貴族たちの最後
最近モチベが上がっております。これからも頑張りますよー!続きをどぞ!
3日後。俺たちはノアに言われた時間に城に来ていた。そして今・・・
「皆よく来てくれた!まずはここに来てくれたことに感謝する」
何故かロットとともに城の使用人の姿で貴族たちの中に紛れている。そもそもの原因は数時間前━━━━
━━━城に着いた俺たちはノアからの説明を聞くために部屋に通されたのだが、何故かセリアも一緒にいたのだ。セリアと目が合うとセリアはいきなり俺の胸に飛び込んできた。
「アーサー!良かった・・・。もう大丈夫なの?」
「う、うん。もうすっかり平気。だからちょっと離れてくれないか?」
「あ、ごご、ごめん!つい・・・」
「はは、そんなに心配してたのか?」
「べ、別にそういうわけじゃないわよ!」
顔が真っ赤になっている。これが俗にいうツンデレというものなのだろうか?
「そ、それより、そっちにいるのが・・・」
「あ、そうか。2人は初めてだったな。そう、こいつが何回か話していたロットだ」
「なるほど・・・、貴方がね・・・」
「・・・・・・」
セリアがロットをまじまじと見つめている。対してロットは困ったような顔をしている。
「私はセリア。一応この国の姫をやってるわ。よろしくね!」
「・・・・・・・・・」
セリアが手を差し出すが、ロットは助けてくれと言わんばかりの顔でこちらを見ている。
仕方なくセリアから少し離れて聞こえないように話す。
(どうしたんだよ?)
(いや、その・・・。俺今まで女と関わることがほとんどなかったから接し方がわからなくて・・・)
まさかの女子との距離がわからないやつだったらしい。ロットの意外な弱点だな。
(なんだそんなことか・・・。普通にしてれば大丈夫だって。それに、セリアはああ見えて結構強いぞ)
(そ、そうなのか?・・・よし、わかった)
少し自信ができたらしく、再びセリアと向き合った。
「あー・・・えっと、ロットだ。よろしく・・・」
「えぇ!よろしく。気軽にセリアって呼んでくれてもいいからね」
「お、おう。よろしくな、セリア」
ある程度は打ち解けたようだ。セリアが結構グイグイ来るところがあるからな。多分大丈夫だろ。
「・・・そろそろいいかな?時間もあまりないし」
「あ、すいません」
さすがに長話しすぎたな。
「それじゃあこれから具体的に何をするかを説明するからよく聞いてくれ」
「わかりました」
いよいよか。一体何をするつもりなんだろう?
「今から『セリアの婚約相手を決める話』が行われる」
ほうほう。セリアの婚約相手ね・・・・・・・・・・・・・・・へ?
「もう既に━━━━」
「ちょっと待ったーー!!!!」
予想外すぎる内容で思わず止めてしまう。
「どうしたんだよアーサー。何かおかしなことがあったか?」
「いやいやいや!おかしいというよりも、何故そんな内容を餌に捕まえるんですか!?」
「何故、と言われても・・・。これが一番誘い出しやすいからさ。貴族たちは誰もがセリアとの婚約を望んでいるからね。欲にまみれた貴族たちもついでに誘い出せるのさ」
「ほ、他になかったんですか!?セリアはまだまだそんな歳じゃないでしょう!?こう、政治に関することとか!」
「ちょっと、落ち着いて!」
「サラは黙っててくれ!」
「なっ!?何その言い方!!」
サラが静止にはいるが、つい怒鳴ってしまい、睨み合いになる。
「はい!そこまで!」
「おわっ!」
「むぅ・・・」
止めたのはセリアだった。
「セリア、お前は・・・!」
「そこまでって言ったでしょ!少しは落ち着きなさい!!」
「は、はい!申し訳ありません!?」
とてつもない気迫に押されてかしこまってしまう。
「はぁ・・・。あのね、アーサーが私の事心配してくれてるのはわかってるのよ?でもこれは本当に決めるわけじゃないし、私も自分からやるって言ったの。だから心配しないで?」
セリアに説得されて少し落ち着く。
「・・・ふぅ。ごめん。取り乱した」
「ふふっ、いいのよ。わかってくれたら」
「なぁ、もしかしてアーサー。セリアのことが好・・・」
「わああああああああああ!!!!!」
何言い出すんだお前ぇぇぇ!!!変のこと言うなぁぁぁぁ!!!
