状況確認
第3話です
俺が転生して数日たった。この数日でわかったことは、まず俺は赤ん坊でアーサーという名前ということ。前世の記憶はある程度あるが所々が曖昧だ。
そしてここは・・・異世界ということ。
それがわかった理由は両親や周りの人の姿だ。目が完全に見えるようになった頃、両親の姿を見て驚いた。耳だ。頭の上に犬のような耳が生えていたのだ。そして腰のあたりにモフモフの尻尾が生えていた。最初はつけ耳とかかと思ったが、ある日母さんが俺を鏡の前まで抱いて行ってくれた時に、本物と確信した。なぜなら俺の頭にも犬のような耳があったからだ。と言っても種族としては犬ではなく狼らしい。
転生だけならともかく別の種族に転生したとわかってかなり驚いた。というより少しワクワクした。前世では割と異世界ものが好きだった俺がそれを自分で体験出来ているのだから。
ガチャ
「メルト?アーサーは大人しくしてる?」
「はい、リース様。泣くこともなく、とても静かでした」
「そう。さすが私の息子♪」
今入ってきたちょっと親バカっぽい人が俺を産んでくれた母のリース。俺が言うのもなんだが、かなり可愛い。茶髪の長い髪を腰のあたりまで伸ばしていて、目は明るい茶色だ。自分の種族の寿命が人間に比べてどれほどかわからないが、かなり若いようだ。
「リース様。今日のお仕事は済まされたのでございますか?」
「え?えぇ・・・。あはは・・・」
「リース様。またサボられましたね?」
「えへへ。どうしてもアーサーに会いたくて」
「まったく・・・」
そう母さんはかなりのサボり癖がある。しかもそれは母さんだけではなく・・・
「リース様?何度も言いますがサボってばかりいると──」
「アーサー!大人しくしてるかー?──あ、」
3人の間に沈黙が流れる
「・・・はぁ、アスト様。あなたもですか」
「あはは・・・、やぁ二人とも・・・」
「夫婦そろって何してるんですか・・・」
今入ってきたのは父のアスト。この通り、二人揃って親バカだ。仕事を放り出して俺に会いに来る。銀色の短髪に黒い目をしている。
「いつも言ってるではありませんか。毎日毎日──」
今二人に説教しているのが、メイドのメルト。いつも俺の面倒を見てくれている人だ。ちなみに猫耳だ。
「お二人は貴族なのですからね?ご自分の立場をわきまえてください」
「「はい・・・」」
そう。どうやら俺の両親はフェンリル家という貴族らしい。正直普段の行動からそうは見えない。
しかし、その貴族に説教をしているメルトは何者なのだろう。メイドなのに立場が貴族より上とは・・・
「まったく・・・、ラース様を見習ってください」
ラースとは俺の兄だ。生まれてからあまり会っていないがかなり真面目のようだ。
「さぁ、お仕事にお戻りください」
「いや、あの。もう少しだけアーサーのそばにいさせて欲しいのだが・・・」
「私も・・・」
「・・・わかりました。少しだけですよ?」
「「やったー!」」
メルトから許可を貰った二人が俺の頬をつついてくる。正直やめてほしい。
しばらくして二人は部屋から出ていった。
とりあえず毎日こんな感じで過ごしている。そんな俺だが、今ある目標がある。
それは・・・
魔法を覚えることだ。
どうでしたか?ちなみに主人公アーサーの種族は人狼族です。この辺の種族などの説明はまた後日出させていただきます。