととな」
「はい」
「ふむ、兵よ。この者とゆっくりと話したい。下がるのだ」
「は!」
ん?ゆっくりと話したい?どういうことだ?
少しして兵士は全員広間から出ていった。
「・・・・・・ク、クク。はーっはっはっは!!」
「へ?」
何かと思えば王が急に笑い始めたのだ。
「お、お父様。はしたないですよ」
「いやー、すまない。あまりにも面白いからつい」
「あ、あの。これはどういう・・・」
「それについては俺が説明しよう」
「父さん?」
「いやー、実はな。お前に会わせたいって言ってたやつこいつなんだよ」
はい?つまり俺が昨日会う予定だった父さんの知り合いって王様だったってこと?
「はぁぁぁ!?意味がわからないんだけど!?」
「僕はアストとリースとは長い付き合いでね。まぁ僕の人生と比べたら短いけど」
「100年単位の時間と私たちの付き合いの長さを比べないでちょうだい」
「それは失礼リース」
・・・開いた口が塞がらない。まさか王様と親友だったとは。世の中広いなぁ。
「あ、あの、アーサー様」
ポカーンとしているとセリア姫が話しかけてきた。
「そ、その、昨日は助けていただいてありがとうございました」
「いえ、私は当然のことをしたまでです」
「敬語はやめてください。私と対等に話してくれませんか?」
「しかし・・・」
「お願いします。私、対等に話せる友達が欲しかったんです。ダメですか?」
「・・・・・・」
いいのだろうか?仮にも姫なんだし・・・。助けを求めるように父さんたちの方を見ると3人とも笑顔で返してきた。
「わかった。よろしくセリア」
「はい!よろしくアーサー」
「コホン。ではそろそろ本題に入ろう」
と、王様もといノアは真面目な顔で話し始めた。
「アーサー君の魔法のことで尋ねてきたんだろう?」
「ええ、あなたならわかると思ってね」
「結論から言うとね。アーサー君、君には精霊がついている。しかも始祖の」
「精霊?」
「な!?本当か?」
「ああ、本当だ」
よくわからないが、父さんと母さんの反応を見るとかなりすごいことらしい
「僕には精霊が見えるからね。始祖の精霊の力が強すぎるからか普通の精霊より見えにくいけど、ここに入ってきた時にすぐわかったよ」
「あの、精霊って魔法を使う時に力を借りる精霊のことですよね?でも始祖ってどういうことですか?」
「よし、説明しよう。この世界にはそれぞれの魔法の属性を司る精霊がたくさんいるんだけど、その精霊たちを生み出した精霊がいるんだ。それが始祖の精霊」
「その始祖の精霊が俺についていると?」
「そうだね。始祖の精霊は普通の精霊より強力な力を持っている。力を貸してくれているなら魔法はかなり強力になるはずだ。心当たりない?」
そういえば人間と戦った時に覚えてない魔法を使った。俺の魔力じゃ使えないレベルだった。
「確かにありました。けど、その精霊は俺には見えません。見ることは出来ないのですか?」
「それは精霊次第かな。頼んでみるといいかもしれないよ?」
「・・・わかりました。精霊よ、どうか俺に姿を見せてくれ」
すると、目の前に燃え盛る炎が現れた。炎はだんだん人の形になっていき、そこには美しい女の子が浮かんでいた。
「君は・・・」
「こんにちはアーサー。私が火の精霊サラよ」
「君があの時俺に力を貸してくれたの?」
「えぇ、貴方の力になるのが私の使命だもの」
「し、使命?」
「ある方からの頼みなの。あなたに力を貸してあげて欲しいって言われてね。○○くん」
「・・・!?その名前どこで━━」
「あ、アーサー?そこに精霊がいるのか?」
はっ、となり父さんたちを見ると心配そうに見ていた。
「うん、ここにいる」
「僕にも先ほどより見えている。アーサー君。精霊はなんと?」
「俺に力を貸しているのは彼女で間違いはないそうです」
「やっぱりか。なぜ貸してくれているのかわかるかい?」
「えっと・・・さ、サラさん?」
「サラでいいわ」
「じゃあサラ。なんで力を貸してくれているのか詳しく教えて貰える?」
「ごめんなさい。今は言えないの」
「・・・今は言えないらしいです」
「ふむ、そうか・・・。アスト、リース。アーサーの力はとてつもない力だ。人間に狙われる可能性もある。君たちなら問題ないがこの事は誰にも知られないように」
「えぇ、もちろん」
「わかっている」
「・・・よし!とりあえず解決したから、こんな重い話は終わり!もう遅い時間だ。アーサー君はまだ疲れてるだろうしもう家でゆっくり休みなさい」
「わかりました。ありがとうございます」
重い空気だったけどノアの一声ですぐ切り替わった。いい王様だな。ちょっと王様ぽくないけど
「あの、アーサー」
「うん?」
「その、アーサーは学校に行くの?」
この国には10歳から入れる学校がある。5年制でかなり有名な場所だ。他の国から学びに来る人がいるほど人気がある。ちなみに兄もそこの卒業生だ
「うん、行くよ」
「やったー!私もあなたと同じ年に行くの。その時は仲良くしてね?」
「・・・うん。もちろん」
「ふふっ。じゃあねアーサー」
「うん、またね!」
こうして俺の波乱に充ちた数日は幕を下ろした。火の精霊サラが見えるようになり、これからどうなるのかはまだわからない。
━━サラ━━
「(アーサー。あなたはこれから様々な困難に見舞われるわ。辛いだろうけど私が・・・いや、私たちがあなたに力を貸すから。それが私の誓い。他のみんなも・・・)」
━━回復魔法━━
「じゃあ動かないでね。水の精霊よ。癒しの水で傷を癒せ。『アクアヒール』」
母さんが詠唱すると傷の痛みがみるみる引いていった
「すごい。さっきまでの痛みがないや」
「そうでしょ?でも無理したらダメよ?」
「うん。ところで母さん。母さんの回復魔法ってどんな怪我でも治せるの?」
あの有名ゲームみたいな感じならかなりすごいけど
「そうねー、骨折ぐらいなら私も治せるかしら。あなたー?こっちに来てー」
「どうしたんだいリース?」
そこで気づいた・・・。母さんの顔が獲物を見るような目であることを・・・
「ちょっと骨折してくれない?」
「「・・・・・・はぁ!?」」
「アーサーが回復魔法がどれだけ効くか知りたいみたいなのよ。さぁ!はやく!」
「いや、突然何を・・・」
「あーもう!遅い!それなら私が折るわ!」
「ちょっ・・・リース・・・た、助けてアーサー!」
ごめん父さん・・・。俺には無理だ・・・。