「ど、どうしたの?」
「何でもない!何でもないよー!(ロット!あんまり変な事言うな!そういうのは言っていいものじゃないんだ!)」
「(そ、そうなのか?わかった)」
するとノアが、
「ゔゔん!ま・だ・か・な?」
「あ・・・すいません・・・(何回謝るんだ俺・・・)」
さすがのノアも少し声に怒気が混じっていた。
「はぁ・・・。とにかく、もうじき貴族達がやってくる。そこでひとつに集まったところを全員捕らえる。そこで2人の出番だ。いけるかい?」
「はい、大丈夫です」
「問題ない」
「よし、なら早速着替えようか」
「「着替える?」」
━━━━と、言うわけだ。まさか使用人に変装するとは思わなかったが、やるべき事はちゃんとやらせてもらう。
ふと隣を見ると少し過呼吸になって一点を見つめているロットがいた。何を見ているのかと思い、その方向を見るとバーキンス家の当主とその子息がいた。
「(おい、大丈夫か?)」
「(・・・ふぅ、大丈夫。俺は冷静だ)」
そうは言うが、手を握りしめて震えている。それもそのはずだ。両親の仇がそこにいるのだから。
「(そんな顔すんなって。大丈夫、俺はもう昔の俺じゃない)」
「(そうか・・・。うん。無理はするなよ)」
「(あぁ)」
どうやら大丈夫なようだ。ロットも前を向き始めてるんだな・・・・・・。
「それでは娘のお披露目と行きましょう!」
と、どうやらセリアの出番のようだ。ノア曰く本人もいた方が誰も疑わないだろう、との事だ。
広間の扉がゆっくりと開くとその向こうには鮮やかな緑を基調にしたドレスを纏ったセリアが立っていた。
「・・・・・・・・!」
正直、あまりの美しさに目を奪われてしまっていた。セリアから目が離せないのだ。
セリアはゆっくりとノアのもとへ歩いていく。その顔はとても柔らかい笑みを浮かべている。
「おお!」「お美しい!」
などと周りの貴族達はざわついている。
「(おい、しっかりしろ!お前までみとれてどうするんだよ!)」
「(はっ!)」
ロットに肩を揺さぶられて我に返った。
「(お前も人のこと言えねーな)」
「(あはは・・・、悪い悪い)」
そうこうしている間にセリアはノアの座る玉座の隣に立つ。
「皆に伝えた通り、今日はセリアの婚約者を決める!これは王国の未来を決める大事なことだ。ここにいる皆にはこれを知ってもらいたい!」
さて、そろそろだな。
「それでは発表するとしよう!セリアの婚約者となる者、その名は・・・・・・」
その場にいる全員が息を飲む。
「・・・・・・・・・・いない!」
貴族たちは予想もしなかったその言葉に放心していた。
「今日は婚約者決めでも何でもない!そもそも我々エルフの伴侶をそんな簡単に決めるわけないだろう!全てはお前たちを捕まえるためにまいた罠だ!」
「なっ、なんだと!」
「どういうことだ!」 「説明しろ!」
ノアが悪い顔をしている。作戦の確認の時も「良い話をまいた後に絶望的な状況に追い込むっていい作戦だと思わないかい?」って楽しそうに言ってたし。
「説明も何も、あなたたちが1番わかっているのではありませんか?こちらにはもう証拠は全て揃っていますよ?」
「くっ・・・!」
「もう逃れられないと思え!騎士たちよ!全員捕らえよ!」
その言葉とともに兄さんが指揮する騎士たちが飛び出してきた。
よくよく考えたら兄さんが真面目に仕事してるの初めて見たような気がする・・・。
「捕らえろ!」
「うわぁぁ!!」「に、逃げるんだ!」
兄さんの合図とともに騎士たちは動き出した。突然の状況にパニックを起こした貴族たちは雪崩のように出口へと走り出す。
「おし!行くぞロット!」
「了解」
いよいよ俺たちの出番だ。ロットとともに貴族たちの上を飛び越し、扉の前に立ちふさがる。
「なんだ貴様ら!」「よく見たらフェンリル家のガキじゃないか!そこをどけ!」
必死になりすぎて全員顔が鬼のようになっているのが不覚にも面白い。
「ロット、よろしく」
「任せとけ。『ウインドウォール!』」
詠唱とともに扉の前に激しい風の壁が現れた。さらに扉だけではなく窓やテラスへの扉にも風の壁が現れる。
これだけの数を出せるのはロットの努力と精霊に好かれているからだろう。
「これ維持するの結構集中しないといけないからあとは任せたぞ」
「任された!」
退路を潰されて貴族たちの顔色はさらに悪くなる。
「くそっ、お前たち!早く殺れ!」
貴族たちの護衛がこちらへ向かってくる。
「さてと、やるか!『ブースト』」
身体強化の魔法を使って護衛たちに向かう。
「はっ!オラァっ!」
「ぐぁぁぁ!」
今剣がないので、とりあえず鳩尾に拳を叩き込む。
「喰らえ!『フレイムショット!』」
「サラ!」
「オッケー!」
「な、なんだ?魔法が消えただと?」
離れた所から魔法で狙ってくるが、サラに相殺してもらう。と言っても上位の魔法や火以外だとダメなのだが・・・
