アーサーの使命
すいません遅くなりました!!
豊穣祭も無事に終わり、いよいよ卒業式が近づいていた。だが、最近サラが帰って来ないのだ。すぐに帰ると言っていたがもう2週間以上たっている。
「サラ・・・いつになったら帰ってくるんだ?」
「アーサー?サラのことが気になってるの?」
教室の窓の外をぼーっと眺めていた俺にセリアが声をかけてきた。
「まぁな」
「もうだいぶ経つもんね。何してるのかしら?」
「全くだ」
その声にふと振り返るとロットが腕を組んで不満そうにしている。
「あいつがいないと昼飯の肉が焼けないじゃないか!」
「いや自分で焼けよ」
「あいつの火加減が絶妙なんだよ!セリアならわかるよな?」
「わかるわー!お城で出されるお肉が見劣りするぐらいの焼き加減だもの!」
理由はともかくロットもサラを心配しているようだ。
その時━━━━
「アーサー!!!!」
窓の外から聞き覚えのある声が聞こえた
「その声!サラ━━━!ゴハァ!!」
ジェット機のごとくとんできたサラは勢いを止めることなく俺に体当たりを食らわせた。
突然のことにクラスメイトが俺の周りに集まってくる。
「アーサー!会いたかったよ!」
「あ、ああ・・・」
サラが見えない人からしたら俺が床にただ寝転んでいるように見えるだろう。
「そうだ!3人とも!話があるの」
周囲の状況をお構い無しに話すサラだが、一旦この状況を何とかしないとな。
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とりあえずあの場は乗り切り、大事な事だからと父さんやノアさんにも聞いてもらうことになり、俺たちはは城に集まっていた。
「それで?話ってなんだ?」
「うん。3人に頼みがあるの。私からの・・・ううん。シア様からの」
「!?」
俺たちはその名に驚いた。アークライトを創造した神の名なのだから。
「・・・どういうことか説明してもらえるかしら?」
「わかった。今まで私はシア様と話すために色々としていたの。今のシア様は簡単に言葉を告げられないからね。そして私はこの事を言う許しを得た」
「この事ってのはなんだ?」
「それはね、シア様は今邪神との戦いに失われた力を取り戻すために天界から動けなくて、地上に降りることができないの。シア様は近い未来に悪魔達が復活することを予知したの。そこでシア様の代わりに悪魔を倒すことを使命とした命を地上に使わした。それがアーサー。あなたよ」
「!!!」
その場にいる全員の視線が俺に集まる。なるほど・・・そういう事だったのか。俺をこの世界に転生させたのは創造神だったということか。まあ神様がいるという時点でそうかとは思っていたが。
「・・・なるほどね。つまりアーサー君はおとぎ話に出てくる『勇者』のような使命をもって生まれた・・・と」
「うん。そして私がアーサーに力を与えているのはシア様に命じられ、彼を守るため」
「・・・俺たちの息子にそんな使命があったとはな」
「えぇ・・・」
さすがの父さんと母さんもこの事実には驚きを隠せないようだ。
「そして・・・アーサー。ここまでの事を踏まえてあなたにお願いするわ。残りの始祖の精霊を集めて神聖国シーアに向かってほしいの」
「神聖国・・・創造神への信仰の中心とも言える国だね」
「うん。あそこならアーサーでもシア様の声を聞くことができるはず。シア様はアーサーと直接話したいと言われたわ」
このアークライトの世界は主に3つの大陸があり、それぞれの国が治めている。人国アース。亜人国シャングリラ。そして神聖国シーアだ。アースとシャングリラはアースからの突然の宣戦布告により、今も戦争中だ。シーアは中立の立場と宣言しており、この戦争に一切関与していないらしい。この世界を旅したいと決めたからにはシーアにもいずれ訪れるだろう。
「なるほど・・・もう1つの始祖の精霊を集めるというのは?」
「・・・悪魔達を相手にするには私一人の力じゃ限界がある。だから他の精霊の力を集めるの。『水の大精霊ウォルト』『風の大精霊サリア』『光の大精霊ルクス』『闇の大精霊ノクス』残りの4人を集めれば悪魔への対抗に繋がるはずだよ。・・・ただ、かなり厳しい道のりになるかもしれないけど」
最後の一言で全員が表情を暗くする。特に母さんと父さんだ。それもそうだ、自分の子供にそんな過酷な使命を背負わされて嬉しいと言える親などいないだろう。
「・・・始祖の精霊達ですか。伝説の精霊達を全員集める・・・。3人ともどう思いますか?」
「・・・私は反対よ。まだ15歳のアーサーをそんな危険な目に会わせたくない。あなたもそう思うでしょう!?」
「・・・・・・確かに息子にそんな危険な事を任せるのは親として反対したい。だが━━」
父さんが俺の肩を持つ。
「俺はお前の意志を尊重したい。俺達が子供の意見を自分達の意見で潰していたら子供は何もできなくなる。だから、お前がどうするかは自分自身で決めるんだ。アーサー、お前はどうしたい?」
「父さん・・・」
俺の・・・俺の意思は決まっている
━━━ホントウニ?
転生したこの世界を守りたい
━━━オレハナニモマモレナイ
両親や友達を助けたい
━━━マタクリカエスノカ?
だから俺は
━━━オレハ
「俺は行くよ」
「アーサー・・・」
「ごめん母さん。でも俺ここが好きなんだ。みんながいるこの場所が。この世界を守る使命を与えられたと言うなら俺はその使命を果たしたいんだ」
俺は母さんと父さんに自分の想いを伝えた。
「・・・・・・そっか。アーサーはそういう子よね。母親の私がよく理解してるはずなのにね」
「母さん・・・」
「うん、わかったわ。アーサーがその気なら私も精一杯手助けするわ!」
「ありがとう、母さん!」
「あー・・・そろそろいいかな?」
今まで黙っていたノアさんが口を挟む。
「アーサー君の意思が確かなことはわかった。それを踏まえて君たち2人はどうしたいんだい?」
それはロットとセリアに対する問いだった。
「俺はこいつの旅に着いていくと決めたんだ。どんな状況だろうとその意思は変わらねぇよ」
「ロット・・・」
「そんな目で見んじゃねぇ!恥ずいだろうが!」
「なるほどね。お前はどうなんだい?セリア」
セリアはもう答えは決まっていると言わんばかりの表情でノアさんと向き合う。
「私もロットと同じです、お父様。アーサーと一緒にこの世界を自分の目で見たいのです。お母様が見ていた景色を・・・」
その決意に満ちたセリアの表情を見てノアさんはやれやれと首を振った。
「まったく、誰に似たんだか・・・。うん、わかったよ。君たちの覚悟が確かなものだということが伝わったよ。この世界の危機とも言える事態を子供たちに託すことしかできないのは大人としては歯がゆい・・・が、僕たちには僕たちにしかできないことがあるはずだ。君たちを助けるために僕たちも全力で支えるよ」
「みんな、本当にありがとう!」
サラは目に涙を浮かべて感謝の言葉を告げた。
「世界を救う戦いもいいけどまずは卒業式がありますからね?もう3日後ですよ」
「そ、そうでしたね」
こうして俺たちの旅は世界を救う旅になった。アークライトを守るため、全ての大精霊を集める戦いへ・・・
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