「はぁっ!まだやるか!・・・おっとこれはまずい」
いつの間にか周りを囲まれていた。騎士たちはまだかと思ったが、かなりの数がいるし、時間がかかってるようだ。
「さて、どうするか・・・」
あまり魔法を使うと城に被害が回る。参ったな。どうしようかと悩んでいるとどこからか声が聞こえた。
「全く。何してるのよ!」
その声とともに周りの護衛たちが倒れていく。何かがすごい速さで倒しているようだ。
周りの奴らが全員倒れると、隣にドレスを脱いで動きやすい軽装に着替えたセリアが細剣を持って着地した。
「ふぅ。やっぱりこの格好の方が動きやすいわ」
「俺はあのドレスも似合ってたと思うけどな」
「そうかしら?っと、話は後ね」
「貴様ら!こうなったらあの姫を人質にするんだ!捕まえろ!」
「あらあら、捕まるのはどっちかしら?」
「大人しくしてもらうぞ!」
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数十分後。無事に全員捕えられ、牢に連行された。
「・・・ふぅ。さすがにこの数を維持するのは疲れるな」
「おつかれロット。凄いなあんなに風を作れるなんて」
「まぁな。色々やってきたから。お前こそあれだけの数を倒したじゃねぇか」
「それほどでも。あ、ロット。ほらこいつら」
実は戦いの途中でバーキンス家の当主を捕まえていた。
「お前の仇だ。どうするかは任せるよ」
ロットがバーキンスの前に立つ。
「な、なんだ貴様!何をする気だ!」
「・・・・・・お前は・・・俺のことを覚えているか?・・・お前は・・・俺の両親の命を奪ったんだ!!」
「はん!貴様の事など覚えては・・・いや、その顔見たことがあるぞ。貴様ウェインの息子だな?ふはははは!これは傑作だ!まさかあの男の息子が生きていたとはな!それで?私に復讐でもしに来たのか?」
「・・・・・・・・・・・・」
「ロット・・・」
手に力を入れてこらえている。
「俺はもう・・・復讐はやめた。だが・・・」
「ガキが何を・・・ブハァッ!!」
ロットは思いっ切り殴りつけた。
「一発ぐらいは殴らせろ!!」
吹っ飛ばされたバーキンスは床に伏して気絶してしまった。
ロットはそんなこと気にせずにこちらに戻ってきた。その顔は少し暗くなっていた。
「・・・アーサー。これでよかったのか?」
「ああ、きっとロットのお父さんとお母さんも喜んでいるさ」
互いに向き合い、笑い合う。
「ははっ!」
「へへっ!」
パシッと良い音のハイタッチをする。
その後、バーキンスは騎士に連れていかれた。
「いや〜2人とも助かったよ。誰も逃がさずに捕まえられたよ。ありがとう」
「流石は俺の弟!」
「いえ、お役に立ててよかったです」
「それじゃあ僕は後始末をしないといけないから。今夜はゆっくり休んでくれ」
「それじゃあアーサー。俺と一緒に帰・・・イタタタタ!!!ノア様!耳を引っ張らないで下さい!」
「悪いね。メルト君から言われてるんだ。ほら、まだ仕事が残ってるよ」
「あぁぁぁぁぁー!!!」
そうして兄とともにノアは広間から出ていった。いつもナイスだメルト。
「それじゃあ俺はもう寮に帰るよ。魔力を使いすぎて疲れたから」
「あ、それじゃあ俺も・・・」
「あ、待ってアーサー。ちょっと二人っきりで話したいんだけど」
帰ろうとしたがセリアに止められてしまった。
「それじゃあ先に帰るぞ」
「私もお邪魔だろうから帰ってるねー」
「あ、おい!サラ!」
「いいのよアーサー。ありがとうサラ」
ニコニコしながら手を振ってサラは飛んでいってしまった。
「まったく・・・。それで?話ってなんだ?」
「うーん、ここじゃなんだしテラスに出ない?」
「テラス?うん、わかった」
何故かテラスに誘われたので着いて行く。
あたりは既に真っ暗だが、ルナの光が当たりを照らしている。
「今日はいつもよりルナが光り輝いてるわね」
「・・・!そ、そうだな」
ルナの光に照らされたセリアはまるで宝石のように輝いていた。俺はまたセリアに見とれてしまっていた。
「・・・ねぇアーサー。あなたは学院を卒業したらどうするの?」
「え?あ、あぁ。うーん、俺は世界を旅してみたいんだ。ほら、ギルドに入ってさ」
この世界にはギルドと呼ばれる組織が存在する。ギルドに登録したものは冒険者としての資格を貰える。そこで他の人からの依頼などを受けることを仕事とするのだ。
「ギルドに入れば旅もしやすいだろうし、お金も稼げるしな」
「・・・それじゃあここを出ていくの?」
「え?・・・まぁそうなるかな」
「家はどうするの?」
「一応兄さんがいるし、任せようかなって。あんな感じの人だけど一応真面目な人だし」
「ふふっ。確かにそうね・・・・・・」
セリアの表情が曇る。一体どうしたのだろう?
心配していたが、セリアはすぐに何か決意したのか「よし!」と言うと、
「アーサー!私もあなたについて行くわ!」
「・・・え?いやいやいや!セリアはこの国の姫だろ?この先ノアさんの後を継がないと行けないんじゃ・・・」
「あ、お父様なら心配ないわよ?あと数百年は現役だから。お父様にはもう話もしてるし」
「え?つまり俺が旅に出るって知ってたのか?」
「そりゃあね。私知ってるのよ?あなたがこの世界の地図とか国のこととか熱心に調べてるの」
「うっ・・・。し、知ってたのか」
確かに色々調べてたけどバレてたとは・・・。
「・・・アーサーは私のお母様のこと知らないでしょう?」
「・・・そういえば知らないな」
「私のお母様は私が小さい時に病気になってね。死んじゃったんだ」
「そ、そうだったのか」
初めて聞いた。確かにセリアのお母さんのことは何も知らなかったけど、まさか亡くなっていたとは・・・。
「それでね。お母様ってお父様と出会うまでは冒険者だったの」
「え!そうだったの?」
「うん。有名な人だったみたい。それからたまたま会ったお父様がプロポーズしたみたい」
「へぇー・・・」
あのノアさんが一目惚れする人か・・・。
「私、お母様の冒険の話が大好きだった。もう随分前だからあまり覚えてないけど・・・。それでも大好きだったのは今でも覚えてるわ」
「・・・寂しい?」
「・・・えぇ。お母様が亡くなった時一日中泣いてたわ。ずっと、ずっと一緒にいたかった。けどね、お母様が私にいつも言ってたことを思い出したの。『泣いても何も始まらないわ。前を向いて進みなさい。強くなりなさい』って」
セリアの目から一筋の涙がこぼれる。
「・・・優しい人だったんだね」
「・・・うん。その言葉を思い出して私は強くなると決意したわ。そして今日までずっと生きてきたの。お母様が見てきた世界をこの目で見るためにね」
「それで俺と?」
「・・・初めてあなたに助けられた時、私あなたとお母様を重ねていたの。お母様もあんな風に戦ってたのかなって。それからあなたに少し憧れてね」
「なるほど、それで俺に・・・」
するとセリアは急に明るくなり、
「そ!アーサーについて行けば色々起こりそうだしねー」
「な、なんだよ急に明るくなって・・・」
「あんまりしんみりしててもお母様に怒られそうだもの。それで?ついて行ってもいい?」
「それはもちろん!これからもよろしくセリア」
手を差し出す。
「こちらこそよろしくアーサー」
セリアが握り返す。
「そういえばアストさん達には言ってるの?旅に出ること」
「昔から言ってたからな。結構軽い感じで了承してくれたよ」
「あはは、あの人達らしいわね。・・・もうかなり遅いわね。そろそろ帰ったほうがいいわ」
「そうさせてもらうよ。それじゃあまた学院で」
「えぇ。おやすみなさい」
セリアと別れ、俺は寮に戻った。
━━セリア━━
アーサーが帰った後、私はルナをひとり眺めていた。
「・・・ふふっ。本当はね、あなたについて行きたいのはそれだけじゃないんだけどね。・・・この気持ちはまだ隠しておくわ。もっと時間が経った時に打ち明けるから」
空に輝くルナはセリアたちに微笑むかのように銀色に光り輝いていた。
何かおまけ書きたいのですがまた今度ですね。それではまた次回!




